虐殺
【登場人物】
藤咲雄磨
大学1年。賢二の友人。
青山賢二
大学1年。呪われた子供の1人。
日高弓彦
呪われた子供の1人。
西雪奈
呪われた子供の1人。
安藤 慶
呪われた子供の1人。
大学の入学式が終わった帰り、隣の席の彼と意気投合した僕は、居酒屋に飲みに行くことになった。
会ってその日の内に飲みに行くなんて初めてだ。というより僕は誰かと二人きりで飲みに行ったことがない。暗く他人に心を閉ざすのが売りなような人間なのだから。しかし彼と親しくなれたのは、どうやらそれが、彼にも共通していることのようだったからだ。
僕が居酒屋の扉を開け、元気のいい店員に案内された席に座った。
「ふ~…っと、よし賢二君、とりあえずビールでいいかい??」
「賢二でいいさ。俺も雄磨って呼ぶからさ」
まだ多少ぎこちなさはあるが、酒が入ればそれもなくなるだろう。実は二人とも未成年だったが、双方ともそれについては触れていない。
しばらくくだらない話をし合い、酒も入っていくうちに僕らはすっかり打ち解けあっていた。
「やぁ大分暑くなってきたなぁ!!」
僕はひどく汗をかいていた。
「同感だね。何か体を冷ますことは出来ないかな…」
「じゃぁ怖い話なんてどうだ??ヒヤッとするやつを知ってないかい??」
「そうだなぁ…」
賢二は真顔で考えていた。
「ならこの話は、あ~…どうだろう、多分信じてくれないと思うが…もし君がこれからも友人でいてくれると言うならば、是非聞いてほしい話かな。ヒヤッとするかどうかはわからないが。」
僕は興味をひかれた。
「怖い話なら何だって構わないさ!!どんな話だい??」
「実際に起こった、まぁつまり僕の身の上話だ。どうか信じてくれることを祈るよ。」
彼は話始めた。
これを話す前に3人の友人を君に紹介しなければ何にもならない。
彼らと僕は小学生の時の友人なのだ。
日高 弓彦、西 雪奈、安藤 慶の3人。
僕はいつもこの3人と一緒にいたよ。放課後遊ぶ時も、休み時間騒ぐ時も、とにかくいつも一緒さ。
こんな僕らが呪われたのは、小学4年の夏のことだ。
昼休み、いつも通り僕らは外に出て力一杯走り回っていた。校庭はほとんど人がいなかったなぁ。何しろ、暑かったから。上級生が何人かでサッカーをやってるくらいだったよ。
そんな鉄板の上みたいに暑い校庭に、一匹の小さな蝶が飛んできた。白色の…ほら何と言ったかな…そう!!それだモンシロチョウだ。そいつがヒラヒラと僕等の脇を通って行ったんだよ。
彼女は凄く綺麗に優雅に飛ぶもんだから、僕らはその蝶を捕まえようと計画をたてた。
そもそもこの無意味な計画を言い出したのは僕なのだから、この悪夢の責任は僕にあるのかも知れないね。
校庭の端の花畑でその蝶はとまった。
僕らは後ろからゆっくり近づいて、安藤がパッと片方の羽を摘まんだ。
蝶はバタバタして逃げようとしたけど、一旦捕まえたらもう逃がさない。むなしく鱗粉が飛ぶだけだったよ。
なぁ君、知ってるかい??
蝶って羽根は凄く綺麗で、遠くから見るととても美しい。それは誰でも同意できる部分だろ??
でも近くで見るとこれがまたグロテスクなんだ。特に胴体部分がね。ウネウネ動いて気持ち悪いったらしょうがない。
それで俺は提案したんだ。最初は捕まえるだけの計画だったけど、蝶が芋虫みたいだからさ。「こんな気持ち悪いもん、殺しちゃえよ」ってね。
「でも可哀想じゃない」
雪奈が吐き捨てるように言ったけど、僕等は無視した。
「いいなそれ!!じゃぁまずは羽をもぎ取ろう。」
僕と弓彦は大喜びした。安藤はやるといったらやってくれるから。
両手で蝶の羽を持って、ブチッと安藤は羽をもぎ取った。
男3人は大笑いさ。雪奈は嫌がったが、蝶がもがく姿が少し滑稽だったのか、軽く笑っていた。
弓彦はちょっと勇気が出たようだ。
「次俺が足を取るよ!!」
宣言通り足を全部もいだ。羽も足も無くした蝶は、ただウネウネするだけだった。
それを見た雪奈は、抑えきれなくなったのか大笑いながら蝶を踏んだよ。いや、もうその時俺たちは蝶だと思ってなかったかな。
そのまま休み時間が終わって、五時間目の授業を受けている時にはすでに、蝶を殺したことなんて忘れていた。」




