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久しぶりの雅姉さんです。昨日投稿したかったけど、暑くて進まない…。

「ねこちゃん、これ着てくれない?」


 雅姉さんが手に持った制服を渡してくる。


「これって…近所の私立小学校の制服だよね。さすがに、高校生にもなってそれは嫌なんだけど。」


 私は制服を受け取らずに答えた。しかし雅姉さんが笑みを深めて有無を言わせない迫力で、私に制服を再び手渡す。


「で、私にこれを着させて何させるの?」


「この近所で紳士らしからぬ男がいるのよ。ちょっとお仕置きを、ね?」


 雅姉さんの笑みが更に怖いものになって、背中に冷たいものが走る。素早く着替えて、人通りの少ない路地で泣いているように佇む。

 10分くらい待っただろうか、背後から誰かが近づいている気配がした。


「お嬢ちゃん、どうしたんだい? 親とはぐれたのかな…。おじさんが探してあげよう。」


 男は、そう言って私の手を引こうとする。振り返った私が見たものは、全裸にコートを羽織ったテンプレ変態だった。



「きもっ!!」


「きゃっ、ミイコちゃん大丈夫?」


 『きゃっ』??、なんで女性の声がするんだろう。確か男を肌に触れずに速やかに沈めたはず…。


「まだ寝てるのかしら〜?とりあえず、皆に知らせて来るわね。」


「ミィ、『促進』の使い過ぎで倒れたんだよ。覚えてる?」


 目の前にドラゴンが居る。ドラゴン?そうか、ここは雅姉さんに呼ばれた異世界だった。


 ひどい夢を見たものだ、どのくらい寝ていたのか分からないが体が固い。私は、その場で軽くのびをする。どうやら馬車に寝かされていたみたいだ。


「う〜ん。意識が遠のいていったのは、覚えてる。ロイドさんは大丈夫?」


「大丈夫。ミィのおかげで、すぐ動けるくらい回復してたよ。」


 ホウと話している間に、バタバタと音をたてながらローナが現れて私に抱きつく。


「ミイゴよかった〜。3日も寝てだんだよぉ、起きないがと思った。」


 ローナは鼻声になっている。それにしても3日も寝てたなんて、心配かけたな。ローナの背中を『大丈夫だよ』とポンポンとたたく。


「ローナちゃん、起きたばかりなんだから抱きつくのは止めなさい。ミイコちゃん、私と兄さんの治療でこんなことになって申し訳なかったわね。」


「いえ、私はロイさんに助けられたようなものですし……。」


「いや、ロイのことは気にするな。まともな防具も武器も持ってない状態で、出てくるほうが馬鹿なんだ。ミイコちゃんなら、場合によっては躱せていただろうしな。ーーー俺も助けられた、ありがとう。」


 ロイドさんからそういわれたが、あの時その判断が出来たかは分からない。やっぱり助けて貰った気がする。


 ハナダさんの姿が見えないと思ったら、何か食べるものを持って来てくれたようだ。


「これは……。」


「乾飯という。米を炊いて乾燥したヴァンサの携帯食だ。長持ちするからセイランに持たされたんだが、消化にいいのでお湯で溶いて来た。」


 そういや3日も食べてないんだった、固形物は危ないよな。急にひどい空腹感に苛まされたけど、我慢してハナダさんの用意した重湯のようなものを食べる。美味しくはないけど、久しぶりの米の味だった。

 

 まだ体力の消耗が激しいだろうとのことで、歩こうとした私に馬車に乗ってでの移動を厳命される。


「ホウ、『促進』は何を消費してるの?」


「う〜ん、おそらくだけど。自らの魔力かな。普通は倒れるところまでいかないんだけど、致命傷になるような傷を2回も連続で治したから枯渇したんじゃないかな。」


「ホウでもわからないんだ。無理しないよう気をつけるけど、また仲間が傷ついたら同じ事しそうだよ。」


 ホウが困った顔をしたような気がする。


 私が起きてから4日ほどでヒッツに着いた。大事をとって3日ほどヒッツで宿泊することになった。


 再び、この町のチーズケーキっぽいものを食べた菓子屋に行く。なぜかヴィーダでショートケーキとチーズはあったのに、チーズケーキは無かったんだよな。帰りも寄るだろうと思ってたから楽しみにしてたんだ。


 私がもう大人しく寝ていることができないだろうと思ったのか、保護者役でテレスティナさんだけでなくロイさんも着いてきた。なぜロイドさんじゃないのか聞いたら、甘いものが見るのも苦手なんだそうだ。


「私、チチズ好きなのよ。それにしても、チチズケーキって美味しいわね。ゴウトカウってどんな魔獣なのかしら。」


 ロイさんの言葉を聞いていた店員さんが、答えてくれた。


「ポラール山脈のオクセ山の頂上付近にいる魔獣ですよ。うちの親戚が飼うのに成功したんです。

 定住している珍しい魔法士一家なんですよ。収納魔法で運んでくるので、運が良ければゴウトカウ乳が飲めますよ。」


 ポラール山脈ってどこだろう、思わずテレスティナさんを見つめる。


「ヒッツから南に1週間行ったところにある山よ〜。その辺りでこのポラール茶も採れるのよぉ。私もまだ行った事は無いわね。

 それにしても、魔法士が家族で複数人出る方がすごいわねぇ。」


「そうなんですよ、なぜかそのゴウトカウを飼育している家族だけ魔法士が出るんです。不思議な事に、ゴウトカウに関わる仕事から離れると魔法士じゃなくなるんですよ。

 それに、うちはゴウトカウ乳で作れる各種製品を売り込むアンテナ店でもあるんです。」


 店員さんの話に、みんなは驚いている。よほど不思議なことらしい。私も何か作為的なものを感じて、もしかしてと思う事がある。


 私たちが興味を持っているのを感じて、店員さんは「今度、親戚に話しときますので、興味があるなら行ってみて下さい。」と、気軽に言ってくれた。ゴウトカウが気になるのでいつかは行ってみたいな。


 ゴウトカウの話が一段落着いた頃、ここに居ないカレンさんの話になった。


「それにしても、カレンさん残念でしたね。ここのケーキ楽しみにしてたのに。」


「そうねぇ、慣れない旅に疲れたのかしら。ヴィーダ勤めの役人は外に出る事がないのよ。そのうえ盗賊に襲われたことも彼女には刺激が強かったでしょうしね。」


 カレンさんは、この町に着いたとたん寝込んでしまった。今はローナが看病をしている。


「2人にお土産を買って行ってあげましょ〜。今は食べれなくても私たちなら保存できるものねぇ。ちょっと自分の分も買っておこうかしら〜。」


 テレスティナさんの言葉に私も心惹かれるけど、自分の分までは入りそうにないや。


 出発予定日にはカレンさんも体調が良くなったので、フランへ向かって出発する。祝福の影響も薄れて来たのか、行きよりもやや魔獣との遭遇率が増えた気がする。特別変わった事も無く、4日程でフランへ到着した。


「やっと帰ってきたーーー。」


 ローナが伸びをしながら大声で言うので、注目を浴びて恥ずかしかった。


「サオリさんも心配してるだろうし、皆でギルドに報告へ行くか。」


 ロイドさんの言葉にうなずいて、皆でギルドに向かう。


「おかえりなさい!長かったわね〜。怪我とかしなかった?」


 サオリさんの言葉に、思わず目をそらす私とロイドさん。それを見たサオリさんが、私の手をとって体を見回す。


「傷はなさそうだけど……。もしかして、見えないところ?」


 服をひっぱられたので、あわてて手を押さえた。『促進』の使い過ぎで倒れた事を白状する。


「盗賊が出たの、それは大変だったわね。海が渡れなくなってから、仕事も減ったせいか盗賊も増えたのよ。大事に至らなくてよかったわ。」


 ヴィント大陸へ渡れるようになったのは、まだ伝わってないのか……。少しホッとしてしまった。もう少し、テレスティナさんと冒険していたいと思う。


 サオリさんにお土産を渡して、赤熊亭へ向かう。もちろん、レッドベアで食事をすることは決まっている。


 赤熊亭に入ると、おかみさんがハグで「おかえり」と迎え入れてくれた。日本に居た頃はハグなんかされた事無いけど、家に帰って来た気がする。

 部屋に荷物をしまって、おかみさんにお土産を渡して、レッドベアに向かう。


「これがチチズか。話には聞いた事はあるが、見たのは初めてだ。ーーーーーうん、果実酒に合いそうじゃねえか。ミイコ達は面白いものを持って来てくれるなぁ、ありがとよ。」


 テレスティナさんが先にきて、レッドベアの親父さんにお土産を渡してくれたらしい。料理に使えるようにテレスティナさんにお願いして多めに買って来たんだよね。どんな風にばけるか、楽しみだな〜。今日はおそらくサオリさん達のつまみになりそうだけど。


「ミイコちゃん無事でよかった〜。ハナダに聞いてびっくりしたよ。俺も一緒にいけばよかった。」


 セイランが抱きついて来た。地味に気配隠すの上手なんだよな、ホウも気になっている様だが、さすがに体が大きくなったので出れなくてイライラしている。離れるよう、腕で押しているんだけど力が強くないか?気を使って全力を出せない私が駄目なのかな。


「この変態は誰かしら?ミイコちゃんが嫌がってるじゃないの。」


「変態に変態と言われたくないね。誰?」


 引き離してくれたロイさんに、セイランが突っかかっていく。タイミング良くロイドさんが現れて説明してくれた。でも、食事中も険悪なままだった。


 フランに戻った安心もあって、私もお酒を飲んでみた。柑橘系の果実酒は飲みやすく、チチズも美味しいからか飲み過ぎた気がするけど……。こんな日もいいな、気持ちよく笑いながら食事をした。

お酒は国の法律に合わせてってことで、フランではオッケーです。町の名前が沢山になってきたので、地図をアップしようか悩みますね。

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