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67話

「私の他に追い出されたのは勇者クレア、盾術、魔術、鑑定スキルを持つ勇者。岩魔法が得意で盾術と合わせたロックシールドは誰も打ち破る事が出来ないくらい強力な守り。15年前の悲劇で亡くなった勇者パトラの姉でもあります」


勇者パトラの姉がなぜそんな悲劇を起こしたんだろ。


「亡くなった勇者パトラは絶世の美女で有名ですが、姉の勇者クレアは一言で言うなら岩のような顔で誰からも見向きもされていませんでした。そんな状況が長く続き、イヤになった勇者クレアはパーティーからの脱退を考えていた時に勇者パトラが蛇の獣人ヤミミから死の黄金リンゴを受け取りました」


勇者クレアも苦労してたんだな。


「勇者クレアはまずは妹の勇者パトラを騙し死の黄金リンゴを食べさせて仮死状態にして、その後リーダーの勇者ライオとライバルの勇者クロウを騙して争うようにさせた状態で死の黄金リンゴを食べたドラゴンを倒そうとしたため、ドラゴン討伐は失敗に終わり勇者パトラは亡くなりました。そしてドラゴンは暴れ回り被害は拡大していって最終的にイヒヒヒのボス猿がドラゴンを倒す事になったという経緯があります」


それでイヒヒヒが守り神になったのか。


「勇者クレアはイヒヒヒのボス猿をロックシールドで守りながらドラゴン討伐を手助けしたため、ボス猿だけはガードをする事を覚え、ガード主体で戦うホクトさんに親近感を覚えてヒエイ石を渡したのかもしれません」


15年前の悲劇を起こした勇者クレアのおかげでヒエイ石や火のドラゴンストーンを手に入れる事が出来たっていうのは複雑な思いだな。


「イヒヒヒのボス猿がドラゴンを討伐して勇者クレアはドラゴン肉を食べ行方不明になりました。ドラゴン肉を食べた勇者クレアが一体どんな力を授かったのかは誰もわかりません。ただ最近になってヤバイカザンの街で占い師をしているのを見かけたという情報もあり警戒を強めている状況です」


勇者クレアは一体何を企んでいるんだろうか・・・って占い師ってもしかしてボク会っているかも・・・あの時たしか月より先に太陽を理解しろって言われたんだよな。


「勇者クレアがまた死の黄金リンゴを使ってドラゴンを暴れさせる可能性もあるため、今回マイヤさんをここに連れて来ました。15年前のパーティーでは死の黄金リンゴを食べたドラゴンを討伐出来なかったですが、今のパーティーなら負ける事はないと思っています」


前世の過去ではその結果ボクが世界を滅ぼした。今回はそうはさせない。


「死の黄金リンゴはボクがヤミミからもらいました。だけどこれは誰にも渡しません」


「女性勇者しかもらえないはずの死の黄金リンゴをなぜホクトさんが?」


「なぜボクがもらえたのかはわかりません。だがこれだけは誰にも渡すわけにはいかないんです。これを奪うというのならたとえマイヤであろうともボクは容赦はしないよ」


「いい意味でも悪い意味でもホクトは変わったね。守りの勇者のホクトが本気になって守ろうとしたモノはいくら私でも奪えないわ。だけど5人の勇者が相手なら奪えるかもしれないわよ。それでもホクトは死の黄金リンゴを渡さないの?」


「あぁ、死の黄金リンゴは誰にも渡さない。勇者クレアではなくボクがこの死の黄金リンゴを使って世界を滅ぼす」


「それは本気で言ってるの?」


「本気だよ。だけどそれは現在ではなく未来の話。きっとまだマイヤにはボクが何を言いたいのかは理解できないと思う」


「どういう事か説明してよ!」


「ボクは過去にこの世界を滅ぼした。その過去を変えるためにボクは現在のこの世界を滅ぼして未来を変える。これじゃあ何を言ってるのか理解できないよね。だからもうボクは行くよ」


マイヤとラオさんはこれ以上何を言わずにボクが立ち去るのを見守っていた。

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