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やっと書けた〜

 朝、空が白み始めた頃に目が覚めた。異世界にきても習慣を体が覚えているらしい。ホウはまだ寝ているようなので、起こさないようにしながら部屋を出て宿の裏にある庭に出た。他にも冒険者らしき人が数人、軽く体を動かしている。私は軽いストレッチから始めて、いつもの様に型をなぞっていく。


「お嬢ちゃん、小さいのに頑張ってるなぁ。それにしても面白い動きだね。」


 年配のおじさんが、汗をふきとりながら声をかけてきた。もう小さいはいいです・・・。おじさんにあたっても仕方ないが、少しイラッとしてしまった。


「これでも大人なんですが。これは家で生業としている武道の動きですよ。小さい頃からやっているんで毎朝やらないと気持ち悪いんです。」


「申し訳ない。それにしても無駄のない動きでほれぼれとするね。毎朝ってことは、この宿に泊まったのは昨日からかな?そろそろ、朝ごはんが始まる時間だよ。」


 つい冷たい対応をしてしまったのに、おじさんは優しく教えていってくれたことに申し訳なく感じる。『おじさんが悪くはないんだよ、昨日からのストレスなんです。』と心の中で謝っておいた。一通り済んだので、ホウを起こしてご飯を食べに行く事にした。


「ホウくん起きて、朝ごはんだよ〜」


「ごはん〜、ホウのごはんはまじゅうだよ。ミィもまじゅうたべる?」


「ホウくん、私は魔獣食べないよ。じゃぁ、行ってくるから待っててね。」


 ドラゴンのご飯は魔獣ですか・・・。私は朝食を食べて、そろそろ朝の鐘が鳴るとのことなので冒険者ギルドに向かう事にした。

 


 冒険者ギルドは昨日と打って変わって人が大勢いる。昨日は良く見てなかったが、左側が受注カウンターのようだ。昨日と同じ様に右のカウンターに向かうとサオリさんが居た。


「ミイコちゃん、おはよう。良く眠れたかしら?詳しい説明をしたいから、こちらの部屋へ入って。」


 サオリさんは受付を別の人に引き継ぎ、こちら側に出てカウンターのそばの扉を開いた。ソファーと机のある部屋で向かい合って座り、サオリさんは話し始めた。


「まず、ギルドのランクについてね。ランクは白からはじまって黄、緑、茶、黒、赤となるわ。赤が最高ランクね、今のところヴィント大陸に一人だけしかいないけど。

 カードの色がランクと一緒になるわ、受注もランク内の物から受けてちょうだい。パーティーを組んだ場合は、最高でパーティー内の上位ランクのひとつ下まで受けれるから覚えておいてね。ランクは受注ポイントによって上がるの、採取より討伐が高めね。白は100ポイントだけど、ランクが上がるに従って必要なポイント数も増えていくけど、詳しいことは次のランクになった時に確かめて。

 たまには各種手続きカウンターにきてレベルの確認してね。自分の事を知っておくのも大事な事よ!

 昨日は聞き忘れたけど、ミイコちゃんは武器は何を使うのかな。」


 サオリさんの話を聞きながら、ふむふむとうなずいていたが、武器と聞かれて用意してなかった事を思い出した。そして、今更ながら洋服も喚ばれた時のままだった事に気づく。


「まだ用意してないです、装備も含めてこの町で探そうかと思って。ところで魔法士って魔法で戦うんじゃないんですか?」


 サオリさんは、こめかみを押さえてうなっている。


「ミイコちゃん、よくこの町まで生きて来れたわね。武闘魔法士は、武術に魔法を重ね合わせて使う物なの。ミイコちゃんは何か武術を使うんじゃないかしら?魔法士は剣術を学んでいる人は魔法剣士だったりするものなの。」


「そうですね、小さい頃からやってました。それで、どんな風にやるんですか?」


 魔法を使えるのが楽しみで、たたみかけるように聞いてしまう。武術と魔法の融合とは、小さい頃から家の道場で続けてきて良かったと改めて思う、色々と試したくて仕方なくなってきた。


「落ち着いて、まず武器と装備からよ!・・・動きやすそうな服を着てるけど薄いわね。洋服もそろえた方が良さそうね。早く行きましょうか、真昼の鐘の頃にミイコちゃんに会わせたい人達が来るのよ。」


 転移ものの小説のように洋服について言及されるかとドキドキしたけど、普通に流された。いまの私の格好はゆったりしたボタンシャツと綿のイージーパンツで、なにしろ自分でも忘れてたくらい町に馴染んでいる。

 まず、服屋で下着類から動きやすい服、何故か冒険に必要なさそうな装飾の多いワンピースまでサオリさんは嬉々として選んでくれた。次に防具屋では動きやすさ重視で何かの革の胸当てと兜とブーツを買い、武器屋にやって来た。


「ミイコちゃんは徒手でいいのよね。この辺りかしら。」


 そこには、ガントレットが各種置いてあった。防具屋での取り扱いではないかと聞いてみたら、魔法士の物は特殊な加工を施すので分かりやすい様に武器屋に置いてあるそうだ。通常の防具より格段に魔力の通りがいいらしい。私は中程度の価格帯のもので、指が自由に動かせるように手の甲までの物にした。

 あとは、投擲用のナイフを5本と太ももの位置につけれるホルダーを購入した。いつかは自分用にカスタマイズした物を作りたい、ナイフが大きくて2本しか着けれないのは痛い。ここまでで、残りのお金の半分くらいは使った。


「思ったよりお金を持っていたのね。本当にこの町までの道中無事でよかったわ。それじゃ軽食を買って戻りましょうか。」


 良くしてくれているのに嘘をつかざるをえない今に良心が傷みつつ、サオリさんの言葉にうなずいてパニーニのような物を数個買って冒険者ギルドに戻った。


 

 ギルドに入ると、サオリさんに向かって3人の男女がやってきた、挨拶もそこそこに先ほどの小部屋へと向かう。


「改めて紹介するわ、こちらは兄妹で剣を使うロイドと鎚を使うローナ、そしてあちらが魔法弓士テレスティナさん。それで、この子が武闘魔法士のミイコちゃんよ。」


 お互い握手で挨拶を交わす。ロイドさんとローナさんは私より10センチくらい高い身長で筋肉質、そして赤い髪が緩くウェーブになっている、一つ違うのはローナさんは髪が長く、後ろで三つ編みにしていところだ。テレスティナさんは見上げると首が辛いくらい身長が高くて、銀の髪を長く垂らしている。そして私の目線の位置には・・・いや、考えないでおこう。魔法士だがドラゴンが側に居ないのも気になる。

 

 サオリさんが話を再開した。


「昨日そちらの3人には事前に話をしたけれど、今日打ち合わせをして問題がなければ、ひと月パーティをくんで依頼を受けてもらおうと思います。

 ミイコちゃん、まずテレスティナさんはヴィント大陸出身のエルフよ。今回は彼女に貴方の魔法の先生をお願いしたの。打ち合わせが終わり次第、訓練を始めてもらうわよ。」


 大陸については雅姉さんの手紙には詳しく書いてなかったんだよね。サオリさんは今いる大陸の西側にヴィント大陸があると教えてくれた。それにしても、エルフは胸がお仲間なイメージだったんだけど、まさかの裏切りだった。くっ・・・もぎたい。


 魔法の訓練は打ち合わせが終わり次第開始するとのことで、サオリさんは席を一旦外して3人で明日からのことについて打ち合わせを始めた。


「俺のギルドランクは緑だ、今回は妹のローナがギルドに登録したから、サポートでついている。聞いた感じだと、俺とローナが前衛、テレスティナさんが後衛、ミイコちゃんが遊撃ってとこかな。そうだ、ドラゴンの紹介をしてもらってもいいか?」


「ホウくんです。まだ魔法士になったばかりなもので、よくわからないんです。」


「兄貴、危なっかしくないか?見かけは子供だし、心配だよ。」


ロイドさんがホウくんについて聞いてきたので、正直に答えるとローナに失礼な事を言われてムッとした。


「これでも18歳なんです。魔法はこれからだけど、お互い実力を見せ合ってないのに決めつけられると心外です。」


 私が年齢を言うと、ロイドさんとローナがビックリしている。しかもローナが『わたしより年上なのかよ・・・』とつぶやいていた。

 そんななか、テレスティナさんがのんびりした口調で、


「ふふっ、ふたりとも元気ねぇ。魔法士になりたてなら何も知らなくて普通よぉ。これから明日の実戦で使えるよう訓練するから大丈夫。ホウくんもよろしくねぇ。」


「うん、しろいドラゴンさんもよろしく〜」


「あら、わかるの?お利口さんねぇ。クレオよ、仲良くしてねぇ。」


 会話はほのぼのとしているのに、途中で背中に寒気が走った何なんだろう。ホウにはテレスティナさんのドラゴンがわかるようだ、白いドラゴンなのか〜楽しみだな。


 その後は、戦闘する際の連携や冒険に必要な荷物の話などをし、明日は黄ランクの依頼であるフォレストディアの討伐をすることになった。


 そして私は、戻って来たサオリさんとテレスティナさんとでギルドの訓練所に向かった。

洋服について書いてなかったと思ったので、入れてみました。ちなみに、喚ばれた直後はアウターを着ていましたが、暑くて脱いだまま鞄に入ってます。


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