37話
海での戦いというのは独特な戦い方だっていつも思う。
マイヤと一緒に冒険していた時はマイヤの魔術があったから海での戦いはなんとかなった。
今はソロで戦うため準備が必要だ。
必要なのは水の魔石と風の魔石。水の魔石があれば海の中で自由に動く事が出来る。風の魔石があれば海の中で自由に呼吸が出来る。
オウマの街ではどちらも比較的簡単に手に入るモノだった。
手に入るモノだった・・・そう過去形なのだ。
それを解消するためにラオさんがオウマの街に呼ばれたのだ。
魔石を持つ獣人の魔物は普通の魔物より強いため、基本的にはBランク以上の冒険者が討伐に向かう。
だがオウマの街には賢者勇者のアイリンさんがいる。しかも最近では研究のために魔石の乱獲が行われており、市場にも出回らず品薄となっているのだ。
ギルドとしてはこの状態を打破しないといけない。ラオさんはボクの他にアラタさんも呼んでいた。
英雄で初めてのドラゴン討伐を目指すアラタさんもボクと同じように悩みを抱えていたため、同じような提案をしてアラタさんは一緒についてくる事になった。
ちなみにだがボクはこの街では先遣調査の仕事はしない事になってはいるのだが、魔石の確保というラオさんの仕事の手伝いをするために冒険者兼先遣調査員としてギルド宿舎に泊まらせてもらう事になっている。
オウマの街はそんなに大きな街ではないため、ラオさんはギルドマスターとして呼ばれていた。
オウマの街に着くとすぐにギルドに向かい、ギルド職員達に挨拶をする。
「この度ギルドマスターになりましたラオと申します。こちらは先遣調査員として活躍してもらう事になりますホクトさんです。よろしくお願いします」
辺りがザワザワし出す。
この街では魔石が多く取れるため魔法使いが多い。基本的には魔法使いは遠距離からの魔法攻撃のため弱点にピンポイントで当てるというのは普通はしない。だから弱点がわからなくてもあまり関係ないと思われているため、この街には先遣調査員は1人もいないのだ。
「私が来たからには私のやり方でやらさせてもらいます。ご不満がある方は魔石の確保に尽力をつくしてもらえますか」
ギルド職員は静かになっていった。
「それではホクトさん、この街での生活について詳しく説明したいのでギルドマスター室まで一緒に来てください」
とりあえず魔石取ってきたらラオさんに全部任せておけばいいんだろうな。
「明日からの仕事になりますが、この街では最高級の水の魔石と風の魔石を取る事が出来ます。まずは最高級の水の魔石、サンタマリア・アクアマリンを狙います。その魔石を持っているのはスターバ。ジュゴンの獣人で人魚セイレーンのモデルにもなったとも言われ、その歌声を聴いたモノは呪われると言われています」
呪われるのはイヤだな・・・
「私のスキルはスターバと相性がいいのでスターバを相手する時は私も同行いたします」
マ、マジで・・・ギルドマスターが戦うなんて聞いたことないよ・・・でもラオさんはどんな風に戦うのか興味あるな。
「普通の冒険者であればスターバを相手するのはかなり大変ですが、実はやり方次第では簡単に魔石が手に入ります。その時の歌声は祝福の音色と言われています」
祝福の音色・・・もしかしてドラゴンストーン!!
「ここまで言ったらさすがにわかりますよね。それでは明日の朝またお会いしましょう。着いたばかりで疲れていると思いますので今日はゆっくりと寝て下さいね。明日は大変な1日になりますからね」
簡単に魔石が手に入るって言ってるのに大変な1日になるってなんだろ・・・考えてもしょうがないし、とりあえずラオさんが同行するのであれば安心だな。
ギルド宿舎の自分の部屋に入り、武器や防具の手入れをしてゆっくりと寝る事にした。




