53 腐女子と文化祭準備の話。3
「柿本くんお待た……せ…………!」
全て整え教室を出ると、すぐそこで柿ピーが待っていた。
「やめて。何も言わないで」
何かを察した柿ピー。釘を刺してくる。
「いやムリ。出ちゃうごめん!」
だが私にはムリだ! 止められない!
「か、か……」
「頼むやめ」
「かわいいーー!!!」
ほら、私だけじゃないよ。裁縫班のみんなもきゃっきゃしてるよ。
「……瑞穂もかっこいいね。似合ってる。あ、メイクもしてもらったんだ」
話題を私に変えてきたな。良いだろう、乗ってやる。
「そうなの!」
おかげさまで堂々と衣装のかっこよさを自慢できるぜ!
「かっこよさとかわいさを融合させてみたんだ」
髪の毛はローポニーにしてもらって、メイクはなんかそんな感じらしい。
「うん、かっこかわいいくなってる。それに、衣装もすごい。みんな器用なんだ」
ちょっとぶっきらぼうだけど、多分そこがギャップになってるんだろうな。言ってることは甘いからね。いい感じにバランス取れてる。
あ、ほらもう裁縫班やられちゃったよ。
「……ふ、二人で並んでもらえる?」
復活した一人がスマホを片手に持ちながら言った。
「うん!」「分かった」
二人で仲良くピースしました。
「みんな! ちょっと良いかな」
「「待ってました!」」
私と柿ピーは廊下待機です。すんごい緊張してきた。
「……なんか嫌かも」
遠い目をする柿ピー。
「封印中はマジ柿ピーじゃないよね」
部活中は『見て! これかわいくない?!』とか私物をめっちゃ自慢してくるのに……。
本当は、『ねえ! みんな見なさい! こんなかわいい衣装をこの世に生み出してくれたわよ!!』なーんて言いながらポーズ決めたいんだろうなあ。我慢は良くないぞ。
「だって……」
ちなみに、廊下歩いてる間めっちゃ見られたからね。主に柿ピーが。まあねえ。見るよねえ。
「入ってきてー」
よし、出番だな。
おい待て柿ピー。先に私じゃ。あんたの後には出とうない。
「じゃん!」
「「おおー!」」
だよねだよね! めっちゃかっこいいよねこの衣装!
……ん? なんか、……殺気?
みんなの少し後ろから禍々しいオーラが……。
っ!?
あ、あああ藍沢くんからだ……! なんで?! 殺気立ってるのも美しいけどなんで?!
「次柿ピ……柿本くんも来てー!」
うん、早めに呼ぼう。
お、来た来た……って、なんじゃそりゃ!
「「おおお!!!」」「「キャー!!」」
柿ピー、両手で顔面を隠しながらの登場!
歓声に黄色い声も混じっとる! 男子もなんかキモめじゃない?!
いやこれはっ! 柿ピーから無駄に色気が出ちゃってるのか! 恥ずかしがってるのが色気に変換されてまっせ! みんなそれに当てられちゃってるよ!
「……」
柿ピーの隣にいるのが気まずくなって、とりあえず透香の方へ。
「……ど、どしたの透香さん」
こちらもこちらで様子がおかしい。まぶただけじゃなくて、瞳孔までガン開きですけど。
見てる方向は、…………か、柿ピー?
「…………やばい。新たな扉が開きそう……」
「!?」
透香の三次元(&女装BL)の扉が今! 開かれようとしている!!
柿ピー! あんたすごいな! ありがとう!
……ん? なんだなんだ。視界の端で、しかも一人で変な動きしてるやつがいるな。
おい、大丈夫か? それスマホ破壊されない? 握り締めすぎじゃない?
「ちょ、ちょ!」
なんだなんだ! 近付いてきたと思ったら、急に腕を引っ張るでない古池よ! 今柿ピーに最大級の感謝をしてたとこなんだから!
お読みいただきありがとうございます!




