28話
「これがヒエイ石か」
魔道具屋で売っている親指サイズのヒエイ石のネックレスを手に取りボクはじっくりと眺めていた。
小さなモノなら親指サイズ、大きなモノなら拳大のサイズのヒエイ石。最高峰のヒヒイロの鐘ならどのくらいの大きさになるんだろうか・・・
「とりあえずこれ一つください」
「はいよ」
ボクはヒエイ石のネックレスを身につけ、火耐性をアップさせる。
ファイアリザードのレザーの上下に烈火ドラゴンの革でコーティングした二つの盾、そして新たに購入したヒエイ石のネックレス。
火耐性はバッチリで挑むのはヒエイ山。調査対象は異なる火の狒々と言われるイヒヒヒ。15年前の出来事があった時に烈火ドラゴンからヤバイカザンの街を守った事から守り神とされて、今では討伐禁止となってしまった獣人の魔物。
攻撃力に全振りしたのと思うくらい超火力だが防御力はまったくないという特殊なタイプの魔物。
ヒエイ石はイヒヒヒから取れる魔石のため、現在出回ってるヒエイ石は過去に採取された魔石。
長年の使い回しで劣化してきているので新しい魔石が欲しいところだが守り神のため討伐禁止。まれに人里に危害を加えるイヒヒヒもいたが、そのイヒヒヒは討伐してもいい事になっているため、その度に鍛治勇者のゼロさんが討伐してきた。もちろん鍛治勇者のゼロさんはそのヒエイ石は鍛治に使っていたから市場にヒエイ石が出回る事はなかった。
今回の調査目的はヒエイ石をどうにかして調達できないか調べるための調査。イヒヒヒ達同士で争う事もありその過程で亡くなるモノもいれば、自然死するモノもいるはず。
でもこれはイヒヒヒ達の墓を荒らす事にも繋がる。討伐する事もなく墓を荒らす事もなく定期的にヒエイ石を調達する事は出来ないのだろうか。
15年もヒエイ山に人が入っていないので登山口らしいモノはもちろんない。その上でトリプルAランクのイヒヒヒに注意しながら草木の生い茂る山道を歩くのは大変なのだ。
ボクは準備万端でこれからヒエイ山に入っていく。
でもその前に腹ごしらえとして、いつもの朝食の卵とお米を取り出して卵かけご飯をスルッと食べる。
安定の味を噛み締めてヒエイ山に入山だ。
入山開始から5分、早速3匹のイヒヒヒ達に囲まれてしまった。
えっーーーーーー
運がいいと言っていいのか悪いと言っていいのかわからないこの状況。入山して5分のため逃げる事はおそらく簡単だが、今回は調査目的で入山している。
相手の出方を見ながらどうするかじっくり考える。
そんな暇を与える事なく1匹のイヒヒヒが目の前までやってきてゆっくりと拳を突き出してくる。
そしてイヒヒヒの胸にはキラキラと燃え盛るように赤く光るヒエイ石。
えっ、何この状況・・・
ボクはとりあえずガードする構えを取り、脇をしめ両腕を前に持ってきた。
その構えを見たもう1匹のイヒヒヒがボクの腕と目の前にやってきたイヒヒヒの腕を取り、お互いの拳をくっつけた。
その瞬間から始まるイヒヒヒの左右のストレート、フックを合わせた高速ラッシュ。
ボクは慌ててガードするもあまりの威力に吹き飛ばされる。だが今のところはケガはしていない。あれから二刀流スキルはレベル4に上がり、さらに防御力は上がっている。
これなら鑑定眼を使いながらラッシュを見極め、対応すればなんとかやっていけそうだ。だが3匹相手をどう立ち回ったらいいのだろうか・・・
ボクはすぐに立ち上がり、ガードの構えをする。
その時、奇妙な事に気づいた。意外な事に倒れている間にイヒヒヒ達はボクに追撃を仕掛ける様子はなかった。そして3匹のイヒヒヒがいるにもかかわらず一対一の勝負のようだ。
よしこれならボクでもやり合う事が出来るはず。討伐禁止だからこの勝負どうなったら決着が着くのかはまだわからないが、とりあえずイヒヒヒに防御力がないのならシールドバッシュでブン殴るだけだ。




