61 腐女子と文化祭の話。7
ヤンキーの強さ(筋力)には敵わない。やっぱり非力。
ただいま、私は健闘むなしく、黒木さんに引っ張られるままに彼の後をついて行っております。ほとんど引きずられてるけどな。
うん、これはこれでたくさんの視線を集めていますね……。
「何なんですか?」
話しかけても止まってくれない。
「え? なにが?」
すっとぼけんな、ですよ。
「だから、なんでいつもこうなるんですかって」
「えー? だって見つけたとき、いっつも暇そうにしてるじゃん」
「それはたまたまです。偶然です。今だって、藍沢くんが写真撮ってるの待ってただけですから」
「今までずっとあいつと回ってたの?」
「そうですよ。悪いですか。また迷惑かけちゃうので戻りたいんですけど」
「うん、悪い。二人で回ってたんでしょ? なのになんで瑞穂ちゃんのこと待たせてんだって話だろ」
いやいや、だからなんだって言うんだ。待ってたのは待ってたけど、そういうことじゃないんですって。
……まあ暇そうに見えたかもしれませんがね、それでも誘拐はないだろう。手を離せ。
「黒木さんだって、誰かしら待たせてるんじゃないですか?」
「待たせてないけど?」
「え、フレンドさん、来てないんですか」
「来てない。今日は涼と来た」
……え?!
「き、聞いてないですけど!」
「え? 涼、言ってないの?」
驚きでやっと止まってくれた……。ずっと足踏ん張ってるのきつかったよ。意味はなかったけどね。
「言われてないです」
もし言われてたら、藍沢くんと回れてないです。ばったり遭遇でもしちまったら、あとで質問攻めに遭いそうだし、その場で藍沢くんがなんやかんやされる危険性もある。
「とりあえず! その手を離してください」
「なんで」
「これじゃまた失踪扱いですから! 戻ります!」
「ずっと藍沢と回ってたんだろ? それだったら、午後からは俺たちを案内してくれてもよくね? 涼と俺、瑞穂ちゃんと回りたくてずっと探してたんだしさ」
「え、なんかキモいです……。でも、それならそれで、兄たちを案内するって藍沢くんに説明しますから!」
「……じゃあ連絡しな。戻らなくてもLIMEしときゃいいだろ」
お、珍しく折れてくれた。どうしたんだろう。
「連絡しつつ戻りますから! なんでそんなテキトーなんですか……!」
文化祭は、みんなお財布とスマホを入れるために、小さいカバンを身に付けてる。私も例外ではない。
肩掛けのミニバッグを開けて、中を漁る。……あれ。
「……あ」
「? どした?」
「スマホ、ないです」
そうだった。スマホ、貸し出し中なんだった。
「落としたの?」
「いえ。藍沢くんたちを撮っていたスマホが、私のスマホです」
「は? なんで?」
黒木さんは、心底『意味が分からない』って思ってそうな顔を向けてきた。
止めろ。こちとら正当な理由があるのだよ。
「……性能がいいからです」
でも流石に言えないっす。
言っちゃったら、もっと嫌味な目付きを向けられそうだったからね!
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