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空想家は意外な発見をするものか?

作者: 彩真 創


 俺は一人、机に向かって、考える像と成っている。

 いや、本物の像になっている訳ではない。これは物の例えと言うものだ。


 して、クラゲとは、海と書いて月と書く。


 海は空。

 その水面に漂うクラゲが古人には月に反射する第二の月に見えたのだろう。そう考えると、何気に風情がある。


 俺は一人、また感慨深げにうなずく。


 さて、人間とは、人の間と書く。

 人と人との間にあるものを、俺たち人間という。

 では、俺は、俺たちは、人間ではないのか?

 変な話しだ。

 もっと、深く、根本的に考えてみよう。


 人と言う文字。


 Yの字を反対にひっくり返したものだ。

 どうやら、枝分かれした道に人なるものが逆さにして立ったからなのだろう。


 いや、待てよ。


 人成るものと人成るものが寄り添って、人と成った方が風情があるのではないかっ?!


 そうすると、人は二人で『人』を表すことになる。

 はっ、そうすれば、人と人の中間という意味で、人間になるのだろうか!


 なんと言うことだ!!


 なぜ、今まで気付かなかったのかっ。

 これは、すばらしい発想だ。ノーベル賞ものだろう。

 急いで論文に書かなければ。


 筆をとり、巻物に走り書きをする。


「ヨータ、夏休みの宿題終わった~」

「邪魔をするな、姉上。俺は今、今世紀最大の発見をしたのだ」

「はぁ? あんた、読書感想文で何、発見すんのよ?」

「読み、書きはすなわち、文字の感想! 考えるべき物事であろう」

「あ~、意味わかんないけど、またずれたことしないでね。恥かくの私なんだから」


「大丈夫だ。これは素晴らしいものだ。表彰は間違いないだろう」

「ふ~~ん。習字道具で?」

「基礎は大事でだろう」

 とりあえず、早く出て行ってくれないだろうか。俺の論文を姉君は盗作するつもりかっ。


「巻物、どこで手に入れたの?」

「手製だ」

 こんなの、資料集見れば簡単に作れるものだ。

「作文用紙は?」

「あんなもので、読書感想文は書けない。奥が深いのだ。これは」

「…………あんたって、ダメダメなのか、すごいのかわからないわ。まぁ、どちらもバカはバカ、か」

「なに!」

「お休み~」


 聞き捨てならない、言葉だ。言葉を正しく使わない姉上の方が、ダメダメだろう。

 上に、ダメを持つ弟の苦労を考えてほしいものだ。

 いかん、いかん。


 さぁ、続きだ。


 書きづらいが、それでこそ、感想文と言うものだろう。

 日が私を照らすまで、筆を走らせたのだった。




 了

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