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番外編3 腐女子にとって嬉しい話。2

「今、伊織いおりが上手いこと誘って二人でしゃべってると思う」


 そうだよね。今頃はどんな話してるんだろう。


「ああ、だからさっき止めたんですね」


「はい……突然掴んでごめんね」


「あ、いや全然!」


 こういうの共有すると仲良くなるってほんとだったんだ。古池こいけさんとさっきより気軽に話せてる。


「良かったよ、江角えすみさんに承諾してもらえて」


「あはは、断らないよ」


 ……あ、もしかして―――



 ダンス練習で暑い中外に出るのもなれた頃。


「江角さん!」


 知らない声に呼び止められて、私と同じ黄組の友達は足を止めた。


「はい」


 振り向くと、そこにいたのはうちの学校では有名人である、古池さんだった。


「これ、落としましたよ」


 差し出された物を見ると、それは私のハンカチだった。

 落としたの気付かなかった……。


「ありがとうございます」


「いえ、渡せて良かったです」


 ……少し疑問に思ったことがあるんだけど、聞いても良いのかな。


 うん、聞こう。


「……あの、私の名前、なんで知ってたんですか……?」


「あ、……えっと……。お、俺、藤咲ふじさきと友達で、あなたの話も聞いたことがあったので……」


「あー、そういうことでしたか」


 瑞穂みずほ、友達多いよなあ。それに、こんな有名人とも友達なんてすごい……。


「これからよろしくお願いしますね」


 私は、彼の素敵な笑顔に圧倒された。


「は、はい。お願いします」


 私がそう言うと彼は満足そうにして、お友達のところへ行ってしまった。


「古池くんよろしくだって。奏音かのんすごいじゃん! 認知されてんのもすごい!」


 友達はこう言うけど、全然すごくないよ。


「たまたまだって。ていうか、私の友達がすごいだけ。よろしくっていうのは、ただの社交辞令だよー」



 という予想に反して、古池さんはダンス練習で会えば挨拶をしてくれるようになったのだった。



 ―――ハンカチは偶然だったとして、挨拶してくれたのはきっと瀧田さんのためだったんだ。

 私と知り合いになっておけば、瑞穂と瀧田くんをくっつけやすいから。


 古池さんってとっても優しいんだな。


「ねえ江角さん、もし迷惑じゃなければだけど、LIME交換しない?」


「良いよ」


 協力体制を円滑にするために、これは必要なことだと思う。いつも連絡は半日後とかに返すんだけど、古池さんからのLIMEはすぐに見ないとだね。


「あ、あの古池さん……?」


 今度は古池さんが固まっていた。


「……え、良いの?」


 ただLIME交換するだけなのに、そんなにびっくりする?


「うん、良いよ」


「そっか。ありがとう」


 古池さんは満面の笑みになった。


「じゃあ、早速さ」


 もう何か作戦があるの?


「うん」


「……もう帰っちゃおっか」


「ん? ……あ! 良いね」


 今私たちがこっそりいなくなれば、瑞穂たちは帰るところまで二人きりだ。上手くいけば二人で下校もするかも。

 少しだけ申し訳なさを感じてはいるけど、私は古池さんの提案に乗ります。


 二人で駐輪場まで行って、自転車に乗った。


「もう遅いし家の近くまで送るよ」


「大丈夫だよ。まだ明るいし」


 そう言ったけど、結局最後まで送られてしまった。

 ありがとうございます。とっても親切ですね。


 これから瑞穂のために、頑張らなくちゃ。

お読みいただきありがとうございます!

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