5歳児と魔銃使いからの"ご褒美"。
「ありがとな、おじょーちゃん。」
しばらく私を抱きしめていたキースさんが私の身体を離し、晴れやかな笑顔を見せます。
「どういたしまして、キースさん。」
その表情を見て私は、本当のキースさんへやっと会えた気がしました。
「・・・はぁ。
この先、俺はおじょーちゃんには頭が上がんねえな。
やべーな、俺。大人としての貫禄が無くなっちまう。」
「ふふ。では、子どもらしく私はキースさんからのご褒美を希望します。」
キースさんの言葉に笑いながら冗談交じりで返してみます。
「・・・・そうだな。じゃあ、手付けとして"これ"で許してくれよ?
その代わり、残りの足りない分は一生かけて返してやるからよ?」
その言葉に疑問の声を上げようとした私の身体をキースさんは軽く引っ張り、再び抱き寄せキースさんの意地悪な表情が近づいて来て、思わず眼を瞑りました。そんな"私"の"額ひたい"に温かく、柔らかな何かが触れました。
「・・・・・・ほえ?」
「はっ、おじょーちゃん、・・・いや、リクにはまだ刺激が強すぎたか?」
柔らかい何かが触れた額が熱を持ち始めます。両手で押さえながら呆然とキースさんを見上げると、してやったりというような何処か男の色気を漂わせたキースさんの笑顔とかち合います。私は顔中が熱くなるのを感じ、・・・・・・混乱しました。
「・・・うにゃ?ふにゃぁぁっーーーーー!!!」
「りくぅぅっーーーーー?!」
私の叫び声を聴いて、お師匠様が"ぶぅわぁたんっっ"と扉を壊す勢いで開けて駆け込んできます。
「リク?リクっ!!
おのれ、ふぬけ野郎っ!!あんた、あたしの可愛い、可愛いリクに何しやがったっ!!」
お師匠様が私を呼びながら、肩を揺すってきますが私はそれどころでは無くて答えることが出来ません。そのため、お師匠様は私に何かしたであろうキースさんへ標的を定め怒鳴ります。
「あぁ?大した事はしてねーぜ。
・・・くく、そうだな。わかりやすく実践してやるよ、メリッサ。」
「っ!!。待ちなさいっ!
何勝手に人の名前を呼んで・・・っ、なんで近づいて来んのよっっ?!」
両手をわきわきと動かしながら、キースさんはお師匠様との距離を詰めていきます。
「何でって・・・?近づかないと実践できないだろーが。」
「・・・・・い、いやぁっ!
何か今のあんた、いやよっ、嫌な予感しかしないわよっ!
近づいて来るんじゃないわよっっ、このふぬけ野郎っ、バカっ、女の敵っ!!!」
狭い部屋の中で必死に逃げ回ろうとするお師匠様を、楽しそうな、しかし真剣な眼差しで追いかけ回すキースさん。未だに顔を真っ赤にしながら思考回路の回復していない私。
「いっやぁぁー?!
リクっ、リクっ、たすけてよぉっーー!!」
静かな森の中の一軒家からは、キースさんに捕まって悲痛な声を上げるお師匠様の叫び声と、お師匠様を捕まえて楽しそうに笑うキースさんの笑い声だけが聞こえてくるのでした。




