番外編13 陽キャ男子は鈍感な話。
「え、待って」
「なんだよどした?」
部活の休憩中、藤咲に電話をした。思いつきで、その場のノリでかけちゃったから、藤咲が今何してる、とか、迷惑かな、とか全然考えてなかった。
……多分藤咲、さっきまで寝てたな。眠そうな声で、いつも元気な藤咲からは想像つかなかったけど。いざ聞いてみると、なんか自然と笑顔になってた。
「見てこれ」
伊織にさっき届いた返信を見せる。
『気付かなくてごめんね……。見に来てくれてありがとう』
「……え、なに? 別に変なとことかなくない?」
「違うよ、文末だよ」
「文末?」
ここまで言っても分からないみたいだから、答えを提示した。
「ほら見て。タメ口になってんの」
「タメ口……? ああ、藤咲って健人に敬語だもんな。……でもそれがどうした?」
「いや、敬語じゃなくなって嬉しくてさ。やっと心開いてくれたかなって」
「……。ま、会ってみてからのお楽しみだな」
「……どういうこと?」
伊織の真意はよく分からないけど、全然気にならない。今こんなに気分が良いのは、きっと藤咲のおかげ。藤咲と友達になると御利益あるんだな。
「今までも、女子に敬語使われることあっただろ。それとは違うのか?」
「あー……。そうだね、違う。なんか、寂しくなるんだよな……なんでだろ」
「え……。にっぶ」
「? ごめん、聞こえなかった」
「いーよ、聞かせようとしてないから」
「なんだそれ」
さっきの電話で、元気をもらったのは事実。でも、引っ掛かることもある。
それは、伊織には普通にタメ口だということ。前から知ってたけど、やっぱ再確認すると寂しく感じてしまう。
「はあ……」
それを考え出したらへこんできた。
持っていた水筒の蓋をを開け閉めしていると、部長から練習再開の指示が出た。……俺も夏の大会に向けて頑張らないと。
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