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38 腐女子のコンクール当日の話。

奏音かのん、今日ねー古池こいけ来るってー」


 コンクールの会場に到着し、楽器を出している最中である。


 夏休みに入ってから休みはなく、しかも一日中練習してきた。へとへとだが、今日のためにここまでやってきたのだ。やりきる、の選択肢しか残っていない。


「あ、聞いたよー。連絡来てた。柿ピーを見に来るんだよね? 友達思いなんだねー」


 こんな気ままに会話をしているのは、サックスパートのみだ。他のみんなは楽譜を見たり、楽器を磨いたりしてる。


「ねー」


 柿ピーもそうだけど、それより奏音目当てだよ……。


 ちなみに私にも頑張れLIMEは来てました。意外とまめな男なのか?


「あ、じゃあ瀧田たきたさんは来るって?」


「分からん。私からは言ってないから、柿ピーか古池が誘ったかどうかだね」


「え! 誘えば良かったのにー!」


 いやいや誘わんて!


 奏音の認識はどうなってんのやら。

 私が瀧田くんを好きなんじゃなくて、瀧田くんが私を好き、っていう設定なんですよ? それなら私からは言わんやろ!


伊織いおりなら来るって言ってたわよ」


 楽器を出し終わった柿ピーが会話に参戦。

 いやー、バリサクが様になるね。


健人けんとが伊織とはやてを誘ったみたい」


 ん? 藍沢あいざわくんが? なんで?


 …………えっ……! てか藍沢くん来るんすか! どどどどどうしよう!


「バレー部も休みだったんだー」


「ええ、ちょうど良かったわよね。颯一人じゃ来にくいでしょうから。でも颯、一人で行く予定だったらしいわよ」


「へえー。柿ピーさっき藍沢さんからって言ってたけど、藍沢さんって吹奏楽見に来るような人なんだ」


 なんで? 音楽好きなのかな。でも吹奏楽の曲だよ? 最近の男子高校生が聞く?


「いやね、なんでも瑞穂みずほちゃんから聞いたらしいのよ」


「え、瑞穂って藍沢さんとも仲良しなの?」


「うーん、そうねえ。席近くなってから……というか作文の発表の後ね。よく話すようになったみたい。休み時間も健人&伊織&颯と話してるところ見るし」


「さすが瑞穂。誰とでも仲良くなる天才だね」


「ほぼ健人とか伊織からのアクションみたいだけどね。……もう健人の誤解は解けたのかしら? ねー瑞穂ちゃん? ……瑞穂ちゃん?」


 え、藍沢くんの知り合いって、うちの部活に何人いるのかな。基本的には柿ピーを見るだろうけど、一応私も友達判定されてるっぽいし、チラ見くらいはされるよね。他にも友達いれば、それだけ私を見る時間が少なくなるから、……頼むいっぱいいてくれ。


「瑞穂ー?」


「瑞穂ちゃーん? ……あら、ダメね。どっか行ってるわ」


 だってね? 楽器を咥えてるときの顔、本当にブスなの。マジで推しとか関係なく知り合い全員誰にも見てほしくないレベル。


「……あかねちゃん、ちょっと来て」


「なにー!」


「瑞穂を戻してくれる?」


「いいよお"!」


 でも私ソロとかないし、目立たないよね……いやでも私が座るとこ一番手前だな……。えー待ってどうしたら良い?


「じゃあ行くよ!」


「行けー!」


「行っちゃいなさい!」


 ……いやいや瑞穂! 何言ってんの! 今日は大事な本番なんだから! いつも通り吹くに決まってるでしょ! 余計なこと考


「み"ぃーずほお"ーー!」


「ぎゃあああ!」


 え、うるさ、私たち超絶うるさ。

 ここでそんな大声出したの私たちが初でしょ。


 楽器出す場所で良かった……。でも部員ですら冷たい目で見てくんのに、他校の人もいるんすよ……。

 え、気まずすぎ。気まずいじゃすまないけど。


「ちょ、うるさい……」


 あ、あきれられた……。ごめんよ、部長(二年生です。三年生は仮引退済)……。


 一方、奏音と柿ピーは声を殺して笑っておられる。


「やっと、こっちに戻ってきたわね」


「急に緊張でも来た?」


 体震わせながら聞いてきた。あんたらのせいなんかい。




 大声事件が起こったことで、緊張とか推しとかなんも考えずに本番に挑めた。サックスの仲間には感謝してもしきれんな。


「お疲れ様」


「お疲れー」


「頑張ったんだけどね……」


「ね、またしても銀か……」


 結果発表もすでに終わっている。健闘むなしく、結果は銀。県大会には進めなかった。

 めちゃくちゃ悔しい。本当に、悔しい。


 でも、一番良い演奏だったから文句はない。みんなでこうして頑張ってきたことが、何より糧になるはず。


「明日、打ち上げでも行きましょうか」


「うん」


 うちの吹奏楽部は、みんなで打ち上げとかしないで、パートごととかで行くのが恒例。

 他の学校はどうなんだろう。聞いてみたらさ、『そんな淡白な関係は壮美そうび高校だけだよー』とか言われそうだな。


「焼き肉がいい!」


「私も」


「私もー!」


「じゃあ予約しとくわね」


「「「柿ピーありがとー!」」」


 三人でハモった。


 明日の約束もしたところで、私&奏音、柿ピー&茜と二列になって廊下を歩き出す。足取りは重い。

 ……とりあえず今日は早く帰って早く寝る!


 そういえば、透香とうかに報告とかしてないな。LIMEしないと。


 ポケットからブツを取り出し、歩きスマホを開始。


「あ」


「どうしたの?」


「ううん、めちゃくちゃLIME来ててびっくりしただけ」


 透香と瀧田たきたくんから来てる。あ、あと古池こいけもね。


 透香からは、『頑張れ』『お疲れ、めっちゃ良かったよ』の二件。私は『ありがとう。銀だった悔しい』と送った。


 次に瀧田くん。『見に来た。音楽はよく分かんないけど、藤咲かっこよかったよ』ってさ。『ありがとう! ギャップにやられたかい?(笑)』と送ってやった。


 最後に古池。『銀だったって聞いた。江角えすみさんから』だと? 何ッ? 奏音ともうやり取りしたの? 返信遅いで有名な奏音が、本番終わってすぐLIMEを返していたと言うのか! ちなみに『GJ』のスタンプで返しました。


「じゃあ明日ねー」


「LIMEで集合時間と場所送っとくから遅れないで来てよね!」


「はーい」


「了解ー」


 絶対遅刻しないで行ってやる!

お読みいただきありがとうございます!

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