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9話

「お前は今日でこのギルドから追放だ」


朝一で新しく来たギルドマスターからの追放宣言。この街に先遣調査員は3人もいらないとの事。

そしてニヤリと微笑む前のギルドマスター。


「わかりました」


その言葉を聞いて新しく来たギルドマスターの隣にいた前のギルドマスターはボクのところに駆け寄ってきた。


「昨日言った件ですが、どうしますか?」


「昨日鑑定スキルもレベルアップしたので上級鑑定士としていくのもいいかなって考えたりもしてます」


冒険者としてまだまだやっていくつもりなのだが、ギルドマスターには散々コキ使われたのでちょっとだけ抵抗してみようと思って出した言葉だった。


「あんっ」

ギルドマスターからは想像もつかないほどのガラの悪い声が聞こえる。


「な、なんでもないです。貴方様についていきます」


「それなら良かったです」


穏やかな表情に戻りホッとする。


「ちなみにですが、今日の調査はマーキングしなくていいですよ。新しく来たギルドマスターには前のやり方で口頭で弱点の説明をお願いします。それでは私は引き続きもありますので、また会いましょう」


ギルドマスターと別れて、ボクはこの街で最後の先遣調査を行うために山に向かった。



山に入るといつも通り七色虫を採集する。ヤバイカザンの街にも七色虫はいると聞いているから、いつも通りの量を採集する。


でもブルームーンハニーは違う。この街の山は青き月の山と呼ばれている山で、山の主はブルームーンベアでここにしか生息していないのだ。


いつもがぶ飲みするからすぐになくなるブルームーンハニー。どのくらいの量を採取したらいいだろうか・・・


いつもの洞窟にたどり着く。とりあえずはいつも通り二刀流のスキル上げのためにブルームーンベアと戯れる。


そういえば鑑定スキルレベルアップしたのだから、新しく覚えた鑑定眼・心眼を使ってみるか。


魔物の弱点など現在の状況が見える鑑定眼・開眼。

どのように作られたのか、誰が採取したのか、どのように採取されたものなのか、過去の状況が見える鑑定眼・心眼。


ブルームーンベアに鑑定眼・心眼を使ってみたら、ブルームーンベアの過去が見える。


あっ、これはボクと戯れてるシーンが見える。こうやって見るとブルームーンベアのクセが見えてくるな。


まずは右腕の振り下ろしから始まり、左フックからの右フック。このコンビネーションは必ず使っているんだな・・・こういうのも冒険者に教える事が出来たのならより安全に戦えるのではないのだろうか・・・


あっ、次のシーンに移り変わった。ブルームーンハニーを手で混ぜているな。よく見ると結構丁寧に混ぜているのがよくわかる。


こっ、これは・・・


ボクは驚きのあまり戸惑いを隠せないでいた。


ブルームーンベアはブルームーンハニーを目に一滴入れているシーンが見える。その後超スッキリした顔になっている。


えっ、もしかしてブルームーンハニーって本来は飲むモノじゃなくて目に入れるモノなの・・・


それならいつもの量を採取するだけで一生分あるよ。


ブルームーンベアとの戯れもそこそこにしていつも通りの量のブルームーンハニーを採取して洞窟を後にした。


そしてさっそくブルームーンハニーを目に一滴入れる。


あっーーーーーーーーーー

超スッキリするーーーーーーーーー


目の疲れはなくなり晴れやかな顔になると共に、あの超絶苦い思いをしてきたのはなんだったのだろうかとちょっと落ち込む。


とりあえずさっさと仕事を終わらせよう。気分を入れ替えてサクッとストロベリームーンベアの調査を終えてギルドに戻った。



ギルドに戻るとAランクの冒険者達がなにやらザワザワしている。よく見てみると受付に大きな張り紙がしてある。


ギルドマスターのラオです。この度わたくしはヤバイカザンの街の南支部に異動する事になりました。それに伴い先遣調査は通常の口頭による説明に戻ります。今までお世話になりました。


「あの先遣調査を知ってしまったら、もう元の口頭説明になんか戻れないぞ。どうする?」


「どうするって聞かれてもなぁ・・・ヤバイカザンの南支部は特Aランクしかないんだろう。でもあの先遣調査なら特AランクでもAランク相当の難易度になるんじゃないのか?行ってみるか?」


こんな会話があちこちから聞こえてくる。ボクの先遣調査が役に立ってるのが実感できて感無量だ。ところで特Aランクって何だろう?自分はBランク止まりだったし2年以上普通の冒険者としても活動してないから知識もほとんどない状態だ。


わからないモノを気にしても仕方ないな。とりあえず今日の調査報告を終えてヤバイカザンの街に行く準備でもするか。


新しく来たギルドマスターに口頭で調査報告をしてボクは部屋に戻った。


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