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体調が元に戻った!ご飯が美味しい!!

 テレスティナさんとロイドさんがヴィント大陸に旅立った翌日、私達はギルドに新しく併設されたカフェに集まっている。まだローナは来てないがじきに来るだろう。


「何してるんですか。」


「暇つぶしよ。」


 ロイさんは、私の髪を先ほどから試行錯誤しながら編んでいる。後からほどけるんだろうかこれ……。


「お待たせ!うわっ兄貴何してんの、ミイコなんかごめん。」


 ローナに同情の込めた目で見られて、あやまられる。そう思うなら今すぐ助けて欲しい。まだ手が動いてるんだけど。


「もてるのも大変だな。失礼するよ。」


 そう言って、ローナの後ろから付いてきたビルさんがテーブルにつく。


「どうしたんですか?」


 私はビルさんの言葉を流した。今の私は微妙な顔をしていると思う、ロイさんを異性って感じないんだよな。


「いや、2人も抜けた上に一人はリーダーだったろ。何から始めたらいいか迷っていると思ってな。手助けになるかと依頼を持ってきた。」


 そう言って、ビルさんは依頼の紙を渡してくれた。ヴェント大陸の航路が復活した事で変わった事がある、それは前まで木片に書かれていた依頼が紙になった事だ。どうやら紙製品はヴェントとの交易によって手に入れていたようだ。


「酒祭りが近々あるだろう?今年のフランは人が集まるだろうからな、商会も馬車を増やして仕入れをする事になったから護衛を臨時で雇うんだ。どうだ?」


 ビルさん達も一緒だというので、私たちはそれもいいだろうと受ける事に決めた。酒祭りは日本で言うと7月頃の祭りになるらしい。ツヴィンガも1年は12ヶ月で、どうやら地球で呼ばれた頃が3月だったことを考えると、さほどズレも無かった様だ。ただ、常に熱いので季節は感じる事ができない。


 今回はトラオムというポラール山脈の麓の村に向かうそうだ、往復でひと月といったところだろうか。色々あって酒祭りまで期間がないので、明後日には出発するそうだ。もともと私たちを誘うつもりではいてくれたらしいが、テレスティナさん達が立つまで声をかけるのを待ってくれていたらしい。


 今回も、長距離の移動なのでセイランはお留守番になる。ずっと一人で狩りをしているそうで、残念がっていた。



「今回は、わしらのパーティーに組み込まれる事になる。一緒に戦った事もあるから連携は問題ないだろう。よろしく頼むよ。」


 ビルさん達3人と私たち4人の7人で2つの馬車を護りながら歩く。もう2台あるのだが、そちらは前回会う事のなかった専属の冒険者が護衛している。


「ミイコちゃん、会わない間に女の子らしくなったわね。」


 メリダさんが私をみてそう言った。実はロイさんの意向を受けて、ロドウェルさんが兜を帽子風で作ってくれた。帽子の中に猫耳がある様な形の帽子であるーーーさらに、今朝ロイさんに会ったとたんに三つ編みにされたのだ。


「ロイさんのおかげですかね。(髪を結んでもらったり。)」


「あら、結びの季節が来たのかしら?」


「?」


 後で聞いたのだが、結びの季節とは恋をしているってことだった。ビルさんといい、なんで恋愛こっちの方向へ話を持って行くんだろう。


 10日程は、相変わらずのフォレストディアとフォレストウルフに出会うくらいで特に問題も無く進んで行く。


「この辺りから、魔獣の種類が変わってくるから気をつけた方がいい。ポラール山脈に近いからな、少しずつだが強くなるんだよ。」


 ビルさんがそう言って、私たちに良く出る魔獣の特徴を話してくれた。数刻あるくと、複数の魔獣の気配を察知したので、ビルさんに報告する。


「どうやら早速お出ましのようだ。」


 キラーアントが群れで現れる。30センチくらいのアリでもちろん殻も固い。やっかいなのは最低でも10体の群れで現れることだ。今回は15体なので少なめなんだろう。


「わしとローナは叩き潰すので問題ないだろう。ロイ達は関節を狙え、ガイツとメリダは馬車を頼む。牙に気をつけるんだ、毒を受けるぞ。」


 ビルさんは素早く指示を出して、早速ローナと共に走り出し近場のキラーアントから叩き潰していく。


 ハナダさんはキラーアントをすくい投げて器用に関節を狙って槍を動かしている。


 ロイさんは盾を構えながら、両手剣バスタードソードを片手で扱ってキラーアントと戦っている。


 私も『炎盾えんじゅん』と『炎刃えんじん』を同時発動しながら、焼き切る様にして頭と銅の間の関節を狙っていく。

 盾を自分の意志で移動できる様になったので、盾の陰からキラーアントの横に回り込む。高温で白くなった刃を突き立てると、関節だけでなく殻も溶けていった。

 

 そうして何匹か同じ様に繰り返したところで、キラーアントの群れは全滅したようだった。


 そして、また久々の例の声だった。前回の旅から戻ったときはLv5になっていたのだ。


『成長に精力的で重畳、汝の世界にあるもので欲しい物を問う?武器類の知識は不可だ。』


 その言葉に、私は頭を抱えた…。


「ミイコちゃん大丈夫?どこか毒を受けたんじゃないでしょうね。」


 ロイさんに見られて手をとられたが、ホウからレベルが上がった話をうけている所だと話す。それにしても、落ち着いた場所で聞いてくれないのだろうか。レベルは戦闘後に上がるのだから仕方ないのだが。

 思いつかなくて、この前考えた事をかなえてもらう事にした。


『油が欲しいです。』


『油はあると思うが?』


『私の世界の植物性の油を天ぷらなどが出来る程の量欲しいです。』


『ふむーーーーそれを思い浮かべて貰えるだろうか。』


 私は、お店で売っているおなじみの植物油を思い浮かべる。


『なるほど、ナノハナと呼ばれる花はこちらには無い。新しく生み出して、適正のある者に神託として授けよう。こちらの世界に馴染ませるため名を弄らせてもらう。ヤノハナとなる。ーーーしばし時間がかかるが赦せ。』


 そう言って、声は唐突に切れたのだった。聞けなかったが、まさかチチズやミッソも私と同じ様にして叶えられたものなんだろうか。ネーミングを考えるとあながち間違いじゃない気がするんだけど。

 

 だとすると植物油と出会えるのは、かなりの時間を覚悟する必要がありそうだった。


 私が、例の声と話している間に片付けは済んだようだった。申し訳ない気がするが、いまさらどうしようもない。素早く馬車の側に戻って再びトラオムへ向かって歩き始める。


「ミイコちゃんは、複数の魔法を展開できるのじゃな。わしは無理なんじゃが、才能のあるものは違うんじゃろうかの。」


「確かに、レベルのあがりも早いわ。普通の人の数倍で上がっているわよ。」


 ガイツさんとメリダさんの言葉にドキッとしながら、笑ってごまかした。一応、早く上がる人が居ない訳では無いみたいだ。実際ローナも普通の人より少しだけだが早いらしい。


 トラオムには次の日には着いた。酒を造っているはポラール山脈の中腹なのだが、この山脈の魔獣は最低でも緑ランクはないと難しいそうで、効率よく商売できるようにと出来たのがトラオムの村だ。

 定期的に醸造所からトラオムの町へ専任の冒険者が酒を運んでいるそうだ。


 1日休んで、明後日には出発することになった。ビルさん達がいつも定宿にしているところへ案内してもらって、早々に休む。


 翌日は、サオリさん達へのお土産用に酒を探した。果実酒から麦酒まで幅広くあるので迷ったが、梅のような果実をつけ込んである果実酒があったので、それにしてみた。どうやらトラオムの特産のプラオム酒というらしい。


 明日には出発するという事もあって、飲みたくても飲めないロイさん達はお小遣いと共にお酒を収納してくれるよう樽ごと渡してきた。フランに戻ったらどんだけ飲む気なんだろうか。


 そうして、フランへの帰途へとつくのであった。

読んでいただきありがとうございました。


日数に矛盾があったので修正。

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