67 腐女子と文化祭の話。13
「……あ、もう三時になるじゃん。一般の人帰る時間だよ」
その後、三人でしばらくそこに留まった。みんな疲弊してて静かだったし、とてもじゃないけど保健室に行く雰囲気ではなかった。
結局、あんまり回れなかったな。
「え、あ、ほんとだ。……ごめんな、瑞穂ちゃん」
「ほんとですよ。もう女遊びは控えてください。……もし! この忠告を無視して控えない選択をするのであれば、私が巻き込まれないよう上手く立ち回ってください! 良いですか?!」
「うん、気を付ける……」
その『気を付ける』は前者と後者、どちらに対する言葉なのかは聞かないでおきます。
『三時になりました。たくさんのご来場、誠にありがとうございました。今一度、お忘れ物はないかご確認の上、ご帰宅をお願い致します。落とし物は職員室にてお預かりしております。本日は誠にありがとうございました』
放送が聞こえてきた。うちの学年団である、社会科担当の先生の声だった。めちゃくちゃ上手だな。
「……」
あ、あれ、兄さん立ち上がらない。黒木さんは帰る感じになってるけど、兄さんどうした?
「兄さん?」
「……瑞穂、あの」
「藤咲」
?! そ、その声、瀧田くんか?
「な!」
やっぱりそうじゃん!
「なんで戻ってきたの?!」
「藤咲、……お前、足腫れてない?」
「え」「あ?」
兄さん、瀧田くんの言う『藤咲』は瑞穂のことだよ……。
「ほんとだ。瑞穂ちゃん平気?」
「あ? 瑞穂?」
黒木さんが気付いて、次に兄さんがしかめっ面で私の足を見る。
「っ?! おい! お前!」
反応がすごい。細い目がカッと開いて、すごい驚いてるのが分かる。
「だ、大丈夫だから。……離れてくれ」
そんなまじまじと見なくても良いやろ……。今にも触られそうで怖い。多分私の足首、触っただけで爆発すると思うから……。
「やっぱり……。あ、松井には見つけたって言っといた。あとこれ。スマホ」
「えー! ありがとう! なんで?」
「健人が一回戻ってきて置いてったらしい」
ああああ! 途中でスマホは預けてた方が良いって気付いたということですね?! かわいい!
「……健人には藤咲から連絡しろよ?」
「うん、ありがとう」
とりあえず今連絡は無理そうなので、保健室行ってからにしようかなあ。
「藤咲、保健室行く?」
「そのつもり! とりあえず、兄さんたち見送った後に行こうかなと」
私と瀧田くんは、同じタイミングで兄さんたちを見る。
うお、兄さんすんごい見てくるじゃん。なんなんだ?
黒木さんに帰るの急かされても動こうとしてないし。
「兄さん? 帰らんの?」
そう聞くと、突然兄さんはこちらへ向かって歩き始めた。
「え、何……って、うわああ!」
「保健室連れてく。帰るのはその後だ」
これは多分、黒木さんに言ったんだと思う。
「ちょ! 下ろして!」
「瑞穂、暴れてないで道案内しろ」
「いや下ろしてよ! 一人で行けるって!」
「はあ……。おい、お前」
おおい! 兄さん瀧田くんに対して無礼すぎるんだが! 私の友達なんだからもっと丁寧に接してくれ!
「はい」
「保健室はどこだ」
「あ、それなら一階のここを真っ直ぐ行ったところです」
「そ」
おい! だから扱いが!
……てかさ! 運び方おかしいよ! 担ぐって何! 私、お米じゃないよ?!
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