表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/5

第2章

若い僕の煩悩は日夜、葛藤し続けた。君の透き通るような白い肌。鎖骨の周辺の艶かしい造形美・・。手が届きそうで、永遠に届きそうにないように思える君の存在・・。

だが、僕は、その責苦を自分に目標を課して勉強に打ち込むことで、昇華していった。

僕は心底、この出会いを1%の奇跡だと信じるようになっていた。

だから、君のためにできることは、何でもしてやりたかった。

君の笑顔をいつも見ていたかった。

だけど、君は「あなた好みの女にしようたって、そうはいかないわよ」と、僕の僅かな経済的な援助も、すげなく断るのだった。


好きな女性が、朝から晩まで身を粉にして働き、睡魔と闘いながらレポ−トを書いている姿を間近に見ていると、ただ単に、君が女性として素晴らしいから・・という理由を超越して、僕は厳粛な気持ちで、君に敬意を覚えていた。


僕は、『カルネアデスの船板』を思い出した。

これは、もし船が難破し漂流した時、2人でつかまった船板が1人分の重量にしか耐えれないとわかった場合、自分の命を守るために相手を殺しても罪に問われない・・・という法律上の解釈をいう。

もし、そんな状況下ならば?・・・と、僕は考えた。


そして、迷わず、君を残すために自死の道を選択するだろう・・と確信したんだ。


どんな自己犠牲を払っても、必ず君を守ってやりたい。

それは、それまでの僕の中には存在し得なかった異質な感情だった。

そう、あきれるほどに、僕は君に恋をしてしまっていたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ