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更新が空きました。口内炎が3つも出来て、数年ぶりに鼻血…。病気ではないですよ。でも粘膜がよわってるなぁ。

 草刈りと魔獣退治を再会してから、どのくらいたっただろうか。昼菓の鐘(午後3時)は聞こえて来てないけど、午前中から比べると効率が落ちている。

 火の属性が使えないのが地味に痛い、延焼してパーティーごと焼けるなんて笑えないもんな。なんとか風刃ふうじんの手数の多さで賄っているけど、明らかに威力が弱まっている。どうやら、この場の風の属性残数の限界が近づいているようだった。

 仕方なく投擲のナイフで草を刈り、『水刃』でハナダさんの真似をして急所を突くということを繰り返す事数匹、クラウスさんの奥さんがおやつを持って来たので、お茶休憩になりました。


「うわっ」


 クッキーに手を伸ばそうとした瞬間、左手の紋章が光ってホウが現れた。


「ミィ、お菓子よりもレベル上がったよ!やっと僕もミィと一緒に戦えるよ。ガントレットを外してもらえる?」


 ホウの言う通りガントレットを外すと、ホウの輪郭がぼやけ赤い光となり私の腕に集まったかと思うと、全体が赤でドラゴンの意匠の入った手の甲の先に爪のあるガントレットとなった。


『どう、どう? 格好良いでしょ! あともう一丁。』


 そして、また再び赤い光となり左手首に集まる。光が収まるとそこには同じくドラゴンの意匠が象られたブレスレットが出来ている。


『これで、常に外に出ていられるよ。どう、すごいでしょ。』


 しっぽを振るホウの幻影が見えました。


 しっかり褒めたけど……。周りの皆がポカンとしてるし、クラウスさんと奥さんはお茶を思わず吹き出してたよ。逸る気持ちはわかるけど、タイミング考えようね。


 そしてホウのお披露目が終わったのを見計らってか、例の不思議な人からの言葉が頭の中へ響く。


『汝の邁進は感謝しても足りないくらいだ。赤き根源の君の成長と汝の奮闘を祝って、贈り物をしたいと思う。人を生き返らせることは出来ないが、向こうの世界の物でも大丈夫だぞ。』


 贈り物か、前回と違ってこの大陸の成長ではなく私への贈り物か……。


 う〜ん。


『人でも大丈夫なんですか?』


『汝と違ってドラゴンは無いぞ、異世界からの転移特典だけだ。そして呼ぶのはいいが、帰してはやれない。』


 ふむ。


 雅姉さん対策で兄さんを呼びたいな。雅姉さんの天敵だし。兄も常々未知なる世界に旅立つ野望をもってたし、いいかな。


『それじゃ、私の兄をお願いします。』


『承知した。なにか伝えることはあるか?』


『そうですね。「フランで待つ。詳細は会ってから」でお願いします。あっでも私が帰るまで待ってくれるかな。』


『そこのところは、我が調節しよう。ではまた会えるのを楽しみにしていよう。』


 声がフェードアウトしていく。一言いいたい、一度も会った事無いよ。


 ここまでの間、私はお茶を飲んでクッキーも器用に食べていた。ホウのことを聞かれた様な気がするけれど、さすがに同時に考えるのは無理だった。ロイさんはあきれて、「あとでじっくり聞かせてもらうわね。」って言ってた様な?


 お茶の後は、レベルが上がった事によって覚えた『水弾すいだん』で少し楽になった。草から見えているレインボウキャタピラーの背中の位置で、おおよその急所の位置を推測して撃つ。

 セイランの作ったピアスのおかげだけではなく、ホウがガントレットになっていることも威力や効率にいい影響を与えているようで、鬱蒼と生えている草に威力をそがれても問題なく倒す事が出来た。


 難点は、草はやっぱり投擲ナイフで刈らないといけなかったことだろうか。腰が痛くなってきた……。


 クラウスさんの静止の声を受けて、作業を止めたのは日が暮れるほんの少し前だった。出来上がった土地は東京ドーム2個分といっていいくらいだろう。あくまでおおよそだけど。


「ほんに、助かりましたわ。これで、精霊様からもろた種を植える事が出来ます。」


「これ全部なんですか?」


「いんや、ヴィント大陸から、やっと仕入れた薬草の種も蒔くんですわ、いままで滞っていた薬草の品種改良もありますんでね。

 さて精霊様がくだすった種はどんな作物になるか、ほんま今から楽しみですわ。」


 まだ草を刈っただけの畑を前に、クラウスさんの目はおもちゃを前にした子供のようだった。植物性の油が量産されるのも遠い世界じゃないかもしれない。

 

 日が暮れると、昨日と打って変わって肌寒くなって来た。


「寒っ……。同じヴルカ大陸とは思えないな。」


 昼いっぱい休みをもらったローナは顔色が良くなっているが、寒さに身を震わせていた。ローナはフルアーマーといっても常に暑いヴルカ大陸なので、ところどころ素肌が出ている仕様だったりする。


「そういえば、寒いね。」


「ミイコは気にならないのかよ。辺境もこんなだったのか?」


 ローナの言葉に、寒さに違和感を感じてなかった事に気づいてしまった。とりあえず、あいまいに笑っておいた。ーーー日本には四季があるもんなぁ。それにしても、たしかにフランより寒い気がする。


「ははは、ここはヴァンサ大陸に近いんでこの時期からは、気温もフランより寒いですわ。こっち方面に来てないとわからんかもなぁ。」


 気候が違って当たり前と思ってたけど、経験してなかったら不思議な感じだよな。


 夕食は寒くなって来たからか、すいとんだった。まさかここでこの料理に出会うと思わなかったけど、麦があって味噌汁があれば不思議ではないか。おそらく根菜だろうと思われる何かが入ったすいとんを食べて、ほうとうとかいけそうとか思って提案してみると、似たような料理がすでにあった……。明日もやっかいになるので、フォレストボアの肉を渡してリクエストしておいた。


 翌朝ロイさんの希望で、レインボウキャタピラーの繭を探すため森に入る事になった。


「レインボウキャタピラーの繭で作った生地は、柔らかさだけでなく頑丈さも持ち合わせているのよ。ふふふ、楽しみね。」


 初めて会った頃より、だいぶオネエ化が進んで来たロイさんに、残念な目を向けてしまうのは仕方がないと思うのですよ。


「ミイコ、言いたい事はわかるよ。ーーーーどうしてこうなったんだろ。」


 どちらかというと黙ってれば、騎士って感じなんだよな。両手剣を使いこなしているけど本当は文官って聞いて驚いた。体も鍛えてあって種族特性だけではない筋肉なんだけど。


「なによ、これは長年しみ込んだものだから仕方ないのよ。ほらほら行くわよ。」


 2人して首をかしげながらロイさんに着いて行く、ハナダさんは平常通りである意味すごいよな。


 森の奥深く、レインボウキャタピラーが繭を作っている大木があった。その大木のまわりは近寄りがたい神聖さが漂っていた。


「この繭は、事前に申請した量しか取ってはいけないのよ。越えて取ると刑罰があるから気をつけるのよ。」

 

 そう言ってロイさんが指示して繭を数個、木から切り取り収納する。レベル上がって収納数がまた5増えてたから良かったけど、増えてなかったらこれを手で運ぶとなると2人がかりだな。目の前の2メートルはあるだろう繭を見て、そう独りごちた。


 村へ持ち帰ると、村長さんと数人の男性が大きな鍋にお湯が沸騰させて待ち構えていた。


「繭をここへ入れてくれんか。」


 言われた通り繭を入れる。


「後はこちらで糸まで仕上げるでな、ゆっくりやすんどってくれ。」


 追い立てられる様に、クラウスさんの家へ戻った。どうやら、糸にする方法は見せたくないようだ。まぁ、密猟防止もあるのかな。

 

 翌日には大量の糸になっていたので驚いた。ロイさん、こんなにどうするんだろう。


 帰りもファイウェンを経由してフランへ帰る事になる。すっかり忘れてたけど、セイランも回収して帰らないと。


 クラウスさんから、依頼料代わりに麺類を数種類(うどんだけでなくパスタらしきものもあった!)貰って村を後にした。

村人の言葉は、うちの地元の方言をもじってるので変な感じですが気にしないでほしいなぁ。


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