番外編23 腐女子たちの恋バナの話。
夏祭りから数日後の今日。
ファミレスで女子会が開催された。
「学校もうすぐだねー」
「二人とも宿題終わった?」
「終わったよー。透香はー?」
食事を終え、ドリンクバーの飲み物とポテトをつまみに語り合う。
「私も終わった。瑞穂は?」
「…………あと一個終わらせるだけ」
今日は瑞穂の元気がない。
多分だけど、夏祭りで瀧田くんと喧嘩しちゃったのが原因だと思う。
少しの時間だけど推しと二人で回ったの楽しかったでしょうに、それを凌駕する悲しさって……。
「あのさ、ちょっと相談しても良い?」
「どした?」「どうしたの?」
奏音が改まった感じに言ってきた。
どんな相談なのよ。怖いわ。
「私、颯くんのこと、き、気になる……というか……その…………」
「えええ!? マジ?!」
「ちょっと瑞穂うるさい!」
奏音が話してる途中でしょ。
でも、驚いたのは私も。古池くんやったじゃん。
「でも、分かってるの。私のことはなんとも思ってないのは、ちゃんと分かってる……」
「え、それ分かんなくて良いや」
「なんでよ。頑張ってみれば良いじゃない」
「で、でも……」
「今古池くんの一番近くにいるのは奏音だと思うよ。あ、瑞穂は別枠だからね」
「そ、そうなの? クラスではどんな感じ?」
「うーん、やっぱり、古池くんが話す女子は瑞穂くらいじゃないかな。男子は誰とでも話してるけど」
「そっ、か……」
「そうだよ! もう告らせ」
「ちょっと黙ってて!」
私は咄嗟に瑞穂の口を手で塞いだ。
瑞穂、さっきからうるさすぎ。
「…………頑張ってみようかな……。無謀なのは承知で、当たって砕ける」
「うんうん、その気持ちが大事よね」
それにしても、すごいな古池くん。あの奏音を落とすなんて。
やっぱりモテる人にはそういうのが備わってるのかも。
「古池のどこに惚れたの?」
私の手をどけて、瑞穂が質問した。
「うーん、……優しいところ、かな。でも、少し強引なところもあって……。誰にでもそうなのかもしれないけどね。あとは、笑顔、かな……。わ、恥ずかしいね、こういうの」
奏音かわいい。恋する乙女はやっぱり可愛くなるものなんだ。
「いや、誰にでもではないべ。私への対応とか言葉遣いは辛辣だし」
「それは瑞穂だからでしょ。でも、普通の知り合いの私に対して特段親切って感じはないから、……奏音、特別扱いされてるんじゃない?」
「……信じて良い?」
「うん。マジで自信持って良い」
「そうだよ」
諦めさせないように。でも、確信はさせないように。
この塩梅が難しい。
「あ、そうだ! 文化祭誘ってみたら?」
「え?」
「え、良いじゃん。奏音二日目ならフリーでしょ? 古池くんのシフト一日目になるように、私たちで上手くやっとくからさ」
「……うん、ありがと。頑張ってみる!」
瑞穂、今のすごく良い提案だったよ。ありがとう。
「……じゃあ次は瑞穂の番ね」
「……え?」
か、奏音……。ぶっ込んできたね……。
「瀧田さんとの喧嘩も気になるし、藍沢さんとも何かあったでしょ」
「えっ……」
「そうね。気になる」
「え、藍沢くんとはマジで何もない……よ」
奏音は瑞穂が迷子を送り届けてたこと知らないからね。でもそれだけじゃなさそうよね?
「そうなの? じゃあ瀧田さんは?」
「…………なんか避けられてる気がして、それが嫌で問い詰めちゃった。そしたらあんな感じに……」
「ふーん……。え、なんで避けられちゃったわけ?」
「それが分かんないから問い詰めたんだよお……!」
「ごめん、それはそうか」
こっちはこっちでどうしたもんか。
「「はあ……」」
ちょっと、二人同時にため息つかないでよ。
片や幸せな悩み、片や深刻な悩み、ね。
これは……。私の悩み、相談できそうにないわね。
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