42話
はるか昔に盗賊団シルバースネークを作った闇落ちした勇者ジャギン。ジャギンは打撃術、交渉術、鑑定スキルを持つ勇者であり、伝説の勇者リュウケンと共にエンリュウの元で修行した1人でもある。
ジャギンのスキル構成ではドラゴンにはもちろん勝てず、打撃術、魔術、鑑定スキルを持つリュウケンにも勝てず、打撃術、魔術、交渉術の上位スキルともいわれるユニークスキルの読心術を持つトラオーにも勝てず、ハズレ勇者として勇者列伝にも載っておらず、リュウケンの勇者列伝に少しだけ登場するのみだ。
そんな勇者ジャギンはエンリュウの元を去った後にスネークアイという唯一無二の鑑定眼を取得した事だけ伝わっている。
その盗賊団シルバースネークのアジトがあると言われている死の渓谷に向かってボクは移動している。
死の渓谷は死の警告と言われるくらい危険な場所。少し足を踏み外せばすぐに崖下の川に落下するような狭い足場がずっと続き、戦闘には不向きな場所である。
シルバースネークはそんな危険な場所にいくつもの罠を仕掛けているので誰も近寄ろうとはしない。
死の渓谷に入ったボクは鑑定スキルを使いながら慎重に進んでいるが、ずっとネットリとした視線を感じる。鑑定スキルを持つボクだからわかる何か鑑定眼で見られている視線だ。
いつどこから襲われてもいいように二刀流の盾を構えながらゆっくりと進む。
そんな状態がしばらく続くと諦めたのかネットリとした見られている気配は消えた。
出てくるフラグだと思ったが出ないのか・・・
少しすると道は広くなり戦いやすい場所に出た途端にいきなり空中から羽の雨が降り注ぐ。
きた!フェザーレインだ。
ボクは二刀流の盾を構えながら進んでいたため簡単にガードする。しばらくするとフェザーレインの羽の雨は降り止んだ。
そしてフェザーレインではダメージを与える事は出来ないと思ったのかワシシシは大地に降り立ち姿を現した。ワシシシはタイガーイーグルとは逆で顔はワシで身体はトラの姿で羽が生えていて二本足で立つ獣人。
ワシシシとの距離は30メートル。次はどうくると思って構えていたら一瞬で目の前に来ていて右手の爪を振り下ろしいる。
は、早い!だがスイリュウさんの動きはもっと早かった。
振り下ろされた右手の爪を簡単に弾き返す。
軽い一撃だな・・・スイリュウさんの攻撃はもっと重い一撃だった。
その後もワシシシは縦横無尽に動き、激しい攻撃の嵐。だがボクはそれらの攻撃をスイリュウさんから教わった流の力で躱す。
ワシシシは決して弱いわけではないのだろう。ボクが強くなったんだ。ボクは回復されるとは思うけどまずは攻撃してみるかと思い、弱点の龍点穴に斧熊の短剣を突き刺した。
するとワシシシは回復する事もなくあっさりと動かなくなってしまった。
あれ・・・こんな簡単に死んじゃうの・・・
少し待ってみても動く気配はなかったのでボクはワシシシの身体から中くらいの風の魔石、スターエメラルドを取り出した。
もっと大きな魔石じゃないとドラゴンストーンと言われる魔石にはならないな・・・やっぱり白のワシシシを倒すしかないんだろうな・・・
あれだけ戦うフラグ立ったんだから現れるだろうとしばらく探索するが普通のワシシシと何度か戦うくらいで結局白のワシシシは現れなかった。
一応目的は風の魔石のドラゴンストーンではなく、海で戦うための風の魔石の入手だから目的は果たしている。盗賊団とも会う事はなかったし、白のワシシシとも会う事はないんだろう。
帰る事にするか・・・そう思い気を緩めた瞬間、構えていた盾に衝撃が走る。
な、なんだ・・・
突然目の前に白のワシシシが姿を現した。と思ったらまた姿が消えた。そして盾に衝撃が何度も走る。
耐えれる程度の威力だから問題はないが、これは一体・・・
姿が見えない相手にどんな攻撃をされているのか調べるために鑑定眼・心眼を使って過去を見てみる事にした。
ボクが攻撃されているシーンが見える。ボクは白のワシシシに普通に爪で攻撃されているだけのようだ。しかもあえて白のワシシシは盾だけに攻撃をしている。
目で追えないほどの素早い攻撃に対応出来ないボクは遊ばれているんだな・・・ここは一旦引く事にしよう。
そうすると白のワシシシは再び姿を現した。
マタアソビニキテネと言わんばかりに手を振っている。
イヤ、あまりにも素早い手の振りに手だけ見えていないだけだ。
強くなったと思っていてもボクもまだまだだな・・・
ボクは帰る事にした。




