義理の妹が出来ることになったんだが
いつも通りに八時半を刺した腕時計を横目にドアノブを捻り家の中へと足を踏み入れる。
相変わらず俺と親父は適当なところが似通っていて、家の施錠なんて今まで一度もした事がない。
いつもは真っ暗なはずの家の中は明るくて、靴を見れば親父の靴が置かれてあった。
いつも深夜遅くに帰宅し、日が昇る頃には家を去って仕事に打ち込んでいる親父。
別に関係が悪い訳じゃないが、話す事はあまりなかった。
そんな事もあって親父が早帰りしていると思った俺は心の奥で嬉しく騒いでいた。
リビングに入るとテレビを真剣な趣で見ている親父がいた。
その後ろ姿には何となくだがいつもの親父とは違う感じがして、俺は声をかけないまま椅子に腰を下ろした。
物音で気付いたのか親父は振り向き俺を認めると、
「帰ってたのか。只今くらい言ってけよわからないだろうよ」
と少し笑みを浮かべながら俺にそう言葉を放つ。
その笑顔につられて俺も微笑しつつ、口を動かす。
「いやなんか今日の親父がいつもと違う感じがしてな。何となく声が掛けずらかったんだ」
「まぁ、いつも通りじゃないことはお前の言う通りだ。察しがいい息子だよ」
イマイチ褒められているのか分からなかったが、そんな事はすぐに忘れた。
それよりも普段通りではない理由を俺は知りたかった。
「......単刀直入に聞くが、何があったんだ?」
固唾を飲み、勇気を振り絞って聞いた俺の言葉。
そんな俺とは裏腹に、親父はなんの変哲もなく軽く、いい放つのだった。
「俺、再婚するよ。あ、妹も出来るぞ」
と。