22話
ラオさんと一緒に龍理人タキアさんのところに来ると見るからに高そうな服を着た見知らぬ人達も多くいた。
「この方達も龍理人タキアさんの大ファンでわざわざこの試食会に来てくださったんですよ。ここからが私の腕の見せどころですね」
そう言うとラオさんはみんなに対して話かけた。
「本日はご集まりくださいましてありがとうございます。今回の試食は希少種の七色ゴールドサーモンになります。今回の試食に関する費用はギルドの南支部で負担いたしますので、どうぞゆっくりと七色ゴールドサーモンを堪能していってください」
ラオさんの言葉を聞き、辺りはザワザワし始めた。
「タキアさんの料理をタダでって事は相当な自信があるんだな」
「七色ゴールドサーモンが獲れたのはなんでも15年ぶりらしいよ」
「七色ゴールドサーモンから取れる七色イクラもかなりヤバイっていう話もあるみたいだよ」
みんなそれぞれいろんな言葉が飛び交っていた。
話が盛り上がっているところで満を辞して龍理人タキアさんが七色ゴールドサーモンと七色イクラの親子丼を持ってきた。
ボクは丼のフタを開けてみるとそこには黄金色に輝くサケの身と七色に光るイクラが丼いっぱいに散りばめられている。
ボクはひと口食べると口の中にホロリと崩れるサケとお米とイクラ。一噛みするとイクラがプチンと弾けてお米とサケにイクラのソースがふりかかる。そのイクラのソースは甘味とわずかな塩味が効いているソース。もう一噛みすると今度は旨味とわずかな酸味のソースがサケとお米にふりかかる。
甘味、塩味、酸味、旨味、苦味の基本五味と渋味と辛味の合わせて七味のイクラ。そこに龍理人タキアさんの丁寧な仕事。全てのイクラに別々の味をつける事によって無限の組み合わせのイクラのソースで味付けされたサケとお米が口いっぱいに広がる。
こんなに美味しいサケとイクラの親子丼は初めてだ。あまりのうまさに感動していると周りでも同じように感動している人がたくさんいる。
そのタイミングでラオさんの話がまた始まる。
「みなさん、いかがでしょうか?この七色ゴールドサーモンを獲ってきたのはここにいるホクトさんです」
えっ、なんか勝手に紹介されちゃってみんなこっちを見ているよ。なんか変に緊急してきちゃった。
「先日Aランク冒険者のアラタさんがマサカリカツイダベアを単騎討伐したのもこのホクトさんがおこなったマーキングのおかげです。ここにきてまだ2週間足らずでこの奇跡のような出来事が起こっています。さすがは勇者だとみなさん思いませんか?」
辺りがザワザワし始める。
「ホクトってたしかハズレ勇者なんだよね」「あぁ、そういえばそんな勇者もいたよね」「親子丼美味しい」
「今はまだハズレ勇者と言われていますがこれから先
、さらなる奇跡をみなさんご覧になられると思います。その一歩がこの七色ゴールドサーモンの捕獲であります。今後は月に一度のペースで七色ゴールドサーモンをみなさんに提供できると思いますので、みなさんその際にはお買い上げくださいますようよろしくお願いします」
パチパチパチパチと周りで拍手が巻き起こる。
すごく褒められているみたいでなんだか嬉しくなってくる。
試食会もある程度落ち着いた頃にラオさんに引き連れられてみんなに紹介される。
「こちらにおられる方々は本部のギルドマスターと東西南北の支部長になります」
「よろしくお願いします」ボクは一礼する。
「ホクトさんはこれから本部の方にも足を運ぶ機会があると思いましたので顔見せした方がスムーズにいくと思いましたので挨拶させてもらいました」
ボ、ボクが本部に行くって一体何の用事があって行く事になるんだ・・・
「まぁこれはまだ少し先の話かもしれませんがね」
ニコッと笑うラオさんの笑顔が怖いのはボクだけだろうか・・・
顔見せも終わったところで龍理人のタキアさんが話かけてきた。
「ホクトさん、マサカリカツイダベアの出刃包丁の切れ味はいかがですか?」
「鋭い切れ味で青銀の牙の短剣よりも切れる感じです」
「えっ、ホクトさんは青銀の牙をお持ちなんですか?」
あっ、マズイ事言ってしまったかな・・・
「あれは包丁としては最高級のいい包丁です。私も青銀の牙を持っているのですが、今回私がマサカリカツイダベアの包丁頼んだのは月の女神の包丁を揃えたいと思ったからなんですよ」
月の女神の包丁?
「その顔は知らない顔ですね。まあホクトさんは料理人ではないから知らなくて無理はないと思います。それに本当の月の女神の包丁は青銀の牙の包丁と金斧熊の包丁ですから。だけど金斧熊、希少種のマサカリカツイダゴールドベアはもう15年間姿を見せてはいないから普通のマサカリカツイダベアの包丁で我慢するしかないんですよね」
マサカリカツイダゴールドベア・・・もしかして・・・マサカリカツイダベアが怯えていたのはマサカリカツイダゴールドベアになのか・・・
これは調査をする必要があるな
「あっ、つい1人でテンション上がって話し込んでしまいましたね。マサカリカツイダベアの包丁を私も楽しみにしてるのですみませんね。私も七色ゴールドサーモン楽しみにしておりますのでこれからもよろしくお願いしますね。それでは私はこれで失礼いたします」
龍理人のタキアさんは帰っていった。
明日からは七色ゴールドサーモンの捕獲とマサカリカツイダゴールドベアの調査だな。




