50 腐女子の夏祭りの話。8
「みんなごめーん!!」
レジャーシートの上に座る三人を見つけるや否や、私は腰を九十度に折り謝罪をした。
「ちょっと瑞穂! どこでなにしてたのよ?!」
透香に肩を掴まれ勢いよく直立させられた。遠心力で頭もげそうだった。
「迷子を送り届けてまして……」
「え、そうなの?」
今のは藍沢くん。
「え、なんで健人が知らないの?」
あれ、確かに。柿ピーの言う通りだ。
藍沢くんに言ってなかったっけ?
「てっきりあの人に無理やりつれてか」
「あー! 奏音たち戻ってきた!」
藍沢くんの言葉を泣く泣く遮り、みんなに二人の帰還を知らせる。だって、絶対黒木さんの話題出そうとしてたもん。
「ほんとだ」
さっき連絡したばっかなんだけどなあ。すぐ近くにいたのかな。
……さあ、果たして二人は進展したのだろうか。
「お待たせ」
「奏音、古池お帰り」
「あと少しで花火始まるみたいよ」
おお本当だ。あと五分か。時間経過がはやいなあ。
てかさ、みんなで花火見るとか青春すぎませんかね。
しかもこの場には推しがいるんすよ。推しが花火を楽しんでるのを間近で見られるんすよ。何事??
「瑞穂、焼きそばあるけど食べる?」
「食べる! 塩がいい!」
流石柿ピー! ありがとう!
「分かった。伊織、そこのやつ渡して」
「…………はい」
「あ、ありがとう……」
やっぱり不機嫌だよね? なんで?
しかも私に対してだけでしょ?
うん、聞こう。聞いて、解決しよう。さっきの藍沢くんの時も、聞いて解決できたんだから。
「……ねえ瀧田くん。私、何かしました?」
「え? ……何もないけど」
何もないことはないだろう。現にこうして態度に出ているではないか。
「いやいや、なんかいつもと違うじゃん」
「藤咲は何もしてないって」
「じゃあ私にだけそっけないのはなんで?」
「そんなことないから」
「あるでしょ!」
「ねーよ」
「なんでないって言い切れんの」
「おい。二人とも、言い合いは止めとけ」
か、柿ピー……。
あ、みんなも心配そうにこっち見てるじゃん。止めてくれてありがとう。
いつの間にか言い合いになってたみたい。
ごめんみんな。瀧田くんも……。
「ごめんね」「悪い」
雰囲気悪くした……。本当にごめん……。
ドン!
「あ、始まったよ」
「ほんとだ」
こんな状況下で、花火は始まった。
「…………藤咲! こっち来て!」
「あ、うん……」
動けずにいた私を気を遣って、藍沢くんは声をかけてくれた。
「綺麗だね」
私は藍沢くんの隣に腰かけた。
なんで自然に座れたんだろう。……そうだね、それどころじゃなかったのかな。
「……うん…………」
ぼそぼそと答えると、藍沢くんは苦笑を漏らした。
「大丈夫だよ。ほら、もうみんな花火に夢中だし」
回りを見てみると、確かにみんなもう花火に釘付けだった。
あ、古池と奏音が一緒に座って見てる。
「うん、……ありがとう」
「藤咲も花火に集中しなよ。花火さ、どんなのが好き?」
「……垂れるやつかな。金色の大きなやつで、咲いた後垂れ桜みたいになるあれ」
「うん、良いよね。俺も好き」
推しの顔が花火に照らされて、ほんとに、めちゃくちゃ盛れてた。美しすぎた。
花火よりこっち見ちゃうレベルだわ。
「…………」
瀧田くんは花火全然見てない。下向いてる。
これってさ、喧嘩したってことになるのかな。
やだな。はやく仲直りしたい。
「……藤咲?」
「あ、ううん。なんでもないよ」
藍沢くん、励ましてくれてありがとう。
でも、花火には全然集中できなかった。
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本編50話!
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