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子供を添い寝してると、なぜかそのまま寝ちゃうのはなぜなんでしょうね。

 朝起きて、いつもの様に裏庭に行くと…。野営のテントが所狭しと広がってました。フランに人が集まってると聞いたけど、ここまでとは。仕方が無いので、ギルドの訓練場へ行く事にした。


「おはようございます。訓練場貸して下さい。」


「あら、早いのね。いまはローナちゃん達が使ってるけど、一緒でも大丈夫かしら?」


 サオリさんが居る事のほうが、びっくりなんだけど。いつも居るけど、ギルドってブラックなのか?


 ローナは、おそらくビルさんに稽古をつけてもらっているんだろう。なら、私が入っても大丈夫かな。了承して訓練場へ向かった。

 思った通り、ビルさんがいたので私も久しぶりに組み手をお願いしてみた。


「久しぶりの師匠のしごき、きっつい。」


「そうかな?ビルさん優しいよ。」


「あれを優しいとか、ミイコがどういう暮らしをしてきたか気になるよ。」


 ローナの言葉に首をかしげる。


「頭と体の両方で覚えられる様に教えてくれるなんて、優しいと思うけど。うちなんて、「ここをヒョイっと、そしてドンでな。クルッとしてダンだ。」で、最終的には見てやって感じろだったんだよ。」


「そういう事じゃないんだけど。」


 ローナは可哀想な子を見る目で私を見てる。なんか変な事言ったかな。


「今日防具屋に行くだろ、ロイド兄貴も行くって。わたしらだけじゃ不安とかいってたけど、ロド兄貴んとこだから問題ないだろ……。」


 例のアングリーベアを防具にしてもらうのは、ローナのお兄さんに加工をお願いする事になった。ロド(ロドウェル)さんは、長兄になるらしい。顔の半分を覆うかのような髭が印象的な人で、ローナと100歳も離れている。


 朝食をとってロドウェルさんの工房にむかうと、ロイドさんだけでなくテレスティナさんも居た。


「どうしたんですか?」


「それはねぇ〜。」


 私の言葉に返すテレスティナさんの言葉を遮って、ロイドさんが話す。


「俺から話すよ。ローナの装備をもう少し強いものにしようと思ってな。魔獣の攻撃をある程度防具で受けれるものにしたほうがいいと、ビルさんからもアドバイスがあったんだ。

 それで予定より革が余りそうだからテレスティナさんにもと思って呼んでみた。」


「へぇ、師匠がそんなことを。んで、どんなのにするの?」


 ローナの言葉には奥から出て来たロドウェルさんが答えてくれた。


「おう、ローナいい師匠に巡り会えたじゃないか。ビルさんといやぁ、『剛亀』と呼ばれた一流のタンカーだ。

 でだな、防具の素材だがピーゲル湖のミラータートルの甲羅を穫ってこい。3頭分もあれば大丈夫だろう。」


「はぁ、素材は穫ってこなきゃ駄目なのか……。ーーーーいでででで」


 ローナはロイドさんに、こめかみを拳でグリグリされている。い、痛そう。


「おまえはぁ…まだ分不相応な装備を、素材持ち込みで格安で作ってくれるんだ。そんな俺たちの妹愛をわからないとはなぁ」


 そんな2人を傍目に私はテレスティナさんと話している。


「何を作るんですか?」


「胸当てを作るのよぉ。今まで使ってたのは〜付与術がかかってるものなんだけど、経年劣化しちゃったのよぉ。」


「付与術って、セイランのやっていることとは違うんですか?」


「詳しくはわからないけどぉ、違うと思うわよ。セイラン君のは付与というより〜精霊そのものが宿ってるっていう感じがするわねぇ。付与術の装備は、耐性はあっても魔法の効率が良くなる事はないのよ〜。」


 テレスティナさんの話を聞いていると、ヴィント大陸に行ってみたくなる。それより、私ってこの大陸から出てもいいんだろうか。


 そんな話をしている間に兄妹漫才は終わったみたいで、私とテレスティナさんの採寸をする。


 そして例の素材を取りに行くのは明日からにした。ピーゲル湖は1週間かかる距離にあるらしい。



 翌朝いつもの様に門で待ち合わせしていると、どうやら同行者が一人増えたようだった。


「おはよう。今回も私がご一緒させてもらうわね。」


「どうしたんですか?」


「祝福による魔獣の発生区域を調べるために行くのよ。今回は装備もしっかりしてきたから大丈夫よ。」


 ロイさんって黙ってると、かっこいいのに残念だよな。


「ミイコちゃん、思ってる事バレバレよ。そして2人とも、もう少し女の子であることを意識しなさいーーーーー。」


 ロイさんのお小言を聞き流しながら、他の人が来るのを待っていると程なく全員が揃った。


「ロイ……。一応ミイコちゃんは年頃の女の子なんだぞ、髪を触るのはどうかと思うんだが。合意か?」


「ふぇ?」


 どうやら、話を聞き流している間に髪の毛をいじられていた様だ。頭をさわると、無駄に凝ったアレンジがされていた。


「あら〜素敵ね。私もしてもらおうかしら。」


 テレスティナさんの言葉に、ロイドさんが固まっている。それをみたロイさんが面白そうな顔をしていた。


「はぁ、そんなことはいいから行こう。」


 ローナの言葉に促されて動き出した。目の前のローナの頭をみて、私は自分の頭がこうなってるんだと分かったんだけど、確かに上手だな。



 移動の2日目までは、魔獣に会う事がなかった。ヒッツからフランまでの道は1日目の移動範囲くらいまでだったので、山からの離れ具合によるのだと思う。


 3日目からは、フォレストディアやラビットマウスなどのおなじみの魔獣が出て来た。今回初めて会ったのはフォレストボアとスティングホークくらいだろうか。

 フォレストボアは緑色のいのししで木々の間を器用に走り回ること以外は特徴がなかった。特筆すべきは美味しいくらいだろうか。

 スティングホークは、素早い動きと羽を針の様に飛ばしてくる厄介な鷹で主に平原で遭った。テレスティナさんの『風矢ふうし』で撃ち落としたり、私の『水纏すいか』で首をキュッとしたりで思った以上に楽だったんだけど、厄介さを説明したロイドさんは釈然としてなかった。


 

 湖に着いたのは、ちょうど7日目の昼頃だった。拠点を確保してから、半分に別れてミラータートル狩りをする。


「はぁ、きれいな湖だな。」


 そう言ってローナが湖に入って行くのをみて、ロイさんが慌てて止めるが遅かった。


「ぎゃぁーーー!」


 いまいち可愛らしくない声を上げて、ローナが足をあげてバランスを崩した。そのまま尻餅を着くかと思ったら。緑の髪に褐色の肌の青年がローナを抱きとめる。


「大丈夫か?」


「はっはい、ありがとうございます。」


 ローナは顔を赤くして、お礼を言った。青年はローナを足場の良いところへ移動させて、そのまま去って行く。


「ローナ何があったの?」


「うん、あっと、なんかプニプニしたものがいてさ……。」


 少し呆然としていたが、ローナが状況を話してくれた。それに、ロイさんが補足を入れてくれる。


「それは、スライムよ。ロイド兄さんが説明してたでしょ。本当に聞いてないんだから。ミイコちゃんもでしょ。」


 えぇ、確かにその時は湖にみとれてました。どうやらキラキラ輝いていたのがスライムだったらしい。じゃぁ、あの眩しい光がミラータートルか。


「スライムは滑るだけで害はないのよ。だから私が近場のミラータートルをおびき寄せるから陸で待ってなさい。」


 私はロイさんの話を聞いて、良いことを思いついた。


「ロイさん、私がそれやりますよ。」


 そう言って、土の刃を詠唱する。


「鋼よ集まりて我の爪となれ、『土刃どじん』」


 靴の先端に爪が出来た。これでスライムを潰しながら行けるだろう。土の魔法は土だけでなく鉱物もいけるようで、なかなか有能そうだった。惜しむらくは、鉱物になると使える量が少ないし弱い。使えても3センチ程度なのだ。


 膝下くらいまで水に浸かっても、まだミラータートルまで2メートルくらいある。


「風よ集まりて我に纏え、『風纏ふうか』」


 『土刃』が消えて、腕に風が鞭の様に巻き付いている。それを伸ばしてミラータートルを挑発する。最初は殻にこもっていたが、鬱陶しく感じたのかこちらへやって来た。ある程度距離が縮まってきたのを見て、『土刃』を再び詠唱して陸へ急いでもどる。


「お疲れさま。甲羅は必要だから、ひっくり返してお腹を狙うわよ。特にローナは鎚なんだから加減を気をつけなさいよ。」


 やってきたミラータートルは2メートルくらいで、その頭にローナが鎚を振り下ろす。その衝撃をうけて、ミラータートルは、甲羅の中に頭と手足をいれて閉じこもった。


「さてと、こうなったら少しの間は大丈夫なそうよ。ひっくり返しましょうか。」


 その言葉に待ったをかけて、私はロイさんに聞いた。


「ミラータートルの甲羅って熱に強いですか?」


「確か強かったとおもうわよ。加工方法は金属に近いみたいだし。それがどうかしたの?」


 その言葉に、『炎刃えんじん』を発動させて首があった位置に刃を差し込む。ミラータートルが熱さで手足を出して逃げ出そうとしたので、ロイさんが剣で手足を切り落とした。

 5分ほどだったろうか、美味しそうな臭いをさせてミラータートルは蒸し?(焼き?)死んだ。


 もう一匹いこうとしたところで、ロイドさん達がやって来て必要数が揃った事を教えてくれた。どうやらハナダさんが一気に2匹倒してくれたらしい。そして、そのまま釣りへ向かったみたいだ。

ハナダさんがどうやって倒したかは次の話で…。


ヴァンサ→ヴィント

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