15 腐女子と勉強会の話。4
六時半。そろそろ戻らんとまずいかな。
「瀧田くん、静かに戻ってみない?」
「良い雰囲気だったら邪魔せずこっちに戻るってこと?」
「そう! ほんと察しが良いねえ」
私の大暴露のあとは、瀧田くんが永遠とサッカーの話をしてくれた。推しだと伝えるとき、例にサッカー選手を出したから、そこから派生したんだろうな。
瀧田くん、サッカーも詳しいみたいだった。スポーツ全般好きなのかな?
「じゃあ、行こっか」
誰にも見られず任務を遂行できたのはデカイ。身の安全の確保は何よりも重要である。
「……え?」
教室に着いて早々、私の疑問の声が響いた。
ここ四組だよね? 合ってるよね?
心配になって、廊下に出て確認した。あ、四組で合ってるわ。
電気はついてた。けど……机は全て元に戻してあった。
「あれ、二人ともどこ行った?」
「ね……」
教室に戻ってみると、誰もいなかった。
なんでいないの……? 荷物もないし……。
LIMEだ。LIMEを確認しよう。さすがにどっちかからは連絡入ってるでしょ。
お、奏音から来てる。良かったー。
『邪魔しない内に帰ります』
……どういうこと?
「あ、颯から」
瀧田くんには、古池から一報あったようだ。状況を教えてくれ!
「何だって?」
「えっとね、『先帰る 詳しくは明日説明する ほんとごめん』……だって……。なんか怖いんだけど」
瀧田くんは苦笑しながら言った。
彼の言う通り、恐怖を感じる文である。なぜかは分からないが、嫌な予感がするというか、何というか。
この三十分で仲良くなって、二人で一緒に帰ってるなら良いのだが。
「ま、明日になんないと分かんないっぽいし。俺たちも帰るか」
「うん、帰ろう」
荷物を持ち、電気を消して、二人で駐輪場まで歩いた。
うちの高校は自転車通学が多いのだ。多分、九十パーセントくらいの人は、自転車で来てるんだろう。
私たちも例に漏れず、自前のチャリである。
「藤咲はどっち?」
「こっち」
正門を出て、瀧田くんに質問された。
私は右を指差して、そう答えた。
「俺はあっち」
瀧田くんは左だった。
「じゃあ、また明日」
「うん、バイバイ」
これにて、勉強会は幕を閉じた。
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