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56 腐女子と文化祭の話。2

「すみません! 今日の分は販売終了でーす!」


 佐々木くんと井上くんが一生懸命廊下で無理に入ってこようとする人々を捌いている中、私はキッチンの端っこで座っている。


 柿ピーは友達を探しに行ってくるって。数分前に出ていっちゃった。


「販売終了しましたー! また明日ご来店くださーい!」


 うちのメイド、執事を見れるのは、店にお金を落としてくれた方限定なのだよ。


「行ってらっしゃいませ」


 ついに、最後のお客様がお帰りになられた。写真は接客を担当してくれたメイドか執事とのみ撮ることができる。

 藍沢あいざわくんと古池こいけが接客してないなんて情報はすぐ駆け巡っただろうけど、みんな一目見ようと並んでたんだろうな。


 あ、ちなみに、一日目午後のシフトは全員男子。接客しない枠二つを懸けてじゃんけんをしたらしい。


 ……え? キッチン一人で大丈夫なのかって? 大丈夫大丈夫! キッチンっていっても、飲み物注いで既製品の茶菓子をお皿に載せるだけなんだ!


 で、結果はこれ。見事藍沢くんと古池が勝ち取った。二人が豪運なのか、はたまた二人以外が不運なのか……。


「っしゃ終わったー」


「お疲れ様、はやて


「おう、お互いな」


 鼻血は無事収まり、……いや神々しさには慣れてないけどね? 視界に少し入れる程度なら平気になってきた。


「ねえ、古池」


「?」


「とりあえず奏音かのん呼んでもいい?」


「え、いや待って」


 なに、見せたくないの? なんでよ。と、心の中で文句を言ってみる。


「はあーあ。奏音を接客してもらいたかったなー」


 古池を見ながら、目を細めて言った。これだけは言わせてもらったぜ。


「……なんだよ」


「言った通りですけど」


「ねえ、藤咲」


「は、はい!」


 一気に緊張が走り、背筋を伸ばす。しかし、顔は下を向いているという何とも無様な姿である。


 うおお! 何を言われるんだろう!


「こっち見て」


 ……すみませんでした。


 諦めて顔を上げよう。ああ、また鼻血出たらどうしよう。


「なんですか……って、え! これって!」


 消しゴム二個分の大きさの長細い紙を、藍沢くんがヒラヒラとさせている。


「そ! 食券」


「が、二枚な」


「えっ!」


 古池を見ると、やはりこちらも紙をヒラヒラさせていた。


 なぜ二枚、とは考えなかった。食券があることが嬉しかった。

 ここからは私の役目だ!! と、これしか頭になかったんよ。


「奏音呼んでくる!」


 私は即座に立ち上がり、教室を後にした。




「だから! この子も通したいの! てか通して良い子なの!」


 奏音を連れてきた。しかし、誤算があったのだ。どうしても奏音を通してもらえない。


「だって、クラスでそう決めたじゃん。四人を守ろうってさ」


「そ、そうだけど……!」


 くっ! あの約束がこんなところで足を引っ張るとは……!


 ガラガラ……と、扉を開けたのは古池である。何用だ。


 お、奏音の手を掴んだぞ。


「ごめん佐々木。この子、俺の客なんだ」


「え……!」


 わー! 奏音の顔が赤い! 照れてる! これ絶対照れてるよ!


 私は『痛った!』としか思わなかったんだけど、やっぱ気になってる人だと違うんやね!


「そ、そうなのか……! ごめんごめん!」


 おい、佐々木くん。君まで照れてどうするよ。

お読みいただきありがとうございます!

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