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ヒッツから帰って来た翌日、ローナがサオリさんから頼まれごとがあるからギルドに来て欲しいと私を呼びに来た。
ギルドについて、いつもの様にカウンターにいるサオリさんの元に行く。
「おはよう、朝からごめんなさい。うちの父が山に材料を探しに入るから護衛が欲しいのよ。祝福の影響も薄れてきたから魔獣も心配でしょ、急で悪いけど昼までだからお願いするわね。」
あまりにも急なお願いだったけど、お世話になっているし、あとほんの少しの下心もあって受ける事にした。まぁ、拒否権もなさそうだったけど。
サオリさんのお父さんの工房へ直接迎えに行けばいいそうなのでローナと共に向かった。ヒッツへ向かう門の大通りから2つ程路地を入った所にその工房はあった。石造りの平屋で同じ敷地内に同じく石造りの窓の小さい倉庫のような建物もあった。
「ギルド長いらっしゃいますか? サオリさんから依頼をうけて来ました。」
「はいはい〜。あっ、今回はミイコちゃんが行ってくれるのか〜。待ってて、師匠呼んでくるよ。」
出て来たのはセイランだった。そういえばサオリさんのお父さんのところに弟子入りしてたんだったな。
当たり前だけど、町の人が着ている物と同じシャツとズボンを着たサオリさんのお父さんこと工業ギルドのギルド長のタケルさんが出て来た。執事服じゃなかったことにちょっと残念。
「あぁ、サオリの言っていた護衛は貴方達ですか。しばらくぶりですね、お願いします。」
やけに身軽なタケルさんに一抹の不安を感じながら山へと向かった。セイランはお留守番に不満そうにしていたが、タケルさんに睨まれるとしぶしぶと仕事へ戻って行った。
山には着いた、魔獣は祝福の発生地だけあってまだ居なかったのだけど……。
「ミイコさん今度はそちらを掘ってください。ローナさん、それでこの石をこの位置から割って下さい。くれぐれも力加減に気をつけて。」
山に着いたとたん私たちの静止を振り切ってタケルさんは、先頭にたって移動し山肌をさして私たちに掘ったり砕いたりの指示をしていく。
「なぁ、なんでわたし達こんなことしてるんだ?」
「わかんないよ。つかれたぁ」
私は、『土刃』と『水刃』を用途によって使い分けているんだけど、そろそろ『土刃』は使えなくなりそうだ。
「口を動かさずに、手を動かして。そこを掘れば今日は終わりですね。」
依頼は護衛だった気がするんだけどなぁ。掘り終わると収納の付与のついた袋を渡されて、指示された石を集め収納して帰った。
工房に着くと、昼食にでたのかセイランは居なかった。採取した石ををやはり倉庫だった建物で出し、依頼終了の報告にギルドに行くとめずらしくサオリさんも昼食に出ていたようで居なかった。
報告のついでにカードの更新もしておいた。
ヨシザキ ミイコ
19歳 女
ヒューマン
フラン
武闘魔法士 Lv11
火Lv4 刃 纏 盾 弾(100%)
水Lv4 刃 纏 盾 弾(70%)
風Lv3 刃 纏 盾 (50%)
土Lv2 刃 纏 (50%)
付属Lv1 爆
光Lv1 纏
治癒 「促進」
投擲Lv19
身体強化Lv11
収納魔法Lv3
レインボウキャタピラーとワームのおかげか更にレベルが上がっていた。確かに多かったもんな……。キラーアントといい、虫はできれば遭いたくないもんだ、なんで群れるかな。
そしてLv10で光の纏を覚えてたが、自分の生命力を使う様な物だからどういう方法で使うか形にしてからでないと怖くて試す事さえできない。やっぱりあれかなと思う物があるけれど、条件を考えると難しいんだよな。
カードをみて色々考えていたけど、非常にお腹がすいて考えがまとまらなくなってきた。ーーーーー流士兄が出かけに昼を用意してあるって言ってたな。ローナのもついでに作ってあるんだろうし帰るか。
家についてドアを空けると、昼食に出ていたはずのサオリさんやセイラン、その他のみんなもリビングにいた。
「ミイコちゃん、驚いた? この前のカードの更新時に年齢があがってたでしょ。だから、お祝いにパーティーをしようと思ってお兄さん方にお家貸してもらっちゃった。」
サオリさんが説明してくれたんだけど、この世界にも誕生日を祝うんだとか訳のわからないことを思ってしまった。
「みいこ、まずは着替えておいで。」
実佳兄さんに促されて、2階の自室で着替えて下へ降りた。なんだろう気恥ずかしい。
「それでは〜。ミイコちゃんの年を重ねたお祝いとロイド兄さん達が無事ヴェント大陸へ着いたことを祝って、乾杯〜〜!!」
「「えっ、ロイドさん(兄貴)着いたの(か)?」」
私とローナはビックリして、同時に声を上げていた。
「そうなのよ。私のもとに皆への感謝の品も届いているから渡すわね。義姉さんの話によるとクレオがヴェントに入ったら乗せて飛んでくれたから早かったみたいよ。向こうの大陸まで2ヶ月で両親の居る町まで1日だったそうよ。」
すごいな……。ホウも出来たりするんだろうか。ーーーそういや乗せれるって言ってたか。
今日はパーティってことで、まるでクリスマスのような料理が並んでいる。ローストチキン(鳥ってことしかわからないけど)に野菜のキッシュ、ベーコンの入ったサラダとパン、クリームスープ。
そして主役のイチゴ(スイートベリーというらしい)の入った生クリームのケーキ!! ご飯よりも先にこれを食べたくなってしまう。
満足ゆくまで食べた後、ロイさんはロイドさん達が送って来た品を渡してくれた。セイランには付与の付いた石が各種、サオリさんにはヴェントのお酒、ローナには雷の付与のついた鎚でどうやら光の魔法のように生命力を使って雷が出てくるそうだ。ハナダさんには付与付きの指なしの手袋、私には、革のブーツが2足……。
「まってね。ーーーー魔法士用に魔法が通りやすい革で出来ているブーツで、強度倍増、自動補修付きだから長持ちするわよ。それに可愛いでしょ。って書いてあるわね。」
たしかに、編み上げのブーツとローファーにしかみえない靴は可愛いかもしれないけど、デザインは戦闘用には見えない。
「で、これは私とロイからのプレゼントよ。」
そう言って渡されたのは、こっちでは子供がよそ行きで着ている、例のごとくなゴスロリの服だった。
1着目は袖がふわっとした白の半袖のブラウスと膝上のパニエが入った草色のスカート裾には花の刺繍がされている。更に見えてもいいパンツまで付いていた。お腹周りはミラータートルで出来たコルセットで胸のところまである。
2着目は白の半袖シャツに紺のベスト風の鎧、紺の半ズボンという少年風の格好だ。そして、ニーハイが数枚手渡された。
「兄さんから着たブーツをみて、合わせて作ったのよ。こっちのズボンの服はいつもの帽子の時に着てね。ほらローナ。」
「あっうん、なんかごめん。デザインは兄貴が決めたから。」
そういって手渡されたのは、麦わら帽子風の内側にミラータートルで強化されている兜(?)だった。
「これって、普段着ですよね。」
「違うわよ、戦闘用よ。この前、レインボウキャタピラーの繭を集めたでしょ。あれで作った布は魔法も通りやすいし、見かけによらず金属並みの防御力があるのよ。だから取って良い量が決まっていたり、加工方法が秘密なのよ。」
プレゼント貰って嬉しいんだけど、何だろう……。これを着て魔獣と戦っている姿を想像すると現実味が浮かばなかった。
「俺らからはこれね。ハナダに材料を揃えてもらったんだ。今俺が出来る最高の技術をつぎ込んだから。」
渡されたのは、イヤーカフスとピアスのセットだった。イヤーカフスは2輪の花のデザインで中央に石が入っている。黄色と緑の石が入っていた。ピアスは前と同じデザインで金属の部分の材質が違ってみえる。
「ビルさん達にも声をかけたんだけど、あいにく護衛が入ってるそうよ。あとでプレゼントを渡すからって言ってたわよ。
そうだ、着てみて。サイズは大丈夫だと思うんだけど。」
サオリさんの言葉を受けて2階で着替えてみたんだけど、どっちの服もぴったりだった。とりあえず、スカートの方を着て下に降りる。
「ミイコちゃん可愛いわぁ。サイズも良さそうね。サオリ、サイズ計っておいてよかったわね。」
「どういう話でしょうかね。こちらでお話しましょうか。」
実佳兄さんが、目の笑ってない笑顔でロイさんを連れて行った。たぶん、酒祭りの時だと思うんだけど、兄さん知らないもんな。
「ミカが行ってしまったが、俺らからはこれな。薬とか入れるのに使え。」
そう言って渡されたのは腰に付ける用の鞄だった。ナイフを入れる場所も左右についているが鞄の下だったり飾りになってたりで一見で分からない様になっている。
若干顔色の悪いロイさんと共に兄さんも戻って来て、お開きになった。
片付けを手伝いながら、兄さん達がいい仲間達だなって言った言葉にちょっとうるっときてしまった。
読んでいただきありがとうございました。




