24 腐女子と体育祭の話。5
「赤組の素晴らしい発表でした。これより十五分の休憩となります」
アナウンスが入った途端、生徒たちはものすごい早さで散らばっていった。
「瑞穂、瀧田さん来たら向こう行こ」
「あ、う、うん」
どもってしまったのは、ただ、『瀧田くん待つの……?』と困惑しただけです。いやまあそうか……。
緑組のダンスが終わった後、瀧田くんはダンスのため移動してしまった。
一人になった私はどうしようか悩んでいたが、その後すぐ、幸せそうな古池と少しニヤついた奏音が合流してきたのだった。
二人きりが良かっただろうに、ごめんな古池。
てか透香は? ダンス終わったのに迎えに行かなくて平気かな。
「あ、伊織こっち来てるよ」
「……ほんとだ」
うーん、透香さんにこの状況見られるのもなんかな……。まだ説明してないし……。
いやでもこれを機に説明しちゃえば……。
「お待たせ、行こう」
「お疲れ伊織」
うわー、人だかりできてきたよ、まずいよ。
みんな瀧田ファンか古池ファンでしょ。絶対そう。
「……人少ないとこ探そ! ぜひ検討のほどお願いします!」
「そうだな」
「うん」
よし! ちゃっちゃと撮って、透香んとこ行くことにします!
「もっと近づいてー! 取るよー」
パシャ、パシャ……
ちなみに、私に写真スキルは微塵もない。けど透香とか奏音の見よう見まねで、上から下から何枚も撮っていく。
瀧田くん写真撮る機会多そうだし、スキルあるんじゃない? 変わってくれても良いんだぜ?
「良いねー。今度はハート作ろ!」
私としては周りの視線が気になるところ。
人いないとこっていっても、完全にいないところはないわけで……。陽キャ女子がいないだけましかなって思ったんだけど、どんな女子でも見るには見るよね! 多分私もその立場だったら見てる!
この場には人気のある男が二人もいるし、奏音はかわいいから良いけど、私みたいなパッとしないやつ一人紛れ込んでるし……。周りからすれば、どういうこと? ってなるよね。
「声かけもして、気合い入ってんじゃん」
「あはは! プロだからね!」
「なるほど」
いや突っ込んでくれ。
ていうか瀧田氏、からかっているのかい? ひどいや、私はこんなに一生懸命なのに……! やっぱ代わろうよ。
「ありがと、藤咲」
あれ、もう良いの?
「じゃあ次は瑞穂たちだね」
え、私も撮るの?
「うん。俺たちも撮ろう、藤咲」
滝田くんはそう言った後、一呼吸置いて次は小声でこう言った。
「江角さんに怪しまれちゃうから」
……はい、観念します。
「じゃあ撮るね」
カシャッ、カシャッ……
やっぱ奏音すげーや。私とは角度も撮ってる枚数も違うわ。
「ねえ、藤咲」
横から瀧田くんが話しかけてきた。
「なにー?」
私は顔も動かさず、返事だけした。
「衣装似合ってんな」
「えっ?」
反射的に振り向いた。声も勝手に出てた。
え? 瀧田くん急にどした?
君、もしかして天然なのか? 天然物のタラシだろ。養殖特有の不快感はなかったぞ。
ああ! 今気付いたわ。これも奏音に怪しまれないようにってことか。
「言ってなかったなーと」
「ど、どうも……」
私がそう言うと、瀧田くんはなんか満足そうにレンズに目線を戻した。
それを見て、私もレンズへ全注意を向けた。
こりゃー瀧田くんファンはガチ恋勢多いだろうな。
……私マジで刺されない? 大丈夫?
瀧田ファンがもし見てたらヤバイよね。
「二人はLIME交換してるの?」
うわ。ニヤニヤしながらぶっ混んできたね、奏音さん。
「うん、してる」
「してないよ。交換しよっか」
被せてくんなや!
てか、え? なんで……? 嘘つけば良くない? なんならイソスタで良くないか……?
イソスタだったら、あの大量フォローのときに瀧田くんもフォローしてるし。
「そっちの二人は? イソスタとか繋がってる?」
「繋がってないかも」
あー、そういう誘導のためね。すっげえわ、私そこまで頭回らんかったわ。
その後、それぞれLIMEとイソスタを交換した。
「LIMEでグループ作りたくなる場合があるだろうしね」
交換したとき、瀧田くんが小声で私に耳打ちしてきた。
「……確かに」
これまたすげえ。この手のスペシャリストなのか?
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