22 腐女子と体育祭の話。3
「青組の素晴らしい発表でした」
アナウンスが入り、拍手とともに青組が退場していく。
ダンス、めちゃくちゃ楽しかった! 衣装も可愛いし、振りも最高だし。
絶対青組が優秀取るね。だってほんとに上手かったから! ……自画自賛だけど許してね。
「続いて、黄組の発表です。一分後に行います」
黄組が入場を終えたのに合わせてアナウンスが流れる。ダンスは十分以内と規定があるので、意外と時間に厳しい。
どこが見やすいんだろう。あ、もちろん奏音と古池をいっぺんに見れるとこね。
右側って言ってたし、透香誘って行こうかな。
ダンス鑑賞もどこでしても良いから、いろんな色がそこかしこに溢れてる。
透香どこにいる……あ、さっきのとこかも。……いたわ。
えーん、柿ピーと一緒に見てる……。三人で見たいけど嫌がるだろうなあ柿ピー。私といると素が出そうって言うよなあ。……え、マジでどうしよう。
「ねえ、一人?」
肩を叩かれ、これを言われた。しかも、男の声だ……。
てかなんなんだそのナンパっぽいセリフは。
振り向いて、私は目を丸くした。
「誰ですか……って、瀧田くん!」
どうしたんだよ、ナンパなんて暑さでやられちまったか?
てか知り合って二週間くらい経ったとはいえ、話したのは数回なのに。私に声かけるとはとんでもねえコミュ力だな。
……おうおう瀧田! なんだよおめえ! すげえ似合ってるじゃねえか!
瀧田くんは赤組。赤組の衣装は和風でカッコいい。彼は、黒い長ズボンに黒のインナー、和風な絵柄が描いてあるショート丈の半袖ジャケットを着ていた。
「なんか背中が哀愁漂ってたから、空気変えようかなって」
「な、なるほど」
ほーん、哀愁漂ってたっすか。要するにぼっちなのを見かねて声をかけてくれたんすね。
優しいな。ありがとう…………ではないかも!
瀧田くんの思いやりには天晴れだけど、私死んじゃうから! こんな公の場で私に話しかけなんてしたら、私刺されちゃうから!
「あっちで二人のこと見ようよ」
「え? あいざ……」
わくんと見れば良いんじゃ……? と繋がっていたが、途中でやめた。
ここで彼の名前を出してはいけない気がしたのだ。防衛本能が働いたと言えよう。
「……俊臣はどっかいったし、健人はあのこと知らないから。知ってる人と見た方が楽しいでしょ、こういうの」
それは確かにだわ。一緒にキャーキャーできるの良いよね。だって薄い本一緒に読んでギャーギャー叫ぶのめちゃくちゃ楽しいもん。
「で、でもさ、」
「颯たちが戻ってきたとき、俺らが一緒にいればあいつらも一緒に見るかも」
それはそう。私たちのこと観察しそうだよね。
「あと、この後健人がどこで踊るか知ってる?」
ギ、ギクッ。
実は、そうなんです。なんたる悲劇。
私、瑞穂ちゃん。推しがどこで踊るか知りません。泣きたい。
「見たいでしょ?」
……そりゃ見たいに決まってる! それを楽しみに過ごしてきたんだから!
「……くっ! 今回は負けてやる!」
「ええ? 勝ち負けあったの?」
おお、瀧田くんの間抜けな顔初めてだわ。それでも整ってるんだから、イケメンって怖い。
てかそんな笑わんといて。回りの人にすごい見られてまっせ。
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