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異世界ナイチンゲールの奮闘記!!  作者: ぶるどっく
第二章 5歳児と魔銃(マガン)の冒険者編。
31/147

キース・アズノルクと実力のない冒険者達その2。

 いつも読んで頂きありがとうございます。

 今回の話しから、戦闘の場面が入ることになりました。ですので、念のために"残酷表現あり"とさせて頂いていますのでご注意下さい。

《キース・アズノルク》

 冒険者のパーティーを襲っていたのは1匹のオーガを先頭に3匹のボブゴブリン、7匹のゴブリンの群れであった。対する冒険者は、剣と槍を持っている戦士の男が2人、女の魔法使いが1人、狩人の男が1人、そしてすでに殺されている魔法使いの女と僧侶の男がいた。


--・・・・・実力も理解せずに対応できねぇこんな危険な場所に挑戦するなんざ死にに行くと同じだろーよ。ちっ、どーするか、見殺しにするのも後味がわりぃしな。


 すでに冒険者達は満身創痍の状態であり、全滅するのは時間の問題であった。キースにとって、気配を消し、無駄な戦闘を避ける術すら知らない様子の彼らを助ける義理は無かったが見つけてしまった以上は見捨てて逃げることは出来なかった。



--リーダー格のあいつから殺るか・・・・・。


 最初の獲物にオーガを選ぶ。うまく殺ることが出来れば他の魔物をばらけさせることが出来るかもしれねぇ。俺は、そう考えながら静かに愛用の魔銃に弾丸を込める。

 俺が愛用するこの魔銃まがんを武器に選ぶ奴は多くねぇ。魔銃を使っていることは、自分から魔力はあまりないと公言しているような物だからな。

 魔銃の弾丸は、紋章魔術の応用で作ることが出来る。弾丸自体に象徴を込めた己の魔力で紋章を刻み込みめば完成だ。紋章に応じて、それぞれに着弾と同時に爆発したり、毒を与える効果の物もある。かく言う俺も、オリジナルで何種類かの主力で使う弾丸と、仲間にも秘密のとっておきの奥の手の弾丸を常に装備しているからな。

 紋章魔術の象徴を作り上げる事さえ出来れば理論上はどんな弾丸だって作ることが出来る。それって、最高だと思わねーか?自分が考えた効果のある弾丸を作ることが出来るんだぜ?

 攻撃する時に、ちまちまと呪文を唱える必要がね-のも良いな。少なくとも魔法は得意じゃねー俺にとって、こいつ(魔銃)との出会いは衝撃だった。それ以来、俺は魔銃一筋で冒険者を続けてんだ。


 気配を消して、静かに移動しながら影から影へ走る。

 オーガの注意を戦士その2が引きつけている間に、標準を合わせ、3度引き金を引く。3度目の引き金を引いたと同時に物陰を通り別の場所へ移動することで、居場所を悟られないようにする。

 俺が撃った弾丸は、全て標的より外れることなく、その強靱なはずの皮膚や骨を貫通して頭部へ着弾する。着弾した頭は半分ほど弾け飛び、ゆっくりとその巨体は地に伏せた。


--やっぱり、バーストの弾丸は使い勝手が良いねぇ・・・。


 この"バースト"の弾丸は、俺のオリジナルの弾丸の1つだ。威力の底上げと物理的な貫通力を上昇させた上で、着弾すれば弾丸自体が弾け飛ぶ髙い殺傷効果がある。オーガみてぇな奴を相手にするときは頼りになる相棒だぜ。

 オーガの生命力は桁外れだからな。頭を撃ったとはいえ油断はできねぇ・・・。再び頭部や心臓の辺りを狙って数発バーストの弾丸を撃っておく。

 突然、オーガの頭が弾け飛び、倒れたことに冒険者どもは驚いた様子だったが、今が好機とばかりに攻勢を仕掛ける。リーダー格を失った群れは狙い通りに逃げ惑い始め、俺が援護をしたこともあって数分もしないうちに戦闘は終了した。


 戦闘終了後に姿を現した俺に向かって、冒険者どもは疲れと怯えを滲ませたままの様子で座りこみ始めた。

「・・・・・何を考えてやがる?実力に合わねぇ様な場所に来て、仲間見殺しにして。・・・てめぇらも死にてぇのか?」

 俺の言葉に戦士その1や狩人の男が侮辱された怒りに朱く顔を染める。その2人が何かを言う前に魔法使いの女と戦士その2が遮るように話し出す。

「すみません、助けて下さりありがとうございました。

 私たちは、中堅になったばかりのパーティーなんです。

 最近、この辺りにやって来たんです。だから、ここで活動するのは・・・その、初めてだったんです。」

「・・・実は、聞いていた話しと全く違うレベルの魔物ばかりで、引き返そうとしていたんだ・・・。

 でも、タイミング悪くオーガの率いる群れに遭遇してしまって・・・。」

「・・・どんな情報を掴まされたか知らねぇが、この森はここら一体で一番危険な森なんだけどな?

 上級の冒険者でも、この森に入ることは躊躇うぜ?

 良い子だから、さっさと退散することだな。

 この血の臭いで他の魔物も寄って来るだろうからな・・・。」

 こいつら冒険者としては、最悪だな。たとえば初めて来た場所であれば正確な情報を掴むまで、活動は自粛する。間違った情報はてめぇの命だけでなく、仲間の命も危険に晒すからな・・・。

「・・・黙って聞いてりゃあ、好き勝手ほざきやがって。

 てめぇの助けなんか必要無かったんだっ!余計なことしやがって!!」

『マックス!!』

 戦士その1が、なんかほざき始めた。狩人以外の2人が止めようと名前で呼ぶ。


 俺にとって、戦士その1のことなんざどうでもいい事だ。それよりも、さっきから嫌な予感がして仕方がねぇ・・・。

 嫌な予感ほどよく当たるもんで、俺への文句をほざいている戦士その1に同調して俺に何かを言おうとしていた狩人の胸から、まるで無数の棘が生えた蠍さそりのような尻尾が血しぶきを上げて現れる。いち早く新たな魔物の出現に気がついた俺は素早く距離を取り、愛用の魔銃を構える。

 胸を貫かれて、血を吐いている狩人の後ろから現れたのは、この森の中で1、2を争う出会いたくねぇ相手(魔物)だった。


 

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