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18話

ギルドに着くとラオさんが待っていた。


「遅くなりました」


「いえいえ、時間には余裕がありますので大丈夫ですよ。アラタさんと鍛治勇者のゼロさんは別々に来ますのでさっそく行きましょう」


よく見るとラオさんは見るからに高そうなスーツを着ている。鑑定眼・開眼で見てみるとその素材は天王虫から取れる最高級の糸で作ったスーツだったよ。ボクはそんな服を持っていないからいつも着ているファイアリザードのレザーの上下を着てきている。もちろん盾はアイテム収納袋に入れている。最低限の装備として腰に青の牙の短剣を装備しているくらいだ。


「そんなにジロジロ見ないでくださいよ。服装はなんでもいいんですよ。私は交渉もあるのでこんな服を着ているだけですよ」


交渉?


「まぁ気にしないで行きましょう」


そして龍理人タキアさんのお店に着いた。お店は住宅街の近くにあり、ものすごく静かだ。料理屋の多くは宿屋の近くにあり冒険者が飲んで騒いでといつも騒然としている。ボクは先遣調査員が住むギルド宿舎に住んでいるから騒音に悩まされないのはうれしい事だ。


お店の中に入ると綺麗な女将さんに案内される。お店の中は10人程度が座れるカウンターがあるお店。そのカウンターから一段下に作られた調理場がある。最後の仕上げの調理を見られるようになっているんだな。


先に鍛治勇者のゼロさんが来ていたみたいで、ゼロさんの隣にラオさんが座り、ラオさんの隣にボクが座った。知ってる人が隣っていうこの並びで良かったよ。


すぐにアラタさんが来てボクの隣に座る。完璧な布陣が完成した。


そして龍理人のタキアさんが来て軽く挨拶をして飲み物を出される。何にでも合うように作られた炭酸水。名前は龍の情熱水。ほんのわずかな甘味がある程度ですごく爽やかな炭酸水だ。


タキアさんが説明を始める。この甘味はドラゴンパッションの木から取れる樹液を使っているそうだ。ドラゴンパッションの木から取れる果実はこの地に生息している烈火ドラゴンが大好きな木の実だ。


説明が終わると同時に出てくる一品目の料理は卵焼きだった。タキアさんは調理場の奥にある厨房に戻ると女将さんが説明を始める。


この卵焼きに使われている卵はAランクの魔物、オオイシ鳥の卵。超絶美味しい卵だからオオイシ鳥の名前がつけられた事もあるがこの卵は大きな石のような卵で硬さはダイヤモンド級の硬さ。あまりのおいしさのため数多の魔物から守るために進化した結果このような卵になってしまったそうだ。


龍理人のタキアさんはこのダイヤモンド級の硬さの卵を超絶技巧でいとも簡単に捌いて中身を取り出す。その超絶美味しい卵を弱火よりさらに弱いトロ火で長時間じっくりと火を入れる事によって、超なめらかな卵焼きが出来上がる。


その卵焼きは濃厚だけどなめらかな舌触りでするりと喉を通っていく。もっともっと食べたいと思っても出された卵焼きは二切れ。


残りの一切れはゆっくりと味わいながら食べる事にする。そう思っていてもなめらかな卵焼きはするりと喉を通っていく。


これが龍理人の作る料理なのか・・・


余韻に浸っているとメインの料理が運ばれてくる。


メイン料理を食べる前にボクは口直しに龍の情熱水を口に含む。爽やかな炭酸水は口をリフレッシュするとともに次の料理を早く食べたくなるような味わいのある炭酸水。


そうしている間に目の前には一つのおにぎりが出される。それは肉巻きシャケおにぎり。


メイン料理がおにぎり・・・


ボクが不思議そうな顔をしている事に気づいた龍理人のタキアさんが話しかけてきた。


「ホクトさんは弱肉強食おにぎりをご存知ない感じですか?」


「あっ、はい」


「ここらへんでは昔からクマ肉とシャケがよく獲れるのでその二つをご飯と合わせて弱肉強食おにぎりとしてよく食べるんですよ」


そうだったんだ。そしてボクは肉巻きシャケおにぎりをひと口食べた。


・・・う、うまい


マサカリカツイダベアのクセのあるお肉をほのかに甘い味が調和している。なんだろうこの甘い味は・・・


「マサカリカツイダベアのお肉はミロククルミで味付けしてありますよ」


ミロククルミはどこでも取れるクルミだがその硬さは

ダイヤモンド級。マサカリカツイダベアの大好物でもある。栄養素は多くの人々を救うほどの栄養素を秘めてるが、その硬さゆえに調理出来る者は限られている食材だ。


もうひと口、肉巻きシャケおにぎりを口に入れる。


重厚な肉の旨味とクルミの甘味、そして七色サーモンの持つ塩味とフワフワでさらりと口の中で溶けていくシャケの身がお米と調和して最高の美味しさを堪能できる。


たしかにこれならおにぎりでもメインの料理になる。こんなに美味しい料理は初めてだ。超高額だけど何度も食べに来たくなる気持ちがわかった気がする。


「次の料理は少し時間がかかりますので皆さんご歓談してお待ちください」


タキアさんはまた奥の厨房に戻っていった。

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