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71 腐女子は質問攻めされる話。

「おい」


「は、はい」


 ただいま、車に乗ってる最中です。恭平きょうへい兄さんが運転してくれています。兄さんって運転上手なんだよ!


 でもさ、兄さんの「おい」、不思議に思わなかった? 兄さんがそんな言葉遣いするはずないからね。


 はい、そうなんです。なぜか涼平りょうへい兄さんが、私の隣に座っておられます。実は今、涼平兄さんに話しかけられてるとこなんですねー。


 うん、なんで? なんで涼平兄さんおるの?


「あいつは?」


「…………あいつ……?」


「そうだね、俺も気になるなあ。あの親切な男の子」


「……ああー」


 なるほど、瀧田たきたくんのことだったか。


 花火が終わるとすぐ、全校生徒が正門に集まってくるからね。あの後私たちは早めに切り上げて、終わる予定の十分前くらいに正門に行った。


 で、その時に車まで肩を貸してもらってたので、恭平兄さんも彼を知ってる、というわけなんですよ。


 あの時の変な空気ったらなかったね。辛かった。

 いや、一番辛かったのは瀧田くんだな。ごめんな。


「あれは瀧田くんって言ってね、学校のモテ男で」

「あ?」


 怖っ! 涼平兄さんの目! 暗い中で目だけ光ってる!


「ちょっ! 最後まで聞いて! 瀧田くんはね、私の友達なの! クラスが一緒で!」


「ふーん。クラス一緒の友達で、ねえ」


 恭平兄さん、女の子に頼めば良いのに、って思ってるな。


「てっきり彼氏かと思ったのに」


「え?! いやいやないない! 言ったじゃん、モテ男だって!」


 流石にこの時期なら、彼ならば好きな人や彼女の一人や二人、絶対おるじゃろ。言わんだけで。

 あ、他校とかにいるんじゃないかな。そんな気がしてきたぞ。


 ……え、待って。それなら私、めっちゃ申し訳ないことしてないか……? ふ、二人で花火見ちまったぞ!


 ゆ、許せ! 友達なんだ! いやでも彼女さんからしたら知らん女と二人でいること自体ムリだよね!?


「可愛い女の子、いるんだから……」


 絶対いるのに、なにやってるんだ瑞穂みずほ……。ああ、本当にごめんなさい。


「瑞穂もかわいいけどなあ」


「? ……それは恭平兄さんだからでしょ」


 それはない。が、否定してもそれに対する否定が返ってくるだけなのだ。家族愛というもんである。


「あれ? 涼平だって、優弥ゆうやだってそう思ってるよね?」


 いやそれはないだろう。ん、あれ、なんかルームミラー越しに見える恭平兄さん、表情は笑ってるけど目は笑ってないな……。どうしたんだろうか。


「……」


 あ、ほら、涼平兄さん黙っちゃったじゃん。可愛いとか思うの、恭平兄さんだけだよ。


「いや、もし思ってたとて、それは妹だからだよ。恭平兄さんと同じ状況だから」


 兄さんがウインカーを出して、ハンドルを切った。ここまで来たら、もう少しで家だ。


「明日病院行こうよ、ちょうど月曜だし。学校は片付けだけでしょ?」


 そっか、明日は兄さんの大学の授業は午後からなのか。


「うん、まあ……」


 明日は午前中片付け、午後はお昼を食べずに下校、という最高の時間割である。この日に友達とプリクラを取りに行く人が多いんだ。クラスTシャツ着たり、出し物の服を着たりとかしてね。


 ……片付け参加しないの心が痛いけど、……でも行っても意味ないもんな。大人しく病院へ行こう。

お読みいただきありがとうございます!

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