11 腐女子はやめた結果の話。
私さ、目、血走ってない? 限界迎えそうなんだけど。というかすでに限界なんだけど。
「今日はなんか人相悪いね」
月曜、午前の授業が終わり、昼休みとなった。
それでね、今日は透香が私の席にやってきたんです。珍しいでしょ?
「え、マジ? なんでだと思う?」
「こっちが聞きたい」
透香に質問はしたけど。なんでかは自分で分かってる。
理由、それは。
先日買った、推し似の受けが出るマンガを読んでしまったからである!
マジで良すぎた。本当に可愛かった。
完全無欠のイケメンが、女の子みたいに可愛いフェイスのドSになんやかんやされる話だった! 尊すぎたぜ。
その推し(※違います)がこんなに近くにいるというのに! 見つめられないなんて! 私はなんてミッションを自分に課してしまったんだ……!
推しを拝めない。これがこんなに苦しいことだなんて。
「……藍沢くん、イチャイチャしてる?」
え、理由それ? と透香の顔に書かれていた。
もしかして、体調悪いかな、とか心配してくれた?
透香……! あんた優しいね!
「してる。今ねー、手をにぎにぎしてる」
前言撤回。すんごいにやにやしながら言ってきた。
「え……。なんでそんな事細かに……! ひどい! もうホントにやだ!」
もっと苦しくなったわ。てかなんで私そんなこと聞いた? 普通別の話題振るべきでしょ! 自分で苦しみに行ってるようなもんじゃん!
「別に見れば良くない? そんな頑なに見ようとしないのも逆に怪しいけど」
「解禁するとしても、今日は、いや今週はダメ。久しぶりに見るのに、マンガの効力も追加されて発狂するかもしれない。……まあ、解禁しないけど……!」
「あっそ」
透香が心底どうでも良いと思っているのが、この相槌で伝わってきました……。
お読みいただきありがとうございます!
今回短すぎるので、明日に12話を投稿します!