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正義

作者: 顎歌

友の亡骸を抱えて、私は、人だったものが転がる中を歩いた。


壊れた武器や爆破された戦車の瓦礫とは、違う。


一人一人に思考があって、大切な何かがあって物語があった肉片。


家族のため必死に叫んで、人を殺した友の最後も違う誰かのために叫んでいた誰かに貫かれて死んだ。


そして、私は友を殺した怒りを叫び、そいつの頭を貫いた。


そいつの最後も叫んでいた。


誰かを憎んでいたわけじゃない。


私も、友も、殺したアイツも。


他人を犠牲にしてでも何かを守りたかった。


自分、友、家族、日常。


ならば、この心の中に生まれた感情はどこへ向ければいいのだろう。


自分達が始めたくせに、呑気に紅茶を飲んでいる権力者か?人を殺して生き残る度に英雄と呼ばれるこの世界の有り方か?


この感情は、誰かにとって悪魔で正義だ。


さっき私が殺したアイツも友や家族がいた。


アイツの友も家族も悪魔と正義を掲げ、私を殺しに来るだろう。


そんな死の淵にたったとき

私は思った。


「生きたい」


誰かを守ろうとしていた人を殺してでも


誰かを殺すことで恨まれてでも


それが間違いだとしても


この先、人が滅びるまで何百何千年、殺し合いが続いたとしても


生きたい。

大切な日常に帰りたい。

あの人に会って愛したい。


それだけなのだ。


最後に見えたのは、母と恋人の顔と誰かのために必死に叫んでいた名も知らない誰かの顔だった。

読んで下さってありがとうございます。


ただ、愛したいだけ

守りたいだけ、生きたいだけ。


嘆いた世界へ。

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