40 腐女子のコンクール翌日の朝の話。
♪(着信音)~~
「えっ、寝坊?!」
私は焦って飛び起きた。
着信音で起こされるなんて、良くないことが起きている最中でしかない。
でも壁の時計を見ても、まだ十時である。今日は部活は休み。打ち上げの集合は五時だから全然寝坊じゃない。
「じゃあ誰だ?」
ベッドから降り、机の上に置いてあるスマホの画面を確認する。そこには、『瀧田 伊織』と出ていた。LIME電話である。
なにゆえ? 私に何の用があるって言うんだ。
「もしもし? どうしたのー?」
我ながら寝起きの声ガサガサやな。
『イソスタのDM見てくれてないでしょ』
……お? 電話かけるとこ間違えてますね?
あと、瀧田くんって女々しいところあるんすね。意外。
「何々、瀧田くんやっぱ彼女いるんじゃん。あとかける先間違えてるから」
『え? 伊織? かける先?』
『さっき名乗ってないからだよ』
……ん? なんか奥から声が聞こえてきたような?
『あれ、そうだっけ? ごめん。俺、藍沢です。…………藤咲? おーい』
「……」
多分、しばらくフリーズしてた。
「えっ……。……あ、どうも。藍沢くんでしたか……。どうされました?」
一気に目が覚めました。ド緊張でございます。ガサガサの声聞かせてたのも絶望です。
『あのさ、夏休み中どっか遊びに行かない? 颯のこともあるしさ。…………おーい。……藤咲どうしたんだろ』
『寝ぼけてんじゃない?』
またまたフリーズ。
多分その声瀧田くんだよな。うん、彼の言う通り、きっとまだ寝ぼけてるんだ。
「藤咲ー!」
「……はっ、はい! 藤咲です!」
「あはは! なんだそれ!」
……推しが笑ってくれるのならば、それで良いのだ。
「夏休みどっか行こうよ、みんなでさ。俺たち四人と、藤咲と松井と江角さんで」
古池のためなんだろうなあ。いい人すぎるよね。
乗ってあげたいけど、私が正常でいられるか分かんない。古池と奏音の邪魔をしてしまう可能性は払拭できないぞ。
『…………悩んでるみたい……』
『……ちょっと貸して』
『あー、もしもし?』
あ、瀧田くんになった。
『なんで渋ってんの?』
「だってメンバー凄まじいし。君たち目立つの自覚してる?」
地元じゃなきゃ良いけど、もしよ? もし場所が地元のどっかになったら学校の誰かと会うじゃん。そしたら戦争起きるね。学校中の女子VS私たち三人の戦争が。
あと藍沢くん。私、推しの私服見たら発作不可避です。これは実証済みだから。
『まあな、あいつらモテるから』
いや、あんたもな? 自覚ありの謙遜はやめてくれ。
自覚なしとかは鈍感すぎるのでありえません。もしそうなのだとしたら、相当ヤバいっす。多分病気。
『でもさ、藤咲が来ないと江角さん来ないじゃん』
「透香が行けば来るんじゃない?」
『藤咲いないと松井さんも来ないだろ』
……それもそうだな。
「うん、それは認めよう」
『じゃ、そういうことで。二人に言っといて』
「え、ちょ」
ブツッ、とすぐ切れた。もうちょっと粘らせてよ。
えー、二人とも来てくれんのかな。というか休み合うの? ……あ、くそ。お盆があるな。お盆は学校自体が休みなんだよね……。
あ! 誰かが予定あれば良いんだ! 私はないけど、こんだけ大人数なら誰かしらは予定入ってるでしょ! それに賭けるわ!
今日奏音と柿ピーに聞いてみよ。でも、奏音は良いって言いそうだな。私と瀧田くんをくっつけようとしてるし。問題は柿ピーと透香か。
てか藍沢くん、最初DMがなんとかーって言ってなかったっけ。どういうことだろう。一応見てみるか。
……ああ、神よ。私は赦されざる行いをしてしまいました。せっかく推しからありがたいお言葉をいただいていたのに、私は気付かずに無視をしてしまいました……!
『お疲れ様ー! 藤咲めちゃくちゃかっこよかったよ!』
コンクールの当日に感想を頂いていたみたいです。
なんと……。私の吹いてるところ見られたってことだよね。終わりだわ。でも、ありがとう……(泣)。
『気付かなくてごめんね……。見に来てくれてありがとう』と返信させていただきました。変じゃないよね?
お読みいただきありがとうございます!




