表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/106

70 腐女子と文化祭の話。16

「特等席って、ここ?」


 移動すること十数分。いや、二十分くらいかな? うん、時間かかりすぎだね。


「そ。二年二組」


 案内されたのは教室である。一組側の階段の二階が体育館との渡り廊下になってるんだ。

 だから、体育館と同じ高さは二階なんだけど、ここは四階。それでも確かに、体育館から音が漏れて聞こえてくるな。防音できてないね。


「座ろう」


「うん」


 瀧田たきたくんは、教室から廊下に椅子を運んで来てくれた。


「あれ、一つ?」


「うん。俺は床で良い」


「ええ? ふふ、なんでよ」


 あ、ホントに床なんだ。



「! 流行ってる曲だ」


 少しの沈黙の後聞こえてきたのは、ノリの良いあの曲。私も頭でリズムを取る。


「藤咲も知ってるんだ」


「知ってるよー。私、こう見えて結構色んな界隈かじってるんだよー! ま、広く浅くだけど」


 アニソンはもちろん、流行りのJ-POPは音楽番組見てれば分かるし、あと意外かもしれないけど、私K-POPも好きなんだ。サブスクのプレイリストに色んな曲入ってるし! ……オタクからしたらニワカでしかないんだけどね。


「すげえな。流石、誰とでも話せるだけある」


「え、そんなことないけど」


 だって、ガチオタとは話せないし。ちょーっとだけ知ってるってのが一番たち悪いと思うんだよね。話せると思ってガンガン話してたのに、踏み込んではムリだった……って思われるの。


 ああ、言ってて悲しくなってきた。

 だからね?! 私たくさん勉強してるの! 頑張るから許してほしい!


「!」


 ……う、わ。


 今、瀧田くんと目が合ったんだが、分かるかい? 状況的に、私、上目遣いされてるんよ。はは。美の暴力。


 目を逸らすためにスマホで時刻を確認すると、五時十五分になるところだった。あと三十分で打ち上げ花火が始まるんだよね? まだ明るいけど、この季節だし、暗くなるの早いのかな。




「どう?」


 音が聞こえなくなったから、きっと終わったんだと判断。瀧田くんに窓から確認して貰ってる。


「みんな移動し始めてる」


 やっぱりそうだった。あっという間だったな。


 ……すごい、楽しかった。パフォーマンスを直接見れた訳じゃないけど、何て言うんだろ。特別感? ほら、現に特等席に座ってるんだし!


「……あ!」


「なんだよ急に」


「焼き鳥食べてない!」


 着いたら食べよーとか話してたのに、いざ着いたら後夜祭に集中しすぎて忘れてた。


「ああ、そういえば。今食べるか? それとも持ち帰る?」


「今食べる! 思い出したらお腹空いてきた」


「塩とタレどっち?」


「塩でお願いします」


 私、圧倒的塩派なんだよねー。

 焼き鳥で好きなのが、なんこつと砂肝だからってのもあるかもしれん。この二つって塩が主流じゃん? それをずっと食べてきてるからさ。


「ん」


「ありがとう」


 お、皮だ。確か売ってたのはモモと皮だったよね。皮の方が好きなので嬉しいですわ。


「モモもあるからな」


「マジか、神すぎる」


 どっちも食べれるに越したことはない。普通に嬉しい。


「あ、瀧田くんも食べて良いからね?」


「え、良いの?」


「当たり前なんですけど……。瀧田くんにお支払いいただいてるわけですし……」


「じゃあ、遠慮なく……」


 あ、瀧田くんはモモが好きなのかな? そっち食べてる。


 ……やっぱ私もモモ食べたい!


「あの……!」


「?」


「食いしん坊したいからそっちも欲しいです」


 食いしん坊とは。……両手に一本ずつ持ち、交互に食べることである(※藤咲家では周知の事実。瀧田氏もときどき聞くこの言葉の意味に勘づいている)。


「はい」


「ありがと!」


 私たちは焼き鳥を食べながら、花火が始まるのを待った。

お読みいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ