番外編21 陽キャ男子は知る話。
藤咲と、土手に二人で座っている。何でだろう、すごい心臓がバクバクしてる。
あ、……そうだよな。だってこれから、友達が俺のこと避けてるかどうかをハッキリさせるんだから、緊張して当然だ。
俺は意を決して、口を開く。
「藤咲、あのさ……」
「? はい」
やっぱり、こっちを見てくれない。呼び掛けてるのに、どうして……。
「俺のこと、避けてる……?」
「……え?!」
な、なんでそんな驚くの。
「だって、今日は藤咲とまともに会話できなかったし、目も合わせてくれないし……」
俺の説明は、なぜだか言い訳がましくなってしまった。
「も、もしかして、今日元気なかったのって…………」
「うん、それ」
もしかして、無意識だったりするのかな。俺の勘違いとか?
でも、それならそれで良いんだ。いやむしろそっちの方が良い。
「ご、ごめん! そんなつもりはなくて、ただ今日は藍沢くん見たらヤバいかなって思っただけで」
……やっぱり、意図的にだったのか……。
「え、どういうこと……?」
理由が聞ければ、改善できることもあるはずだ。怖いけど、聞かないと。
「あの、その、ほら私服だし」
し、私服? そ、そんなにヤバイのか? 見たくないくらいダサいのか? 今度、俊臣に買い物同行してもらおう。
「きっと……というか絶対かっこいいじゃん?」
…………え?
「だから、直視したらドキドキしすぎて命日になるというか、だから」
「ちょ! ちょっと、タイム!」
俺は思わず藤咲の口を押さえた。
ど、どういうことだ……?
嫌だからじゃなくて、かっこいいからって言ってたよな。待てよ、記憶がトんできた。本当に言ってたか? いや言ってたよな。
「……あ! ごめん!」
女の子の口を押さえるなんて、俺なにやってんだ……。失礼にも程がある。
……言ってたとして、藤咲の、その本心はなんだろう……?
「……!」
…………う、わ……。ヤバい。浮かんできたのがこんな、自意識過剰な……。
俺は自分でも赤面してるのが分かった。恥ずかしくて、手で顔を覆う。藤咲にあんまそういうとこ見られたくなかったんだ。
……ああ、でも。自意識過剰でも、そうだったら嬉しい。
――そっか。俺、嬉しいんだ。
藤咲と出会ってからの、今までの気持ち。全部腑に落ちた。だから、藤咲の一挙一動に、嬉しくなったり悲しくなったり、……嫉妬したり。色んな気持ちになったんだ。
友達、なんて……。なんで今まで気が付かなかったんだろう。
ああ、今、言いたい。伝えたい。
藤咲への気持ちが溢れてくる。
「あ、あのさ、藤咲。……俺、藤咲が好きだ」
いや、でもあれは自惚れだな。藤咲はなにか別の意味で言ったんだ。
でも、それでも、俺の気持ちはこれだ。藤咲が俺のことをどう思ってようが変わらない。
「……藤咲?」
「あ。すみません、何でしたっけ……?」
き、聞こえてない……?
……うん、さすが藤咲ってところだな! もう一回言うから、今度はちゃんと聞いといてよ。
「えっと、」
♪(着信音)~~
「あ、すみません。……奏音からだ」
ーーっ!
タイミング……!!
「うん! バイバイ」
終わったらしい。
ふう。もう一度、もう一度勇気を出せ、俺!
「藤咲、俺」
「藍沢くん、行きましょう」
「え、あ、うん……」
……今日じゃない方が良いのかもしれない。
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