彼女なら⋯⋯キスできますよね?
俺の目の前では制服を身にまとった赤江愛が不敵な笑みを浮かべながら立っている。
俺がどうしようかと思考していた、その時だった。
「誰その女」
そんなドスの効いた低い声が、俺の後ろから響き聞こえてくる。
声の主は百音以外な訳がないのだが、それすらも疑ってしまう程の聞いた事のない声だった。
俺は本能的に顔を後ろに向け、廊下からゆったりとした足取りでこちらへ近付く百音を認める。
「どうもおはようございます。康太くんとお付き合いさせて頂いています、赤江愛です。貴方はどちら様で?」
「ってお前何変な事言ってんだよ!」
百音の問に大して愛想のいい満面の笑顔をしながら答える愛に俺は思わずそんな言葉をかける。
だが愛は一切その笑顔を崩すことなく、俺の唇に指を押し付け、口を再び動かし始めた。
「康太、寝ぼけちゃだめじゃない。風邪かしら? それなら私が看病してあげるわよ」
「⋯⋯⋯⋯ッ!!」
変に愛の押し付ける指を無理矢理掴み退かすのにも躊躇った俺は、愛の思惑通りに口を開けずにいた。
何でこいつは俺と付き合っているだなんて嘘を⋯⋯!
「へぇ。お2人はそういう関係なんですか」
「ええ、そりゃもう見てられないくらいアツアツですよ?」
「ふぅーん。それならキスでもしてみて下さいよ。私のお兄ちゃんはそんな簡単に彼女を作る人じゃありませんから」
百音は変に作った貼り付けたような笑顔を浮かべ、低いトーンのまま俺らに無理難題を押し付ける。
俺は愛に視線を飛ばすと、愛もまた横目で俺と目線を絡めた。
すると愛はゆっくり首を縦に振り、俺の目に手をやり視界を遮った。
おいおいまさか本当にコイツは──
「──ッ!?」
一瞬だった。よくわからかった。
視界を手で多い隠されてからほんの少し後、空気から伝わる熱が段々と近づいてきて。
その直後俺の唇に柔らかく、しっとりとした物が触れた。
その刹那俺の視界は一気に色と光を取り戻し、暗闇から解放される。
「⋯⋯しましたけど、文句ありますか?」
「お兄ちゃん⋯⋯嘘、でしょ? 私の前で変な冗談でもついてるんでしょ!」
百音は俺ら2人に接近し、後半はもの凄い剣幕だった。
俺はそんな百音に少し気圧されながらも、固唾を飲み飲んでから声帯を震わせ、そして宣言する。
「⋯⋯赤江愛は、俺の彼女だ」
と。
休載明けと言うことで文字数少ないです、すみません。
最近と言うかもう一昨日に新しい作品を執筆し始めました。
こちらも現実恋愛となっておりますので、是非見て頂けると嬉しい所存です。
これからは新しい作品、『親父が再婚して妹が出来たんだがソイツが喧嘩したまま引っ越して疎遠になってた幼馴染だった』を優先的に更新しながら完結までゆっくりこちらも進めていく予定です。




