2
前回は、短すぎて反省。
気になる箇所の修正と、最後があまりにもひどかったので文章足しました。
その不思議な生物と見つめ合うこと数秒、我に返った私は手紙が落ちてきていたことを思い出した。手紙を読もう、きっと何か状況説明があるかもしれない。今はあの地球にはいそうにない何かを彷彿とさせる生物、一応ドラゴン(仮)としとこう、について考えていたくない。よくない考えが出てきそうだ。
手紙は行方不明の従姉の雅からだった。
『可愛いねこちゃんへ
ようこそ異世界ツヴィンガへ(はーと)
お姉ちゃん、ねこちゃんに会いたいから喚んじゃった。先に言っておくわ、帰れないけど許してね。ねこちゃんは絶望せずにこの世界を楽しんでもらえると私は信じてるわ。
それでは、この世界について説明するわね、先ほど書いたようにこの世界は地球とは違う世界でツヴィンガというの、大陸は4つあって、ヴィーエ、ヴィント、ヴァンサ、そして今ねこちゃんのいるヴルカね。詳しい説明は楽しみが無くなるからしないわよ。人種は地球と違って人だけではないからびっくりしないでね。私はもふもふで幸せよ!!
(よだれのあとと思われるしみ)
あと、地球と違うと言えば、魔法が使えるわよ。魔法の使える人の特徴はドラゴンとパートナーであることなの。ねこちゃんのもとにも現れてると思うわ。かわいがってあげてね。私たち異世界人はこの世界に囚われる代償に身体能力が高めになっているわ、言葉や文字についてもうれしい翻訳機能付き!諸々についてはテンプレどおりに冒険者ギルドへ行って確かめてね!!これって異世界転移の醍醐味よね〜
とりあえずの生活資金を鞄にいれてあるわ、1円が銅板、10円が銅貨、100円が銀貨、1000円が大銀貨、1万円が金貨って覚えておくと楽よ!
最後に大事な事を忘れてたわ、ねこちゃんのレベルが上がるとヴルガ大陸が成長するの、何もしないと大陸が大変なことになるって言ってたわ。それについてはねこちゃんのほうが分かるわね、ヴルドはまさにそうなんだもの。
次に会えるのを楽しみにしてるわ(はーと)』
雅お姉様、無責任すぎます。大筋な説明しかされてない事に頭を抱えたくなった。私のレベルと大陸の成長とか大事と言ってるわりに詳しい説明がないし訳が分からなすぎるよ・・・。さっきまでの事件に巻き込まれてるかもっていう私の心配を返してください。やっぱり異世界なんだ、そして帰れないのか・・・両親や伯母さんは心配してるだろうな、身近に行方不明者が2人だよ!きっとニュースとかになるんだろうなぁ。
なんか妙にテンションの高い雅姉さんの手紙を読んでいると、不思議と落ち着いてきた。昔から雅姉さんは厄介ごとに私を巻き込む。だから、仕方が無いなんて思えてしまうのは末期症状だろうか。元気そうでよかった、でも次に会った時にはちゃんとした説明をしてもらうからね。
手紙を読み終えた私は、すっかり忘れていたドラゴンと鞄を確かめることにした。ドラゴンは卵から完全に出て、殻の周りを回っていた。そして羽を広げた瞬間、卵の殻が光ってドラゴンの口の中へと吸い込まれた。そのまま浮かび上がり、私の目の前に来たかと思うと、幼さの残る声で話しだした。
「マスター、なまえをつけて」
「しゃべった!」
「シャベッタ、なまえ?」
「違う、違う、待って考えるから」
もう少しでとんでもない名前になるところだった。改めてドラゴンを見る、体色は赤で頭に角があるのはいかにもレッドドラゴンって感じがする、体長は50センチくらいだけど大きくなるのかなぁ。そして特徴的なのは鳥の羽のような羽だ。赤い色と羽・・・、思わず鳳凰が出てきた。朱雀とかフェニックスとかあるけど一応聞いてみよう。
「ねぇ、君は男の子?女の子?」
「おとこ!」
男の子と聞いて、私は迷わず決めた。安直でもいいんだ、ピンときたんだから。
「君の名前はホウに決めたよ。よろしくね、ホウくん」
ホウは、その場でクルクル回り再び羽を広げた、すると体が赤く光り、その光が私の左手へ飛び込んできた。光が収まった後には手の甲にホウをそのまま図形にした様な跡がついていた。
「マスター、よろしく」
「ホウくん、マスターじゃなくて、よかったら『みぃ』って呼んで、家族はみんなそう呼ぶの」
「わかった、ミィ」
のんびりしていると夜になりそうだったので、急いで鞄を確認した。お金が金貨5枚分と地図とコンパスが入っていた、武器が無いという事は自分でなんとかしろってことなんだろう。地図はこの森と森を出た先にある町が書かれた簡素なもので、コンパスで方角を確認してホウと共に歩いたら森のわりと浅い場所にいたようで、すぐ町についた。
塀が町を囲うようにそびえ立っていて、門には町へ入る人や馬車が並んでいたので最後尾に並んで町に入った。すんなり入れたのには大丈夫なんだろうかと思ったけど、特になにも言われなかったので問題ないんだろう。他の人は身分を証明するカードのようなものを出してたんだけどなぁ。そんなことを考えながら町の人をつかまえて冒険者ギルドの場所を聞いたら、なぜか「お嬢ちゃんえらいね〜、気をつけて行くんだよ」って頭をなでられた。それにしても、男性も女性も筋肉質なひとが多いなぁ・・・
冒険者ギルドは町の中央広場のそばにあった、中に入るとちょうど人が少ない時間帯なのか数人だけ中央の報告カウンターにいた。どこで手続きするんだろうと見渡すと右のカウンターに各種手続きと書いていたので、そちらに向かう。手続きカウンターには赤髪ショートヘアの細身の美人さんが居た。
「すみません、冒険者の登録をしたいのですが。」
カウンターのお姉さんは私をみて怪訝な顔をして、
「冒険者の登録は15歳になってからよ、魔法士でも年齢の規則は曲げられないわ。」
「あの、私は18歳になってます。そんなに小さくみえますか?」
私はびっくりした、身長が146センチでも向こうの世界では中学生以下には間違われなかったのに、日本人は外国では幼く見えるっていうからここでもそうなのかな?お姉さんは疑わしげな目で私を見ながら、
「まぁいいわ、調べればわかるもの。ここに手をのせてもらえる。」
言われるままに手のひらサイズの石の上に手をのせると、文字が浮かんできた。
ヨシザキ ミイコ 18歳 女 ヒューマン 出身地不明
武闘魔法士 Lv1
火Lv1、水Lv1、風Lv1、土Lv1
収納魔法
「あら、本当に18歳だったのね。しかも純粋なヒューマンなんて珍しいわね、出身地不明・・・もしかして貴方、例の辺境の村出身なのかしら?あそこの村がこつ然と消えたらしいのよ。ごめんなさいね、辛い事を聞いたかしら。」
私は勝手に勘違いしてくれたので、辛そうに軽く頭を振っておいた。それにしてもヒューマンって珍しいんだ。なぜなんだろう?辺境の村って勘違いしてくれたから聞いても大丈夫だろう。
「そんなにヒューマンってめずらしいですか?今日、この町に来たばかりでして。」
「貴方、今日来たばかりなの?町に入るときに臨時カードだしてもらった?」
「いいえ」
お姉さんは何かに気づいたように目をそらしながら、
「成人前に見えたのね。まぁいいわ、魔法士だから大丈夫でしょう。ヒューマンって辺境で固まって生活してるって聞いてるけど、世の中のこと知らなそうでお姉さん心配だわ。
この大陸の大半はドワーフよ、筋肉質なのが主な特徴ね。私みたいにヒューマンの血が入っていると細身で高身長になるの、不思議と筋肉質にならないのよ。
それと・・・、最近魔法士になったのね。じゃぁ力の使い方とか分からないでしょ。もう乗りかかった船だわ、お姉さんにまかせなさい。
明日の朝の鐘がなったらいらっしゃい。宿がもし決まってないなら赤熊亭がおすすめよ。
それじゃぁ、冒険者カードを発行したから渡すわよ、再発行は金貨1枚するから気をつけること!今日は手続きとカード代で銅板5枚ね。今日は疲れただろうから詳しい説明は明日するわ。
私はサオリよ、よろしくミイコちゃん。」
私はサオリさんの迫力に口を挟めず、うなずくしかできなかった。カードを受け取った私は冒険者ギルドを出て、おすすめの宿に向かった。赤熊亭は、素朴な作りの古いけど掃除の行き届いてそうな宿だった。ここでも子供に間違われたけど、ギルドカードを見せて事なきを得た、本当に大変・・・。宿代は食事付きで銀貨2枚だった。疲れたので、軽食を食べて寝る事にした。食事はオススメだけあって味は濃いめだけど美味しかった。
ベッドに腰掛けホウを抱きかかえながら、長い1日をふりかえる。それにしても、ドワーフって小さくて男女共に髭の濃いイメージだったんだけどな。少なくとも、町の人は私より背が高い。髪も天然でボリュームが多いのも特徴だろうか。ここの宿の親父さんの背を縮めると私の想像していたドワーフになるんだけどなぁ。
雅お姉さんの言っていた、何もしないと大変なことになるとは辺境の村が消えたことと関係があるんだろうか。色々と知らなければいけないことが多そうだ、魔法だって使い方がわからないし。明日教えてくれそうだったから楽しみにしておこう。
雅がだんだん変になっていく、本当は男前なお姉さんだったはずなのに・・・