54 腐女子と文化祭準備の話。4
「なんすか」
みんなは柿ピーに夢中で、こっちの騒動には気付いていない。
「ちょっ、こっ、来……」
『ちょっとこっち来て』ってことだよな?
瑞穂ちゃんは優しいからな、行ってやるよ。
「あの、これ」
二人でそそくさと教室の端に移動すると、早速スマホの画面を見せられる。
「これ、え、どういう……」
古池、焦り方が尋常じゃないけど大丈夫? 面白い通り越して心配になってきた。え、手が震えてるしほんと大丈夫?
で、どれどれ。原因は……。
こ、これはっ!!
『文化祭二日目って、誰かと約束してますか?』
奏音からのお誘いLIMEだー!!
奏音! 頑張ったね! 誘ってる素振りがなかったから心配してたんだけど、よくやった! 勇気出してえらい!
「……」
ごくり、と生唾を飲む古池。私の返事を待っているのだろう。
「……いけ、古池。空いてるって言え。空いてなくても言え! 空けろ!」
「はい!」
すぐさま返事を打ち込み始めた。
なになに、『空いてるよ。奏音も空いてるなら一緒に回ろう』か。よし。良いだろう。
「……なあ」
返信し終えたところで、古池は始めて私に顔を向けた。
「ん?」
「これってさ、その、……いい感じに進められてるってことで、いいの、かな」
いつになく真剣な表情。これは告白も近いか?
いつもなら自意識過剰だってからかってるところではある。しかし、これがまた事実なのだ。からかえん。
しかも誘われてるのが二日目だからね。二日目ってのは、恋をしている人たちには大事な日なのだよ! 多分! 後夜祭とか花火とかあるから!
「……知らん。とりあえず頑張れよ」
しっかりはぐらかしておいたぜ。先日、透香にそう教育されたもんでね! 任務完了!
「藤咲」
「なに?」
今度はなんや。
「お前は?」
「……え?」
私? がどうしたの? 何が言いたいんだ?
「いや、あの……」
「?」
「……やっぱなんでもない」
「え? いや言ってよ」
そこでやめるなや! 気になるだろう!
「言わない方が良いかなって……あ! 返信来た!」
「え! なんてなんて?!」
奏音の返信により、この会話はなかったことにされましたとさ。
――放課後の藍沢くん。(柿ピー視点でお送りします)
部活が終わって、今家に着いたとこ。自転車から降りて、家に入る直前。
ブブブ
と、スマホが鳴った。
もう八時か。この時期は暗くなるのが早いわね。
で? 誰から連絡かしら?
『俊臣』
健人か。どうしたのかしら。
『何?』
『……写真、ある?』
写真……? 今日は別に写真撮る機会なんて…………あったわね。そういえばあったわ。
『瑞穂の?』
『そうです』
大正解。執事服の瑞穂の写真が欲しいと。そういうことね。
『勝手にあげて良いのかな』
二人で写った写真を瑞穂から送ってもらった。瑞穂は撮ってくれた子からもらったみたい。
だから、あるにはあるんだけど、肖像権? の問題があるのよ。
『そこをなんとか……!』
盗撮はしないとこは健人らしいけど!
『なんで一緒に写真撮らなかったの?』
『そんなの思い付く暇なかった』
『……あー』
見惚れてたのと嫉妬かしらね。きっとそうよね。
『じゃあ、今回は特別ね。次からは思考を働かせてよ』
『写真』
『ありがとう!!』
好きな子の写真。しかも普段着ることのない衣装の物。そりゃ欲しいか。
てことであげちゃったんだけど、瑞穂、許して?
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