36 腐女子が勉強を教える話。
新年明けましておめでとうございます!!
「おはよう藤咲!」
「お、おはようございます」
朝から推しの笑顔がまぶしいです。朝練の疲れが吹き飛んでいきますよ。
リュックを置いて、席に座って、早速本題。
先日のばったり案件が話題に上がらないよう、果敢に攻めます。
「持ってきました」
手に持っていた紙袋ごとマンガを差し出す。とりあえず三巻持ってきた。
「おおー! ありがとう!」
ああ、貢ぎ物をさせていただけて光栄でございます。
「いえいえ。言ってくださればまた持ってきますので」
「分かった! でも俺マンガ読むの遅いから時間かかるかも……」
「大丈夫です。将来的に手元に戻ってくれば平気なので」
「えっ? そ、そう?」
「はい」
視界に人影が入ってきたからそっちを見ると、古池がいた。古池も朝練あったみたい。
「おはよ。早速?」
「うん。持ってきてくれた」
「こいつ読むの遅いからな」
藍沢くんを親指で指しながら言った。
「今聞いた。でも藍沢くん、ほんとに全然いつでも大丈夫ですから」
「え、俺の時は早く読めってうる」
「あー! 古池、早く着替えないと! あと五分しかないよ!」
「え、ほんとだ」
古池、言って良いことと悪いこと、あるんやで。
「あ! ……今日って、英語宿題あったっけ…………?」
藍沢くんめちゃくちゃ怯えてる。これはやってないやつですね?
「あるけどすぐ終わるよ。ワーク二ページ分だから」
古池は着替えながら口を挟んでくる。
「マジか! 颯、頼む!」
「え、俺もやってないけど」
「「えっ?」」
いやいや。今のって、やってきた人が言うようなセリフじゃないの?!
「藤咲に写させてもらおうと思ってた」
「え?」
見せてもらう前提かよ。その一言なかったら見せてたわ。
「教える、なら良いけど」
「教える? え、それ間に合う?」
「やってない人が言って良い言葉じゃないでしょそれ」
おお、納得してますね古池くん。君そういうとこ謎に素直だよね。
「藤咲、俺も教えてもらって良い?」
な、何?! いいい良いけど、藍沢くん私より頭良いじゃん! 自力でやった方が早いよ!
まあ古池も社会系は私より点数良いんだけどね。
「お前は自分でやった方が早くね?」
その通り。
「…………ここ、に、苦手なとこなんだよ」
そうなんだ……。
推しの苦手なもの知れて、瑞穂は嬉しいです!
「じゃあみんなでやりましょう」
「良いの?! ありがとう!」
「あざっす」
幸い、英語は三時間目だからどうにかはなりそう。
いやー、でも推しとなんてさ、緊張して間違ったこと教えそうだよね。どうしよ。
「あれ、伊織まだ来てないの?」
「来てるよ。席座ってる」
古池の疑問に、藍沢くんが瀧田くんの席を見ながら答えた。
「え、なんかあった?」
それ、激しく共感させていただきます。
いつも朝は藍沢くんとしゃべってるのに、今日は私が教室来た時から席にいた。
「眠いんじゃない?」
「あー。ありそう」
うーん、眠いのに勉強するかなあ。
今瀧田くん数学のワーク開いてるみたいだよ。宿題もテストも何もないのに。
「ま、HR終わったら来るよな」
「だな」
そうだと良いのですが……。
「じゃーこれにて終了。一時間目の準備しろー」
先生はすぐに教室を出ていった。
「藤咲よろしく!」
「藤咲よろしくな」
こっち向く勢い二人とも激しすぎ……。怖いです……。
「うん。えっとね、最初のこれは……」
「三人で何してんの?」
あ、この声は。
「瀧田くん」
良かった。普通の瀧田くんだ。
「おお伊織、邪魔すんなよ。俺たちの生死がかかってるんだから」
じゃあ昨日やってきなよ。
「いや、なにそれ」
「宿題忘れて藤咲に教えてもらってる。伊織はやってきたの?」
「当たり前だろ」
瀧田くんが宿題やってきてないとかは見たことないかも。
「こいつらが悪いんだから、ほっとけばいいのに」
「まあまあ。こういうのは助け合いだから。私が忘れたときは、二人とも、よろしくお願いします」
「もちろん!」
「おう」
「じゃあ説明するね。この単語の意味はこうだから、文法的にもこれだし、…………どう? 分かった?」
「うん、すごい分かりやすい」
さすが藍沢くん。一回理解したらスラスラ解いてる。
真剣な表情も神ですか!? いや神なんですよね分かります!
「俺もう一回」
「えっと、ここの意味がこれなの。で、こことセットで考えてみて」
「おお! なるほど」
古池も分かったっぽい。自力で頑張り始めたよ。
「藤咲、……あの、…………ありがとな」
急にどうした瀧田くん。
「え? う、うん」
何が? それって何に対してのありがとう……?
あ、私が二人に教えてることに対して?
いつも瀧田くんが教えてるのかな。で、今日は私がそれを担ってるから言ってきたのか。
ま、まさか朝来なかったのって、二人が宿題やってないのを察して……?! 自分たちでやらせるためにわざと放置してたとか?!
うわ……。瀧田くんの意図汲めなかった……。ごめん……。
「藤咲、これは?」
「へいへい」
でも、答え写させてるわけじゃないし、見逃してくれませんかね……。
お読みいただきありがとうございます!
欲望を叶えることができました!
皆様、今年もよろしくお願いします!




