表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
92/106

65 腐女子と文化祭の話。11

「!!」


 振り向き、目を見開いて固まっております、藤咲ふじさきです。


「その反応はどう捉えれば良いわけ?」


「えっと、……感謝、かな?」


「なわけあるか」


 いや、うん、嘘だけど。いや嘘じゃないよ?! めちゃくちゃ感謝してる!

 でも、この反応に関しては見たまんま、『驚き』っすよ。


 何て言うのかな、あのね、今の状況を分かりやすく言うと、えっとね、あの……、バックハグ状態です。…………なんか、自分の状況を説明する時にこの単語使うの、とっても恥ずい。


 で! そのままの姿勢で振り返ってみたら、そこにいたのは絶賛私と喧嘩中の瀧田たきた氏ですよ。そりゃ驚くよねって話ですよね?!


 ……あー! 着替えちゃってるじゃん! メイド服見たかったのに! どうせならメイド服のまま探してくれて良かったよ?!


「……安心感すごいね。どうやって鍛えたのさ」


 うん、まーじで安心感。包容力っていうの? 絶対過去の恋愛で培われてきたっしょ。


「は? 鍛える? お前筋肉好きなの?」


「え?」


 なんでそうなる?


「ていうかそんなのどうでも良い。で? 誰なんだよ、この人たちは」


「あ、えっと、それが……うわっ!」


 痛!! 引っ張られて足がもつれたよ!!

 ぐえっ! その抱き寄せ方雑すぎ! 腕がお腹にめり込んだ!


 ちょっ! 瀧田くんそんな怖い顔しないで! この人怪しい人ではないんです!


 あ! 兄さんも応戦しなくていいから! 急に私を引っ張ったから瀧田くんに怖い顔で見られてるだけだよ?!


 ……もういいや。二人はほっとこう。

 あれ、さっきの女性は…………あ、立ち尽くしてるわ。確かに、こんなことになったら誰だって放心するよね。


「兄さん、痛いんよ……」


 全部雑。全部強い。ちょっと耐えきれないんで放してくれ。

 てかなんで抱き寄せた。久々スキンシップ気まずいかもしれん。


「あ……、悪い……」


 ……兄さん、明らかシュンとしたね。厳つくなったけど、そういうとこはあんまり変わらない。


 放していただけました。けど、支えててもらってた方が良かったかもな。……腕は掴まれたまま、か。壁に寄りかかることもできないんだけど。


「お兄、さん……?」


 おうおう、瀧田氏。そなた『全然似てない』って心底思っとるじゃろう。安心せい、私もそう思う。


「うんそう、兄です。で、階段にいるはずなのが黒木さん。兄さんの友達」


「……ゆう、落ち込んでないで出てこい。そいつどうにかしろ」


 え、黒木さん落ち込んでんの? 珍しいですねえ(ニヤニヤ)。ちなみにそいつというのは、かの女性です。


 あ、出てきた。確かになんか元気ない? ……いや、なんか怒ってね?!


「お前……どういうつもり?」


 ヤバい! フレンド(※多分)の人に対しての怒りが頂点だ!


「え、……そ、それは……」


 何て言うか悩んでる。ど、どうしよう。私が助け船出した方が良いのかな。


 ……! ま、待て待て! フレンドさん! 黒木さんを睨み返すな! この流れは良くな――


優弥ゆうや! こいつなんなの?!」


 指、指された。私がいるのあなたの後方なのに、こっち向かずによく私の位置を正確に指せましたね……。


「こいつ! 藤咲くんの妹とか言って、優弥にまとわりついてるんだよ?!」


「「は?」」


 兄さんと黒木さんハモりました。私も心のなかで言ってたから、実質三人でハモってるけどな!


 てか、どういうことっすか? 今さっき私さ、瀧田くんに『兄です』ってはっきり紹介したよね。それで兄さんも否定してなかったよね。


 あ、あれか。放心してて聞いてなかったんだ。絶対そうだ。


「夏祭りだって、私とはぐれた後こいつと一緒にいたじゃん!」


 あ……。その件は、本当にすみませんでした……。


「その後合流できたと思ったらすぐ帰っちゃうし! きっとやなことされたんでしょ?!」


 どちらかといえば……いや、止めます。

 それにしましても、黒木さんあの後帰ったんですね。祭りなんてアレのためにある、みたいなことほざいてませんでしたか?


「それに!」


 なんだ、まだあるのか。……今回のことか? それ目撃してるなら、私が誘ったんじゃないって分かってほしかった。


「藤咲くんの妹さんが、こんなに不細工なわけないもん」


 ……はは。それかい。自覚はしてるんだけどね、他人からの評価がそれだとめっちゃクるわ。第三者目線でブスってことだからな。


「は? お前頭沸いてんの?」


 沸いてはないんじゃないですかね……?

 まあ確かに、この状況でそんなこと言ったら火に油だ、とは判断できなかったみたいですが……。


「優、そいつ貸してくんない?」


 お、兄さんの手が離れたぞい。

 待て待て、完全に人殺す目してない……? あら、拳が握られてますけれども、相手は女性ですからね……?


 こうなった兄さんは、私にはどうにもこうにもできません。が、どうにかはしないといけません。その責任があるでしょう。


 ということで、まずは、そろそろと瀧田くんの方に向かいます。


「え、うん。てか別に最初から俺のじゃないし」


「え? 待って優弥どういうこと?」


 うん、泥沼。


 こんなところ、みんなのアイドル瀧田くんに見せるべきではないですね。しかも、この騒ぎで先生が駆けつけちゃうかもしれんし。


「瀧田くん」


 ん、瀧田くんいつになく険しい顔してる。


「……なに?」


 あれ? 思い違いだったかな。いつもの顔かも。


「立ち去りません?」


「ああ、その方が良さそうだな」


 すぐさま同意してくれてありがとう。


 足痛いけど、頑張って走ります。

お読みいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ