25 腐女子と体育祭の話。6
「あー! 透香、どこ行ってたの? 写真撮りたかったのに!」
「もう着替えちゃったよー」
瀧田くんたちとの写真大会が終わった後、二人でずーっと透香を探してたのに見つからなかった。
それとね? サックスの集合写真も撮りたかったのに、柿ピーもいなかったのよ。
まーじで二人とも全然見つからんかった。
撮りたい人と撮れなくて、ちょっと悲しい。
「ごめんね、体調悪くて休んでた」
マジか!
「だ、大丈夫?」
「平気?」
「うん。日陰で休んだら元気になったよ」
まさか体調崩してたとは思わなかった……。
「そう? なら良かった……」
「無理しないでね」
「うん、ありがと」
よし、じゃあ午後はみんな暇だし、今度こそ写真いっぱい撮りましょうか!
「次で最後の競技となりました。学年別組対抗リレーに出場する選手は、入場してください」
「「わーー!!」」「「キャーー!」」
競技の中でも一番盛り上がるもの。それは、リレーである。多分、万国共通。
女子も男子も歓声あげて、士気も高まるよなあ。
あ、ちなみに私は無言派です。
去年、私は後ろの方でお二人と見てたんですが、今年はどこにいると思う?
「あのさ、やっぱここだと場違い感すごいんだけど」
透香のおっしゃる通り! でも透香と奏音は大丈夫じゃないかな。
「うん、でも我慢してね」
そうだよね、連れてきたのは奏音だもんね。そう言うに決まってるよ。
「えー周り陽キャしかおらんやん」
何を隠そう、またしても最前列なのだ。
奏音が私たちをここに連れてきた理由、きっと想像してるので合ってるよね。
「何言ってんの、ちゃんと見てあげないと!」
「誰をよ」
分かってて聞いた。
この質問に、奏音はさも当然のように、答えを小声で言った。
「瀧田くんに決まってる」
ですよねー。
「へいへい」
透香には聞こえてないから、頭にはてなを浮かべておりますね。
私、いつもだったら奏音に何を言われようとも、もう後ろに引っ込んでる。人の隙間から見れれば良いって人間だから。
でも、行かない。なんで行かないのかなんて、そりゃ古池のため…………ではない。もちろん、瀧田くんを見るためでもない。
全ては、推しのためなのだ……!
走ってる推しを見たいがために来た。強引な奏音に、嫌々着いていく演技も苦ではなかった。
それを透香は呆れて見てた。推しを見たい欲が駄々漏れだったみたい。
「あ、始まるよ」
選手がそれぞれ位置に着いたようだ。
「「きゃー! 伊織くーん!」」
「「俊臣くん頑張れー!」」
「「健人くんかっこいいー!」」
「「颯くんいけるよー!」」
ところで、このような黄色い声があちこちから聞こえてきているのはご存知ですか? あとこれ、多分ガチ恋勢多い順で声の大きさ決まってると思う。
はい。あの四人、体育祭の花形競技、リレー走ります!
みんな足早いから、去年も今年も真っ先に選ばれてたらしい。すごいよなあ。
あ、でもそれって他の競技の選択権ないってことだよね。なんか可哀想かもしれん。
いやー、それにしてもいつも仲良しな陽キャ男子四人が戦うなんて。うん、熱いなその戦い。
しかもそれぞれちゃんと違う組だからスゲーよな。……先生組分け仕組んだだろ。絶対そうだろ。(※入学時には決まっているはずなので、それはあり得ません)
あと観衆の女子の皆さん、四人はアンカーなんだし今は先頭のやつ応援してやれ。
「位置について、よーい……」
体育科の先生が片手を真上にあげて、大声を出した。選手だけじゃなくて、私たちにも緊張が走る。
……バン!!
「「うおーー!!」」「「キャーー!!」」
エアガン(?)が撃たれ、リレーが始まった。
「わ、黄色速いね」
「ねー。でも青だって負けてないじゃん」
「四人の中では柿ピーが一番遅いだろうし、前の方たちに頑張ってもらわんとね」
柿ピーを貶してる訳じゃないよ? いやもう、柿ピーほんとにめちゃくちゃ速いの。
でもさ、相手はバレー部二人とバスケ部なんよ。むしろ柿ピーすごすぎる部類。吹部でリレーのアンカーってヤバいよね?
「「ああー!」」
「「おおー!」」
「「うわああー!」」
色々と順位に変動がありつつ、次でアンカーとなった。
青一位、その後ろに緑、赤、黄色と続いていた。
青の後ろは人一人分あいてて、緑と赤はホントに同じくらい。しかし、黄色は一人転んでしまったこともあり、半周ほど差がついていた。黄色はもう厳しいかもしれない。
古池、最後まで応援してあげるから、頑張って走るんだよ! と心の中で上から目線で応援してみました。ははは。
何はともあれ、一位で柿ピーは熱い! 前に走った方々ありがとう!
これまでの点数の合計は、赤、緑、青、黄色の順だから、リレーの順位がこのままならどこが優勝か分からなくなるかも。あ……、黄色以外、は、だね……。
お、来た来た。
柿ピーにバトンが渡った。その後、数秒遅れて藍沢くんと瀧田くんもバトンを受け取る。
「「キャー!! 頑張れー!」」「「いけー!」」
男子の大声より女子の甲高い声が勝った瞬間である。耳ぶっ壊れそう。
「「颯くん! いけるよー!」」
古池がバトンを持ったのは、もっと遅かった。
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