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のんびりですみません。

 訓練所に入ると、弓の訓練に使う的を置いた場所へ向う。サオリさんは訓練所を開けるためだけに来てくれたようで、すぐに戻って行った。


「まず私のクレオを紹介するねぇ。出ておいでクレオ。」


 テレスティナさんの手の甲にある紋章から、白い光と共に3メートルくらいの白いドラゴンが現れた。ホウと違って西洋風のドラゴンといえばこれ、という正統派のドラゴンだった。


「始めてお目にかかる。赤き根源の君とその主に会えて光栄だ。」


「ホウだよ!はじめまして、しろいおじさん」


 とても丁寧に挨拶された。その後のホウの受け答えがあんまりで冷や汗が出てくる。

 クレオは微笑んで(たようにみえる)、名前で呼んでいいと言った。


「まずは、ドラゴンについて学びましょうか。」


 

 テレスティナさんの話をまとめると。

 

 ドラゴンとは各大陸固有の精霊である。ヴェントは白、ブルカは赤、ヴァンサは青、ヴェーエは黒のドラゴンで、気に入られた精霊がつく。(たまたま依頼で来た大陸で、その地のドラゴンの加護を得て魔法士になった人が多くはないがいるそうだ。)

 

 主と共に成長することにより出来る事が増える。その過程に固有魔法がある。

 

 魔獣の魂を食べることによって、倒した魔獣の魂を浄化しているのではないかと言われている。

 

 本人の死亡や倫理に反することをすると契約が切れる。

 

 手の甲にある紋章に入ることができる。(これが収納魔法で、レベルが上がれば容量も増えるお得なものらしい)


 

 さっそく、収納魔法を試してみる。 ドラゴンに関しては自らの意思で出たり入ったりできるとのことである。持ち歩いている鞄を入れようとしたところ入らず、お金の袋を出して再挑戦する。紋章がある方の手を袋に触れ、『収納』と呟くと、そこにあった袋がなくなりギルドカードに『金貨2枚・大銀貨3枚・銀貨6枚・銅版8枚・袋』と書かれている。どういう原理かわかならないが、親切設計には違いない。他に入らないか試したがこれ以上は無理だった。

 余談だが、取り出す時は『袋出よ』だった。


「理解できたかしらぁ。それじゃぁ、面白いものを見せてあげるわ。」


 テレスティナさんが『我が武器と成せ、変現』と唱えると、クレオが白く光り収まると、装飾の美しい弓となった。そしておもむろに弓を構え、


ほむらよ一条の矢となり貫け、炎矢(えんや)


 炎で出来た矢が現れて、弓につがい放つと、的は燃え上がった。


「変現はレベルが上がると使える様になるわ。武器によって使える魔法は違うけれど、ホウちゃんがあと少し成長すれば手助けしてくれるから。

 それじゃぁ、私が教えるのは魔力の操り方と身体強化の魔法よ。始めましょうか。」


 それから先は、思い出すのも恐ろしいくらいのスパルタでした。のんびりしたテレスティナさんが、鬼教官に大変身されまして・・・、武器を持ったら性格変わる人とかいたよなぁとか思ってたら、「真面目にやりなさい」と風の刃がとんできました。(思い出して、おもわず体を抱える)おかげさまで、身体強化使える様になりました。



 今朝は、はやる気を抑えながら日課を行う。しっかり動けるよう体を温めておかないと、いざという時に動けなくなる。そして赤熊亭のおかみさんが、サオリさんから聞いたとお弁当を用意してくれていた。それを昨日覚えたての収納魔法でしまってから、ギルドに向かった。

 

 ギルドにつくと、テレスティナさんが一番乗りだった。思わず直立不動で敬礼しそうになりました。


「おはよう、なにやってんのあんた。」


 挙動不振になっているところにローナに声をかけられた。『鬼教官と戦っているところですが』とは言わず、


「ミイコだけど。おはよう」


「いてっ」


「ローナ、今日からお互い命を預け合うと仲間だぞ。けんか腰でどうする。」


 ローナは後ろからきたロイドにげんこつを頭にもらっていた。すごい痛そうな音してましたが・・・。ローナは床に頭を抱えてうずくまっている。


「ミイコちゃん、すまないな。男ばかりの末っ子だから口が悪くて、困ったもんだ。」


 ローナが復活したので、依頼を受けて近くの森へと向かう。私が喚ばれて最初に居た森の深いところにフォレストディアが居るみたいだ。

 森に入るとロイドさんを先頭にローナ、私、テレスティナさんの順で並んで進む。ホウはすでに弓になっているクレオと何かを話しながらついてくる。ん、中型の動物の気配を感じた。


「ロイドさん、右前方に中型の動物の気配がします。」


「ミイコちゃん、わかるの?まだ俺じゃ感知出来ない距離だな。先行してもらってもいいかな。」


「ちょっ、兄貴」


 ローナが何か言おうとしたが、ロイドが目で威圧すると黙った。私は、気にせず先頭にたって気配の方向へ向かう。そこには、茶色に緑の斑の入った不思議な鹿がいた。手で待つよう合図をする。


「ロイドさん、フォレストディアで合ってますか?周りにこの個体以外いないです。」


「合ってるよ、幸先がいいね。1体か、定石だとテレスティナさんの弓だけど、たしか投擲のナイフもってたよね。まずはミイコちゃんからかな。」


 私の先制攻撃の後の打ち合わせをしてから、身体強化をかけて気配を消しながら近づく。やばい、自分が思う以上に向こうは気配に敏感だった。

 コントロールに不安がある距離だが、きびすを返そうとしているフォレストディアの目に向かってナイフを投げる。なんとか片目をつぶす事ができた。

 突然片目の視界を奪われたフォレストディアは足下をとられて動作が鈍くなっている。そこをローナが体の半分くらいある鎚で頭を狙って振り下ろす。フォレストディアは頭をつぶされて、事切れた。

 

「ごはん〜」


 止める間もなくホウが向かい、魔獣から出た光をパクリと食べる。先輩ドラゴンがいるのに困った子だ。クレオにあやまると、気にするなと言ってくれた。


「ミイコ、悪かったな。昨日言ってたとおり、実力を確かめずに良くない態度を取っていた。あらためて、よろしく。」


 ローナが、素直にあやまってきた。意外とかわいいところがある。


「こちらこそ、よろしく。私より3つも下と思えない力強さだったよ、フォローありがとう。」


 私の言葉をうけてローナが真っ赤になった。見かけによらずからかいがいがありそうだ。


 魔獣の魂をドラゴンが食べたからといって、血抜きしなくていいかと言う訳でもないようで、穴を掘って手早く血抜きと内蔵の処理を行う。父と兄が狩猟免許をもっていたので、目の前でさばいているのを見た事がなければ、気持ち悪くなっていたかもしれない。処理を終えたフォレストディアはテレスティナさんが収納してくれた。

 他の魔獣が寄ってこないうちにある程度の距離を歩き、お昼を食べる事にした。

 

 昼からも順調に2頭見つけ、明るいうちに目的の数を達成した。この時は、ロイドさんが剣で、テレスティナさんが『風矢ふうし』で、それぞれフォレストディアの首を一撃で落としたりと私たちの練習にならない2人の戦闘が行われた。


「ごめん、ごめん、一応僕らの実力も見といたほうがいいだろ。」


「弟子が頑張っているのに、師匠が手を抜くのは駄目でしょう。」

 

 ロイドさんは絶対言葉通りじゃないだろうし、テレスティナさんにはほめられて嬉しかったけど、気を抜くと恐ろしい目に遭いそうで背中に冷たいものが走った。


 帰りは、よく採取の依頼にでる薬草を教えてもらいながら、たまに遭遇するラビットマウス(上半身ウサギで下半身がネズミという、いまいち可愛くない生き物だった。)を狩って町にたどり着いた。


 ギルドでフォレストディアを納入して報酬を貰うと大銀貨3枚で、ラビットマウスは白で常時依頼が出ているそうで、5羽で銀貨2枚になった。4人で均等割してから、初依頼達成を祝ってみんなで夕食を食べに行く事にした。サオリさんもカウンターから恨めしそうに見ていたので誘うことに・・・。


 赤熊亭の隣のレッドベアで食べる事になった。(同じじゃんと思ってたら、こっちは親父さんの双子の弟がやっていた。いつもの食事は弟さんが作っているそうだ。)


「「「「「かんぱーい」」」」」


 ロイドさん、サオリさん、テレスティナさんはお酒を飲み、それ以外は果実水を飲む。ドワーフとはいえ、ローナはお酒の飲んで良い年ではないそうだ、18歳になると本当の成人の儀があって飲める様になると言っていた。逆に飲まないのか聞かれたが、良心が咎めて飲まないことにした。サオリさんが絡み酒だったことはここに記しておこう。

 料理はメインがラビットマウスのローストで、香草が効いていて表面がパリッとしているのに中の肉は柔らかく、付け合わせのジャガイモに似たジャガタイモがもちもちしていて美味しかった。腸詰めやザワークラフトの様なものもあって全体的にお酒の欲しくなる料理なのであった。

ドイツ料理っぽいのは近所にソーセージ専門店があるからと、ドワーフ→酒→ドイツでベタです。

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