表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/106

42 腐女子の夏休みのある日の話。

 午前十時。自室のベッドの上。

 あの時からずいぶんと増えた薄い本を積み上げ、それを読みながらゴロゴロしていた。


 だが、今は電子書籍を読み漁っているところです。新たに開拓してます。



古池こいけは試合とかないの?』


『あるけど、ベンチだから見に来ないで』


『あーね、了解』


 これは数日前のLIMEである。

 確か試合は一昨日だったらしいが、断られたので断念した。奏音かのん連れて行ってやろうと思ったんだけどな。直前で怪我してベンチになったらしい。古池クオリティである。頑張って治せ。


『男バレの試合●日にあるけど行ってくれば? 俊臣としおみとか連れて』


『そんな目立つことできんよ』


 というやり取りもしたので、今日は男バレの試合だということも知っている。だが試合を見に行くとか、メッセージを送るとか、そういうアクションは起こしていない。


 いや正しくは、起こせない、です。


 だって緊張しちゃうんだもん! 書いては消し、書いては消し……。昨日これをめちゃくちゃ繰り返したんだから!


 ♪(LIMEの通知音)~


「ん?」


 ポップアップを見れば、『藍沢あいざわ 健人けんと』の文字。


 毎回焦る。そして、動悸も毎回起こす。


 個人チャットを開き、送られたメッセージを読んだ。


『おはよう! 今から試合なんだー』


 そして、写真も添付されていた。推しと瀧田たきたくんが、ユニフォーム姿で柿ピーを取り囲んでいる。


 うお! これはさらに動悸発生しますね! 薔薇が咲き誇ってるわ!


 柿ピー見に行ったんだ。古池はいないけど、部活あるのかな。


 私は『そうなんだ! 頑張って(p^-^)p 応援してるよー!』と、返信。


 最近、推しからちょくちょくLIMEが来るようになった。

 私は公式LIMEから送られているものなのだと、そう思って返信をさせていただいてます。


 私のLIMEが推しに登録されたのは、あのコンクール打ち上げ当日の電話事件の後。


『藍沢です! よろしく! 俊臣から教えてもらった!』


 これが送られてきた時、私は何が起こったのか分からなすぎて暴れてた。


『よろしく!』


 既読を付けて、この一言を返信するまでに小一時間かかってしまったのだった。


 イソスタのDMだと気付いてくれない、と不快に思わせてしまったのだろう。わざわざ登録してもらうなんて、申し訳ない。




 ♪(LIMEの通知音)~


 午後十二時半。お昼を食べていると、またまた通知音がなった。


 今度は柿ピーだ。何事?


瑞穂みずほちゃん来なかったの?』


『予定があってね』


 ごめんね、嘘です。普通に勇気がなくて行かなかっただけです。

 でもこれも人間関係を円滑に保つコツ、だよね……!

 いや、はい。……偉そうに言ってごめんなさい…………。


『なんで健人がLIMEしたと思ってんだか』


『え、報告でしょ? コンクールでメッセージくれたし、私も送れるきっかけになったから、ありがとうございますって感じです』


『そうですか』


 え、冷た……。


『試合終わったの?』


『ええ。負けちゃった。最後に伊織いおりがサーブをネットにかけちゃって……。遠くからでも落ち込んでるの分かるのよ。見てるこっちまでつらいわ……』


『そうなんだ……』


『伊織、本当に上手でいっぱい点も取ってたのに……。ミスしたのもあの一点だけよ? それだけでこんな……』


 瀧田くんがミスしてるとこも、落ち込んでるとこも、あんまり想像つかないかも……。

 でも、文面で色々伝わってきて……。私までつらくなってきた。実際に見てもないのに。


『まあそういうことだから……。また部活でね』


『うん……。またね』




恭平きょうへい兄さーん! コンビニ行ってくるー!」


 夜になって、無性にあたりめが食べたくなった。

 さっきまで、やけオレンジジュースしてたら、お供が欲しくなってきてね……あはは。


 涼平りょうへい兄さんとか黒木さんたちがいれば頼んでいるところだが、あいにく今日は恭平兄さんしかいない。


「大丈夫か? 俺が行ってくるよ」


「へーきへーき! コンビニなんてすぐそこにあるじゃん」


 兄さんの手を煩わせるわけにはいかない。


「……分かった。すぐ帰ってくるんだぞ」


「はーい。行ってきまーす」

お読みいただきありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ