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14話

ギルドは冒険者が持って来た武器や防具、食材の素材となる魔物の買い取りを行なっている。


買い取りした素材は鍛治職人や裁縫職人、料理人などに販売している。ギルドは素材の販売先を確保してから冒険者に討伐依頼をしているのだ。


販売先を確保していない突発的な買い取りは安く買い叩かれる。危険を冒してまで持ってきた魔物の素材を安く買われるのは冒険者もイヤなので、冒険者はきちんとギルドに討伐の事前申請して行くのが普通なのだ。


先遣調査は討伐がスムーズに行えるようにという意味もあるが、販売先の確保をする時間のためという意味もある。


だからアラタさんのした事前に先遣調査を行う行為というのはギルドからしたら急いで対応しないといけない案件になってしまうためルール違反なのだ。



今回ボクがラオさんに頼まれたアラタさんの討伐の見届けの仕事。冒険者は普通、ギルドに討伐の事前申請を行ってマサカリ山に入る。だけど先遣調査員は討伐目的はないため自由にマサカリ山に出入りが出来る。


ボクが冒険者としてアラタさんに同行した場合は2人のパーティーとして扱われるのか2組のパーティーとして扱われるのかはわからないが、アラタさん1人での討伐とはならない。


だけど先遣調査員としてアラタさんをフォローする分にはボクは冒険者扱いにはならないから問題ない。実際ボクは冒険者としてみたらCランクの冒険者だから数には入れられる事もないだろう。そもそもCランク冒険者はマサカリ山には立ち入り禁止だ。


アラタさんはフォローもいらないと言っていたから、ボクはアラタさんに気付かれないように離れて付いていく事にした。


離れて付いていく事にしたのはいいが、アラタさんはAランク冒険者。1人だからという事もあるのか恐ろしいほどの速さで山を駆け上がっていく。


一週間の下見である程度の地形を把握していなければ確実に見失う。付いていくのに必死になったがようやく追いついた。


追いついたという事はアラタさんはマサカリカツイダベアと遭遇して戦闘に入ったという事でもある。


アラタさんは剣術と魔術の英雄。その戦い方は突きを得意とする魔法剣。ボクの行っているマーキングと弱点を正確に攻撃する突きは相性がいい。


そうこうしているとアラタさんとマサカリカツイダベアの戦いは動きを見せた。


まず始めに仕掛けたのはマサカリカツイダベア。強烈な振り下ろしの一撃は岩をも切り裂く一撃。


アラタさんは寸前のところで避けて、カウンターの突きを弱点の右脇腹に突き刺す。


しかしマサカリカツイダベアは肉厚なのか弱点を突いてもさほどダメージを与えている様子は見られない。


再びマサカリカツイダベアが襲いかかる。今度は右フックからの左フック。


これもアラタさんは避けて、カウンターの突きを弱点の右脇腹に突き刺すが、やはりダメージはないように見える。やはりダブルAランクの魔物というだけあって強いのだろう。


ボクは次は右手の振り下ろしと同時に左手のアッパーがくるのだろうと思っていた。


しかしマサカリカツイダベアが次に放った一撃は右手の強烈な一撃だった。


やはり実戦では過去の映像通りの動きをするわけではない。アラタさんも反撃しているからとてもじゃないがフィニッシュブローを放ってお終いというわけではないのだろう。


戦いは長引いていた。アラタさんは何度も何度も弱点を突いてダメージは与えているがマサカリカツイダベアはまだまだ余裕がある感じ。対してアラタさんは1人という事もあり一撃でも攻撃を受けるとそれは致命傷を意味する。


徐々にスタミナもなくなり疲れを見せ始めるアラタさん。そんな時アラタさんは勝負に出たのか雰囲気がガラッと変わる。


「龍絶剣・三日月」


あっ、あれは剣術スキルの最高奥義。刹那の瞬間に3回突きを放つ技。


アラタさんは少しの間をとり、溜めの時間を作る。マサカリカツイダベアも勝負の時だと察して溜めを作る。


始めに動いたのはアラタさん。先程までの動きとは別人のような超高速移動からの龍絶剣・三日月。


決まった。綺麗に弱点を捉えて突き刺さり動かなくなるマサカリカツイダベア。


勝負は決まったと思い、少し気の緩みを見せたアラタさん。


途端に動き出すマサカリカツイダベア。強烈な振り下ろしを放つ。


アラタさんは避けるのが間に合わずガードする。


ま、まずい。この後は同時に放たれる左のアッパーのフィニッシュブローがくる。


ボクは急いで飛び出し、左のアッパーを盾で受け止めた。


アラタさんは驚いた顔を見せたが、それ以上に驚いた顔を見せたのはマサカリカツイダベア。


フィニッシュブローが決まったと思った瞬間に盾でガードをされる。そこでマサカリカツイダベアの意識は途切れて完全に動かなくなった。


「フォローはいらないと言っていたのに助けられてしまったな。この借りは必ず返す」


「こちらの方こそ、事前にあのフィニッシュブローを伝える事が出来なかったので申し訳ないです」


アラタさんは不思議そうな顔をしている。


ん?ボクなんか変な事言ったかな?


「事前にフィニッシュブローを伝えるというのはどういう事だ?」


「ボク、鑑定眼・心眼を使えるようになって過去の事がわかるようになったんです。そして先遣調査の時に

マサカリカツイダベアと手合わせしてあのフィニッシュブローも一度受け止めていたのに、情報としてアラタさんに伝える事が出来ていませんでした」


「ホクトさんはあのマサカリカツイダベアの一撃を受け止めれるのか・・・普通の先遣調査員はそんな事を出来るわけじゃないから気にする事はない。本当に助かった。近い内にご飯でも奢るよ。じゃあ俺は急いでギルドに戻ってラオさんにドヤ顔を見せてくる事にするよ」


笑いならがアラタさんはマサカリカツイダベアをアイテム収納袋にしまい。急いで山を降りていった。


フッーー、ほとんど見てるだけだったがなんだか疲れたからボクも帰るとするか。


あっ、ご飯奢ってくれるって言ってたな。Aランク冒険者のご飯の奢りってなんだろう。めっちゃ楽しみ。

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