74 腐女子がちょびっとキレる話。2
「…………奏音に嫌われた…………!」
そう言って、古池は両手で顔を覆った。
「……は?」
いやいや、なんで? あんなに良い感じだったのに。
「事を詳細に説明せよ」
だって、奏音がわけもなく人を嫌いになる子じゃないっていうのは分かってるし、古池も何かしでかす……いや、古池ならやるか……? それが古池クオリティだしな……。うわ、不安すぎる。
「それが……――」
「はあ!? それはあんたが悪い!」
「分かってる…………」
呆れました! 藤咲は完全に呆れましたよこのクソ古池ぇ!
要約すると、体育祭の時LIMEを交換した女の子とたまに連絡を取っていた。
あ、古池の名誉のために言っとくと、古池から送ることはなくて、女の子が送ってきたときだけ返信してたっぽいよ。
で、日曜日。奏音と歩いてたら、偶然その子が現れたらしい。ま、学校だから偶然とかないんだけどね。そしたら、……んー、まあなんか、なんやかんやあって、奏音に嫌な思いをさせてしまったらしい。
「それを、『俺、鈍感だから仕方ないよねー』と片付けて良いわけがない!」
「そんなこと言ってないし思ってない! ……あ、いや、ごめん。でも、ほんとに、そんなこと思ってないんだって……。……ごめん……あんな顔させて……ごめん…………」
「わ、私に謝ってどうするよ……。……その後はどう対応したの?」
「……奏音と別れたあと……は、連絡したけど、返信がなくて……」
古池はまた両手で顔を覆った。
「なんて送ったの?」
「『ちゃんと話したい』って」
「へえ……」
確かに、話す時間が必要かもしれない。その作戦も立てないといけない……けど、……。
「……ごめん! 私、奏音のとこ行くわ!」
「え」
奏音が心配なんです。朝会った感じだと、透香もこのこと知らなそうだったし、奏音は自分の中で不安とかそういう感情をどうにかしようとしてる、ってことだもんね。
なんかそういうとこあるよね奏音さん! 私たちはいつでもドンと来いなんだよ! 話したくなったらいつでもしていいのに!
「ごめんよ! 私、古池の友達でもあるんだが、その前に奏音の友達でもあるんだよな! 古池は瀧田くんに相談してくれ!」
そうして、私は駆け出せませんでした。ゆっくりと奏音の方へ歩きました。
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