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3人の義理の妹が全員闇持ちで毎日大変なんだが  作者: ʕ•̫͡•ʔ
【第三章】百音は大人気youtuber
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生配信の事故

とそういう訳で俺は自室から百音の配信機材がある離れに移動した。

やはり百音の部屋は如何にも意識が高い動画配信者の様で、部屋には水色に輝く照明が施されている。

俺は百音のPCデスクの横にチェアーを持っていき、腰掛ける。


「生配信ってどう言うのかわかる?」


「そりゃ俺だってYoutubeくらい見るからわかる」


百音はマウスを弄りながら俺とそんな会話を繰り広げる。


「私の生配信のやり方は私を映像に映して適当に雑談をするってやり方なんだけどさ......」


「それだと俺の顔がバレないか? 顔バレは避けたいんだが」


「そりゃそうだよねー。じゃあ今日は適当にゲームでもしよっか」


と、そんな百音の提案により今日は顔をカメラに写すのではなく声オンリーでゲーム実況をする事になった。

百音の部屋にある立派な背もたれを持った椅子に腰を掛けると、座り心地に安物の椅子とは雲泥の差がある事を改めて実感させられる。


座るとやや斜め上の方にはカメラがこちらを向いており、今日は写ってない筈だとは言え、これから撮影なんだと気合いが入る。

百音は隣にもう一つ椅子を置き、それに身を委ねてリックスしていた。


「なんか緊張してるじゃん。別に怖いものでもなんでもないからリラックスしていいんだよ」


「俺もそうだとは思うんだけどな、いざこうやって座ってみると緊張して来るもんだ」


そんなソワソワしている俺を百音はクスッと笑みを浮かべた。

何だか嬉しそうな百音を横目に俺は訳が分からず困惑してしまう。


「いきなり笑ってどうしたんだよ」


「いやーいつもクール系なお兄ちゃんが緊張しているの見てたら新鮮だったから」


「......初めてだからな。あと、緊張はあまりしていない」


「絶対嘘じゃん。......ま、私も最初の頃はそんな感じで緊張してたな。でも回数を重ねる事に緊張も解けて素の自分を出せる居心地のいいところになるもんだよ」


「そういうものか」


「私は、の話だけどね。それじゃあ配信始めよっか」


こうして俺の人生初の生配信が幕を上げることとなる。

──まだこの時の俺は知る由もない。

あんな事が起きようとは。










生配信のタイトルは『重大発表』とインパクトある名前になり、配信が始まるや否や一瞬にして同時接続数は万を超えた。

それから百音が元気よくマイクに向かって話始めた時は初めて見る光景に困惑した。


だが百音が楽しそうに流れるコメントを読み上げ、話す姿を俺は恍惚と見ていた。

そうして百音は『それでは本題に入りますね』と話を初める。


「私にはずっと隠していた秘密がありりました」


普段に増して落ち着きを持った声色は、ゆっくりと発音され電波に乗って世界へ伝達されていく。

その言葉に川のように流れるコメントは更に速さを増す。


「私には......お兄ちゃんがいます。そして、お気づきの方も居るかもしれませんがこれからも編集はお兄ちゃんがする事になります。お兄ちゃん、いいよ?」


そんな言葉と共に俺の方へと視線を飛ばし、合図を送る百音。

俺は一旦深呼吸をして、一泊を置いてから口を動かし始める。


「えーと、その、兄、です......。これからもこのチャンネルを宜しくお願い、します......」


自分で見ても物凄く情けない声、姿をしていたと思う。

目の前に広がる流れるコメント、そして隣に座る大物youtuberを前にして急に自信を失ってしまった。


コメントに目を向けると『重大発表と聞いてみればしょーもな』等といった冷たいコメントもあれば、『お兄さん声かっこいい!』『これからも応援してます!』等という温かなコメントが数多に存在している。

俺を好意的に受け取るコメントの方が幾ら多いとは言え、少なからず俺の事を攻撃するコメントはあった。


それを読むと少しばかり気分は落ちるし、何より自信を失ってしまう。

ネットでは誹謗中傷など溢れており別にそれをされる側を味わかったことがない俺は重く考えていなかった。


今こうして自分がそんな目にあうとなると、意外と引き摺るものがある。


「ちょっとお兄ちゃん緊張してるみたい。これからどうなるかはわからないけど、皆応援してねー」


百音に対するアンチは俺よりも比較にならない程いたが、そんな事を気にするまでなく百音は明るく振る舞う。

そんなyoutuberの妹に、俺は思わず関心するのだった。







あれからはゲーム実況をする事になり、視聴者数は減ったがそれでも万を維持していた。

俺は初めての事で口数少なくしどろもどろになっていたが、それは時間が解決してくれた。


俺も少しずつ慣れてくるようで、ゲーム実況をこなす事が出来るようになった。

少しオーバーリアクションに、聞いていて楽しんでくれるような振る舞いを。


そんな事を思いつつyoutuberもどきをこなし、ゲームにも熱中していると時刻は深夜を回っていた。

ゲーム実況もキリの良いところまで来たという事で生配信は終わりを迎えた。


「やっと終わったねー。初めての生配信はどう?」


「最初は緊張していたが意外と慣れてそれなりにはいけたな。意外と悪くない」


「でしょでしょ? 意外となんて事ないんだから......っと。これで配信はちゃんと切れたはず」



百音はパソコンを弄り終え、そんな事を言ってきた。

どうやら生配信の終了作業を終えたみたいで、こっから先はやっと寝れるという事だ。


「切り忘れ......とかないよな?」


俺の斜め上にあるカメラは依然として俺らを捉え続けており、不安になってしまった。


「私生配信初めて何年だと思ってるの? そんな初歩的なミスあるわけないじゃん」


「そうだよな、俺はちょっと動画編集でもして眠くなるのを待つ事にする」


俺はそう言ってからノートパソコンを開き始める。

隣では百音は欠伸をしつつ、机に顔を伏せた。


「それじゃあお兄ちゃん頑張ってねーー。私ちょっと眠たいから寝るね」


「ああ、おやすみ」


そうして俺は睡魔がやって来るその時まで、動画編集を続けた。

──やがて気がつけば朝になっていて、寝ている百音を俺は起こさずそのまま学校へと向かった。






学校に着いた俺は荷物の整理をしていたのだが、そんな俺に聞き覚えのある声が掛けられた。



「今時間は空いてるのかしら?」


振り向いてみてみれば机に座った愛がそんな事を言ってきた。

俺は一旦手を止め、後ろに視線をやり声を発す。


「あるけどどうしたんだよ?」


「あら、惚けるつもりかしら?」


昨日の生配信と動画編集で寝不足な俺に、何だか挑発的な言葉遣いをする愛へ少しばかりイラッとする。


「何を惚けるんだよ。お前は何が言いたんだ?」


「知らないなら見せてあげるわ。結構貴方、有名人みたいよ」


愛はポケットからスマホを取り出し、朝のネットニュースを見せて来た。

『大人気youtuber生配信切り忘れか』そんな短い見出しと共に見覚えのある部屋が貼り付けてある。


その部屋は間違えなく百音の部屋で......。

百音は何かしらの理由でカメラを起動してしまったのか?


「......これ、貴方だと思うのだけれど」


──愛は俺の目をしっかりと見据え、笑みを浮かべていた。

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