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子供の誕生日があったりで忙しくしてました。遅くなりました…。

「兄さん、明日から1週間の護衛依頼で家を空けるから。」


 兄さん達と再会してから3日目の朝、流士兄さんの作った朝ご飯を食べながら私は依頼で出かける事を話した。


 ちなみに、今日の朝ごはんは手作りウィンナーとトロトロオムレツにサラダと自家製パンだった。フォレストボアを狩って来て作ったらしいけど、流士兄曰くイノシシというより豚に近いから作ってみたって言ってた。「なんで加工品が干し肉しかないんだ?」とか言って色々試してるみたいだ。いつの間にか手作りの燻製機が庭にあってビックリした。帰ってくる頃にはベーコンが朝ごはんに出てくるのかな。


 そんなことを考えている私を実佳兄さんの声が現実に戻す。


「どこへ行くのですか?」


「ヒッツだよ。聖霊の日がふた月後とかで、いつもより護衛依頼が多いんだって。正月みたいだよね。」


「面白いですね。それにしても久しぶりに皆で年を越しますね、ーーーー久しぶりに書き初めでもしますか。」


「おう、それならしめ縄とか門松とか作るか?」


「着物も探してきましょう。」


 どこまでいくんだろ、暴走を始めた兄達を私は見ている事しかできなかった。



* * * *  * * * * *



「んじゃ、行って来ます。」


「気をつけろよ。ほら、これみんなで食べろ。」


「忘れ物はありませんか。ホウ、みいこをよろしくお願いしますよ。」


『もちろん。ミィは僕の大切な人だからね!』


 当日の朝、集合場所で待ち構えていた兄達(出てくる時に家に居たのに、いつ先回りしたんだろう。)に、恥ずかしい見送りをされて私は早く出発したかった。通りすがりの人や商会のおじさんも生暖かい目で見てくるのが辛い……。



「ミイコ、大変だな……。」


 あげくにローナに同情されてしまうとは、ちょっと数日前の自分に反省を促したくなってきた。兄を呼ぶのは間違ったかな。


「お兄さん達に嫉妬しちゃうわね。私の楽しみまで奪われると思わなかったわ。」


 ロイさんは私の髪の毛を弄れなくなったことにブツブツ言っていた。そこまで楽しみにしてたとは思わなかった。まぁ、でもこの依頼中は勝手に髪を結うんだろうしいいんじゃないかな。


「危機感の無い事を考えていそうですね。」


「えっ? いつも索敵しながら護衛してるよ。」


「そういうことじゃないんですがね。」


 実佳兄さんのあきれた声と共に送り出されてヒッツへと出発した。

 そろそろ祝福も薄れて来たのか、少しずつだが中型の魔獣に町の近くでも遭う様になった。


 2日目の昼休憩後の移動で森に入ってすぐフォレストディアを感知したので、今日のおかずにしようとロイさんに断りをいれて狩りにいく。


風刃ふうじん


 この前の草刈りのおかげで詠唱破棄まで出来る様になった『風刃』でフォレストディアの首を狙う。草刈りを経験して気づいたことがある、私には手数より使い易さが大事だってことが。

 私の両手には円形の『風刃』が発動している、それを手裏剣の様に放つ。私に気づいたフォレストディアが逃げるけど、それを追尾して『風刃』は首を切り裂いた。事切れたのを確認して、手早く収納して馬車へと戻る。血抜き処理は野営地についてからハナダさんに手伝ってもらおう。


 馬車に戻る途中で、気になる気配があったので向かう。道往く馬車を品定めするかの様に眺めている男が一人と鳥?


 さて、どうするかな…盗賊っぽいけど。とりあえず後ろから気配を隠して近づくと、やっぱり先に鳥に気づかれて高い声で鳴かれる。

 振り返り様に剣を振ってきた男は黒ということにして、右斜め前から向かって来た剣をガントレットで受け流して、左手に持った麻痺毒を塗ったナイフを男の腕に突き刺したうえで昏倒させた。


 男が剣を抜いた時に上空へ飛び上がり円を描いていた鳥は、男が倒れたのをみて飛び去ろうとしている。

 さすがにナイフが届かないので、『風刃』を放つーーーー私はその光景をみて驚いた。カラスくらいの大きさの鳥は、羽を素早く動かして私の『風刃』をかき消し逃げて行ったのだ。


 身体強化をかけてから、男を担いで馬車へ戻る。道々で行き交う人達にギョッとされるが、置いていったら消されそうだから仕方ないと出来るだけ早足で歩く。


 大分時間が経っていたせいか、合流できたのは野営する場所へついた頃だった。


「ミイコちゃん、なんでも拾って来ちゃだめよ。捨てて来なさい。」


「兄貴……冗談言ってる場合かよ。ミイコ何があった?」


「ちょっと待って、その前にハナダさんこれお願いします。」


 男を地面に落として、ハナダさんにフォレストディアを渡した。


「わかった、川まで行ってくる。後から聞かせてくれ。」


「はぁ、調子くるうわ。」


「で、ミイコちゃんそちらは誰かしら?その運び具合を考えると予想はつくけど。」


「帰りがけに、道沿いの森の中で馬車を物色してたんで声掛けたら、反撃されたんで昏倒させて持ってきてみたんだけど。あと、一緒に居た鳥に魔法を消されて逃げられた。」


「あら、話聞いてないのね。これはいつ起きるのかしら?」


「う〜ん。起きても話せるのは明日の朝かも。麻痺毒がどの程度効くか人によるし。」


 結局しようがないので、明日の朝まで監視しながら放置になった。


 夜のご飯はフォレストディアの肉ではなくて、ハナダさんが川で魚を釣って来たので塩焼きになったのでした……。


「起きて、ミイコちゃん。厄介な事になったわ。」


 そう言って、ロイさんに起こされた。どうやら捉えていた男が見張り交代の隙をついて毒を飲んだそうで、気がついた時には冷たくなっていたそうだ。

 なぜ毒か分かったかというと、即効性が高いが独特の紫斑が出るという有名な毒なんだそうだ。


 ハナダさんが男について何か情報が無いか衣服を調べているとのことなので、私たちは朝食を作る事にした。昨日からミッソにつけ込んでおいた肉を焼いたものを野菜と共にパンにはさんで即席バーガーにした。

テレスティナさんがヴェントへ帰る時に、纏め収納出来るよう付与された袋を2つくれたこともあって野営の食料が豊富になったのは嬉しい。


「何も手がかりがなかった。身分証も無かったのは不自然だ。」


「たしかに不自然ね。」


 何が不自然なのかわからなかったので、ローナに聞いたら呆れた顔とともに教えてくれたのは、15歳以上はどんな僻地でも身分証を持っているそうで、それが無いと町に入るために色々と大変らしい。私はどうやら大変な目にあうところを、子供っぽいだけで町に入れちゃったのか。


「やっぱり黒かしらねぇ。どうやらヴェントとの交易が復活してから組織立った盗賊団が現れているって連絡がきてたのよ。この辺はまだだったんだけど、その一味の可能性はあるわね。」


「んで、兄貴。どうすんのこれ?」


「身分証もないしどうも出来ないわね。とりあえず弔いましょう。それで、フランへ帰る馬車に言伝を頼んでおくわ。報告はしとかないとねぇ。」


 私たちは穴をほって男性を埋め、弔った。盗賊団も斥候がやられたことで慎重になっているのか、特に馬車が襲われたという話も無く私たちはヒッツへ行きフランへと戻って来たのだった。


「今回は大変だったわね。それにしてもミイコちゃんは何かとトラブルにあうわね。」


 サオリさんの言葉に思わず苦笑した。トラブルが向こうから来るのか私が起こしているのか悩む所なんだけど、これも使命のせい? とか思ってみたり。

 そこで、サオリさんに聞きたい事を思い出した。


「サオリさん、魔獣について詳しく書いてある本か、知っている人を知らない?」


「そうねぇ、ギルドにも本があった気がするけど探しておくわ。魔獣について知っている人はミイコちゃんも知っている人でいるでしょ。ほらビルさんとか。」


 サオリさんの言葉にビルさん達の事を失念していたことに気づいた。サオリさんにお礼を言って兄達の待つ家に戻った。


「みいこ、大変でしたね。それにしても、まだまだ爪が甘いですよ。訓練の必要がありそうですね。」


「はは、顔に出てるぞ。ミカは厳しいが必要な事だ、しっかり学び取れよ。ほら、お腹すいただろ飯食べるぞ。」


 流士兄のフォローと言えない言葉を聞きながら、実佳兄さんのお説教が回避されてホッとした。きっと流士兄のことだから気を使ってくれたんだろうけど。


 いつの間に手に入れたのか、麦ご飯と川魚とみそ汁とおひたしという純和風な夕食に舌鼓をうって、ひさしぶりの湯船にホッとしながら休んだのだった。


なんだか久しぶりに戦っている感があります。


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