47 腐女子の夏祭りの話。5
「うわあああ!」
反射的に顔を上げると、そこにいたのは、なんと推し!
ヤバい! キラキラしてる! オーラがあ!
私はまたもや反射で顔を下げる。
え、私服ヤバくないですか? 今日はセットアップ着てる! やっぱりキレイ系なんですね!
しかも髪の毛上げてるし! 何それ!
動悸が凄まじいことになってるけど、鼻血とかは出てないよね? 大丈夫だよね?
「そんなに嫌がらなくても……」
ああ、違うんです。嫌がってるわけではなくて、まあ端から見れば嫌がってる判定なのかも知れないけど、理由はそんな落ち込ませるようなことでもないっていうか。いや、推しに知られたら引かれる可能性はあるけども……!
「嫌がってないです! てか嫌がるわけないです! 急に話しかけられて驚いただけですので! その……、来ていただいて、ありがとうございます……!」
「……う、うん。そっか。良かった」
推しの顔を盗み見る。
ほっ……。笑顔が戻った。
でも、いつもの元気な笑顔じゃないような……。
「戻ろうか」
「あ、は、はい。じゃあみんなにどこにいるか聞いて……」
「あのさ」
スマホを操作しようとした手を掴まれる。
ああああ! 推しの手が触れてる! まずい!
「ななななんでしょうか」
平静を装いつつも、手汗は出る。
推しと触れてる面が手の甲で良かった。手のひらはものの数秒でべっちょべちょなんでね。
「ちょっと二人で回らない……?」
「……え? な、なんで……」
な、なぜ? 藍沢くん、どういう心境なんですか……?
「なんでって、聞きたいこともあるし……」
何を……?
私は得体の知れない恐怖に苛まれる。もしかして、何かがバレた? 私には後ろめたいことありすぎるんよ。
やっぱり早くみんなと合流したい……。
「じゃあ行こう」
私は手を掴まれたまま。
藍沢くんが歩き出したから、ついていくしかない。
……え! ちょっ、え?
待ってくれ! さらっと手を繋がれたんですけど!?
手汗がヤバいから離して欲しい! マジで!
でも振りほどいて良い雰囲気じゃないし! どうしよう!
「おい! 何やってんだ」
うおお! 今度は何だ!?
スマホを持っていた左手を掴まれたのだ。
それにしても、すっごい力だな。
「……あ…………」
振り向いて、冷や汗が滝のように流れ始めた。
「く、黒木さん……」
完全に忘れてたー…………。
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